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最後の学園生活
見守られる二人
しおりを挟む「それじゃ、行くか」
「ああ」
……色々、本当に色々あったものの、約束の日がやってきた。
「もう大丈夫か、パッセル」
「大丈夫、もう終わった事だしな」
朝迎えに行く、という計画は一緒に朝を迎える、に急遽変更された。
ベッドから起き上がれないパッセルの為に、朝食はリュノが部屋まで運び……
つまり朝から甘々全開で、このまま部屋デート(エロ有)でも良いんじゃないかという誘惑を叩き斬っての、今。
「回復魔法が使える身で良かったよ」
「……そうだな」
リュノはまだ、昼までイチャコラしたかった気持ちを引きずっている。
そんな彼を見て、パッセルは苦笑する。
「今日はそっちの部屋で、な?」
「えっ、あ、うん」
当日はセックス厳禁、という注意書きが、リュノの頭から消し飛んだ。
計画は所詮計画なのだ。
現場では常に臨機応変な対応が求められる。
リュノはそう言い訳し、急にエロくなった恋人の腰に手を回して……
「最初の頃は、これも嫌がられたなぁ」
と、思い出トークを始めた。
***
「……フェリス様の認識阻害魔法、レベル上がってません?」
「うん、ダンジョンで何度も使うからね」
「なるほど……」
フェリスとアラウダは小さな声でヒソヒソ話す。
オヴィスとエバ王子は後から合流する予定だ。
「……今日も頼むよ、アラウダ」
「ええ、運以外何も持ち合わせていませんが」
彼がいると、不測の事態が起きない。
そのジンクスは未だに破られていない。
だから彼はここにいる事になってしまった……
この大事な日に、何か起きたら目も当てられない。
「とはいえ、帰ったらエッチ確定だけどね」
「不穏な事言わないでください」
「はは、大丈夫。想定の範囲内だから」
「……そうですか」
二人の後ろを、遠くから見守りつつ尾行する二人。
デートコースは頭に入っているから、いつ巻かれても安心……
「……中庭?」
「ええ、そりゃもう熱烈なアプローチを」
「えー見たかったなー」
「私は見なければ良かったと思いましたがね」
「図書館……」
「そう言えば、項を噛むとか噛まないとか」
「あー、あったあった」
ちなみに今は
①まずは学園内を歩きながら、昔話をする
……だ。
こういうのは卒業前にするんじゃないのかなぁ、と思いつつ、二人は二人の後ろを付かず離れずウロウロ……
「お、そろそろ外へ出ますね」
「そうだね、予約もあるからね」
次は
②お洒落なカフェで小鳥飯(いい値段する割に量が少ないお洒落ランチの事)を楽しむ
……だ。
パッセルが行った事のないであろう場所へ行って、新しい二人の思い出を作る場面である。
「早くないですか?」
「うん、人気のカフェだから……お客さんの8割が女の子だしね」
「……それって大丈夫なんですか?」
「だって、他に思いつかなかったんだもん。
さ、早く行こ。
僕らの席も取ってあるから……一瞬魔法解くからね、気を付けて」
「はい」
アラウダとフェリスが2人で一緒に行動するのは珍しい。
誰かに見つかったら面倒この上ないだろう。
「あ、あれですか」
「そう、結構いい雰囲気でしょ、こじんまりしてて」
パッセルとリュノが席について、注文を済ませたのを確認してから別の客に紛れて店内へ侵入する。
それからフェリスは一瞬魔法を解き、予約を伝えて席に案内されてすぐにまた魔法をかけ直す。
「……これって注文、通ります?」
「それも予約してある」
「なるほど……でも、見えなかったら料理を出せないのでは?」
「さすがに、このテーブルに誰か座ってるのは認知されるから大丈夫」
全てにおいて抜かりなし。
フェリスは全力で、この尾行を成功させると誓った……
「あの時、ばれちゃったでしょ?
だから今度こそはね」
「フェリス様も意外と負けず嫌いですね」
「はは……クレイドのがうつっちゃった」
そう言って笑いながらも、フェリスはパッセルとリュノのテーブルから視線を外さない。
「……この作戦は、誰にも邪魔させない」
フェリスはフェリスで、真剣に彼らを見守っているのだ……
例え昨日、何を聞いていたとしても。
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