話が違う2人

紫蘇

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プロローグ

転生者、出会う

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 ここはとある国のとある学園。
 1人の学生が、1人の学生に声をかける。

「君、パッセル・モンタルヌス君だよね」
「はっ、左様でございます」
「ちょっと話したい事があるんだ、そこのガゼボまで来てくれないか」
「畏まりました、すぐに」

 パッセル・モンタルヌス。
 元々平民だったが、モンタルヌス伯爵家の養子となった男子生徒。
 この世界には珍しい黒目黒髪の可愛らしい容姿は、見るものを魅了する…

 はずの、存在だが。

「…僕はフェリス・シルウェストリス」
「これは、シルウェストリス公爵家のご令息でいらっしゃいましたか!
 斯様に高貴な方が、私に何用でございましょう」

 そう、そのはずなのだが…
 明らかに口調が、外見に合っていない。
 フェリス・シルウェストリスの知っているパッセル・モンタルヌスは、もっとこう…
 たどたどしい敬語で一生懸命喋る「キャラ」なのだ。

 だから、確認するためにわざわざ呼び出したのだ。
 自分の立場を充分に理解し、そのリスクも考えた上での決断。

 …息を整え、
 …心を落ち着け、
 …周囲に人がいないかを確認し、
 …彼の目を、しっかりと見て。

「…単刀直入に聞きます。
 あなた、転生者ですよね?」
「はっ、そうであります」

 やはりそうだったか!
 想像通りの答えに、フェリス・シルウェストリスは安堵した。
 だが同時に不安にもなった。

 転生者なのに、なぜ今まで何のもしていないのだろうか。

 だがその質問より先に、今度はパッセル・モンタルヌスの方が質問した。

「もしや、シルウェストリス様も転生者でいらっしゃいますか?」
「まあ、そうですね。
 前世では18歳で…先天性の病気で」
「そうでしたか…さぞお辛かったでしょう」

 パッセル・モンタルヌスはスッと立ち上がり、敬礼をした後、そのまま美しい15度のお辞儀をした。
 なるほどこの人は元自衛官か何かなんだな、とフェリス・シルウェストリスは考え、何かのヒントを得ようと前世での死因を聞いてみる事にした。

「あなたはどうやって、その…」
「はい、36の歳に銃殺刑により死亡しました」
「え、じゅうさつっ!?」

 はい、ですが前世のフェリス・シルウェストリス様の2倍生きておりますから、充分であります…とパッセル・モンタルヌスはついでのように話した。
 だが問題は死んだ歳ではなく、死に方だ。

「その…なぜ銃殺刑に?」
「ええ、敵国のゲームをしているのを見つかり、スパイ容疑をかけられてそのまま」
「は…はぁ?」
「しかし、銃殺されたおかげでこうして大好きなゲームの中で生きる機会を与えて頂けたのですから、お釈迦様は随分と粋なお方であるようです」

 フェリス・シルウェストリスは混乱した。

 敵国?
 ゲーム?
 銃殺刑?
 スパイ?
 何の話…?

 混乱した末に、彼は一つの結論を出した。

 そうか!この人、日本人じゃないのか。

「あの、前世のお名前をお聞きしても?」
「はい、奥津四郎おくつ・しろうと申します。
 シルウェストリス様は?」
「…僕は、湯迫叶ゆば・かなえと言います」

 確認の結果、彼の出した結論は間違いだった。
 パッセル・モンタルヌス君もまた前世は日本人だったのだ…

 じゃあ何故に銃殺刑?
 敵国?スパイ?
 ……ゲーム?

 フェリス・シルウェストリスの混乱をよそに、パッセル・モンタルヌス君は良い笑顔で握手を求めてきた。

「おお、同じ日本の方でしたか!
 これは素晴らしい偶然ですね!」

 フェリス・シルウェストリスは混乱した頭でパッセル・モンタルヌスの手を握り…

「ヨロシクオネガイシマス…」

 と、何とか言葉をひねり出した。

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