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恋人同士になる試練
8つ目の祠 2
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真ん中の通路もこれまた真っ暗だった。
光の力で浄化しても暗いのだから、多分元々暗いんだと思う。
左側の通路もそうだったから、この祠の罠の一つは「暗い事」なんだろうな…
「遠くまで照らす方法があればな…」
「魔物が出てきてもこれじゃ分からないな」
「出来る限り音を立てずに進み、気配を察知できるようにしませんと」
「分かった、なるべく静かに…」
ゆっくり、静かに、確実に…。
カンテラの灯りを頼りに、まずは最初の突き当りまで…。
「……突き当らないな」
「そろそろ浄化した方が良いんじゃね」
入口からどれくらい来てるのか分からないけど、浄化の場所が被ってても別に何も起きないしな。
俺がそう提案すると、トモアキが言った。
「なあシゲ、こっから弱い光をゆっくりじわじわ当ててく、って出来るか?」
「優しい光を長時間…って事か?
そうだな…前々からちょっとずつ垂れ流しに出来ないか考えてはいたし、出来なくもないと思う」
「まじか…じゃあちょっとやってみてくれ」
トモアキは前を歩くセトさんに耳打ちし、セトさんはハイドさんに、ハイドさんはセレスさんに、セレスさんがリラさんに…と伝言ゲームが行われ、リラさんがこちらを振り向いて頷いてみせた。
「じゃあ、行くぞ……ゆる~…さら~…じわ~…しゃらしゃら…」
小さな小川のイメージを頭の中で膨らませる。
柔らかな光…清らかな流れ…清める…光…
「ひかり…ゆるさら~~」
光の力がじわじわ…と俺の身体から漏れて、ゆっくり前へと進んで行く。
「おお…すごい、前の方まで、光が…」
「道の様子が良く分かりますね」
出来るだけ前へ、払う力だけを光に乗せて。
漏れ出る感じ、それなら力も使い過ぎなくて済むはず…じんわり、じんわり…。
「…よし、シゲはこの状態をキープする事を意識してくれ。
このまま前に進もう、トラさんはシゲを運んでくれ」
「分かった」
「シゲはしんどくなったら言うんだぞ」
「うん…」
俺はじんわり、じんわりと唱えながらミシェルにお姫様抱っこで運ばれる。
リラさんはカンテラを高く掲げて、天井を照らしつつ進む。
「…ここが正しいルートなら良いんだけどな」
「間違ってても、正解は分かる。大丈夫だ」
この前みたいに、通気口は無いみたいだ。
じんわり、じんわり…
「気を付けろ、落とし穴だ」
「分かった」
またも古典的罠があったようで、みんなでそれを避けつつ、
じんわり、じんわり…
「停まれ!」
「えっ、うわぁ!!」
槍が出て来るのを躱しつつ、
じんわり、じんわり…
「足元の石に気を付けろ、それが罠のスイッチになってる可能性がある」
「分かった」
罠らしきものを見破ったりしつつ、
じんわり、じんわり…
俺たちは前に進んだ。
***
「…ここまで来て、ただの突き当りか…」
残念ながら真ん中の通路も外れのようだ。
ここまで頑張ったのに…悲しい。
そりゃ期待しすぎちゃいけないと思ってはいたけど、多分ここだろうなってつもりで来たのに!
「はあああ…」
「もしかして、これも罠のうちなのかしら…」
「そうかもしれませんね…」
「やる気が盛大に削がれる罠だな…」
「だとしたらかなり効果的ですね…」
全員で盛大にため息をつく。
気分を切り替えるのにここで一休みする事にして、俺も光をしまう。
水筒の水をちびちび飲みながらナッツの一口パンを齧りつつ、トモアキと相談する。
「はー…引き返すのも一苦労だな。
シゲ、もうちょっと光ってられそうか?」
「うん、このまま垂れ流しに集中してれば、多分戻る分くらいは大丈夫と思う。
どっちにしたって封印の間に入りさえすれば、そこでいくらでも休めるし」
「じゃあギリギリまで頼めるか?」
「おう、任せろ!光の力には自信があるぜ」
そんな訳で俺たちは来た道をUターンし…
少し進んだ場所に、異常を発見した。
「あれ、こんなとこに分かれ道、あったか?」
「えっ…来た時には無かったような」
「急に出来たんだとしたら、怪しいな」
「新しい罠かもしれませんね…」
とはいえ、急に現れる場所は封印の間と繋がっている可能性が高い。
「怪しいが、進んでみなければ正体も分からんぞ」
「それな…」
「どうする皆、行ってみる?」
「そうですね…怪しいですが、こうなったら全員で行きましょう」
「……うん」
歴史上、聖人や聖女が「浄化の巡礼」の途中で死んだ事は無いらしい。
ということは、何らかのご加護があるんじゃないかって事だ。
だから聖人や聖女と同行している人たちも、死ぬ可能性は低いとも言える。
多分。
「…大丈夫、神様が守ってくれる」
「シゲル様?」
「行こう、みんなで」
「はい!」
暗いのは怖い。
先が見えない事は恐ろしい。
だからみんなを安心させたい。
俺、聖人様だもん。
ちょっとぐらい神様のお使いっぽく振舞っても、許される……でしょ?
光の力で浄化しても暗いのだから、多分元々暗いんだと思う。
左側の通路もそうだったから、この祠の罠の一つは「暗い事」なんだろうな…
「遠くまで照らす方法があればな…」
「魔物が出てきてもこれじゃ分からないな」
「出来る限り音を立てずに進み、気配を察知できるようにしませんと」
「分かった、なるべく静かに…」
ゆっくり、静かに、確実に…。
カンテラの灯りを頼りに、まずは最初の突き当りまで…。
「……突き当らないな」
「そろそろ浄化した方が良いんじゃね」
入口からどれくらい来てるのか分からないけど、浄化の場所が被ってても別に何も起きないしな。
俺がそう提案すると、トモアキが言った。
「なあシゲ、こっから弱い光をゆっくりじわじわ当ててく、って出来るか?」
「優しい光を長時間…って事か?
そうだな…前々からちょっとずつ垂れ流しに出来ないか考えてはいたし、出来なくもないと思う」
「まじか…じゃあちょっとやってみてくれ」
トモアキは前を歩くセトさんに耳打ちし、セトさんはハイドさんに、ハイドさんはセレスさんに、セレスさんがリラさんに…と伝言ゲームが行われ、リラさんがこちらを振り向いて頷いてみせた。
「じゃあ、行くぞ……ゆる~…さら~…じわ~…しゃらしゃら…」
小さな小川のイメージを頭の中で膨らませる。
柔らかな光…清らかな流れ…清める…光…
「ひかり…ゆるさら~~」
光の力がじわじわ…と俺の身体から漏れて、ゆっくり前へと進んで行く。
「おお…すごい、前の方まで、光が…」
「道の様子が良く分かりますね」
出来るだけ前へ、払う力だけを光に乗せて。
漏れ出る感じ、それなら力も使い過ぎなくて済むはず…じんわり、じんわり…。
「…よし、シゲはこの状態をキープする事を意識してくれ。
このまま前に進もう、トラさんはシゲを運んでくれ」
「分かった」
「シゲはしんどくなったら言うんだぞ」
「うん…」
俺はじんわり、じんわりと唱えながらミシェルにお姫様抱っこで運ばれる。
リラさんはカンテラを高く掲げて、天井を照らしつつ進む。
「…ここが正しいルートなら良いんだけどな」
「間違ってても、正解は分かる。大丈夫だ」
この前みたいに、通気口は無いみたいだ。
じんわり、じんわり…
「気を付けろ、落とし穴だ」
「分かった」
またも古典的罠があったようで、みんなでそれを避けつつ、
じんわり、じんわり…
「停まれ!」
「えっ、うわぁ!!」
槍が出て来るのを躱しつつ、
じんわり、じんわり…
「足元の石に気を付けろ、それが罠のスイッチになってる可能性がある」
「分かった」
罠らしきものを見破ったりしつつ、
じんわり、じんわり…
俺たちは前に進んだ。
***
「…ここまで来て、ただの突き当りか…」
残念ながら真ん中の通路も外れのようだ。
ここまで頑張ったのに…悲しい。
そりゃ期待しすぎちゃいけないと思ってはいたけど、多分ここだろうなってつもりで来たのに!
「はあああ…」
「もしかして、これも罠のうちなのかしら…」
「そうかもしれませんね…」
「やる気が盛大に削がれる罠だな…」
「だとしたらかなり効果的ですね…」
全員で盛大にため息をつく。
気分を切り替えるのにここで一休みする事にして、俺も光をしまう。
水筒の水をちびちび飲みながらナッツの一口パンを齧りつつ、トモアキと相談する。
「はー…引き返すのも一苦労だな。
シゲ、もうちょっと光ってられそうか?」
「うん、このまま垂れ流しに集中してれば、多分戻る分くらいは大丈夫と思う。
どっちにしたって封印の間に入りさえすれば、そこでいくらでも休めるし」
「じゃあギリギリまで頼めるか?」
「おう、任せろ!光の力には自信があるぜ」
そんな訳で俺たちは来た道をUターンし…
少し進んだ場所に、異常を発見した。
「あれ、こんなとこに分かれ道、あったか?」
「えっ…来た時には無かったような」
「急に出来たんだとしたら、怪しいな」
「新しい罠かもしれませんね…」
とはいえ、急に現れる場所は封印の間と繋がっている可能性が高い。
「怪しいが、進んでみなければ正体も分からんぞ」
「それな…」
「どうする皆、行ってみる?」
「そうですね…怪しいですが、こうなったら全員で行きましょう」
「……うん」
歴史上、聖人や聖女が「浄化の巡礼」の途中で死んだ事は無いらしい。
ということは、何らかのご加護があるんじゃないかって事だ。
だから聖人や聖女と同行している人たちも、死ぬ可能性は低いとも言える。
多分。
「…大丈夫、神様が守ってくれる」
「シゲル様?」
「行こう、みんなで」
「はい!」
暗いのは怖い。
先が見えない事は恐ろしい。
だからみんなを安心させたい。
俺、聖人様だもん。
ちょっとぐらい神様のお使いっぽく振舞っても、許される……でしょ?
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