94 / 292
学園2年目
進化するオヴィス
しおりを挟むその日、学園及び貴族社会に衝撃が走った。
「フェリス様、婚約解消が成ったって…!?」
「はい、無事にエバ王子と婚約を解消できました。
皆様にはご心配をおかけしてすみません」
「そんな!私たちは、ただ祈る事しかできませんでしたし…でも、本当に良かった!」
学園で最も注目されていた問題が、ついに解決したというのだ。
しかも…。
「オヴィス君!君、エバ王子と婚約したんだってね」
「はい!それからね、フェリス様も、クレイド様と婚約したんですよ!」
「そうだったのか、それはめでたい!」
運命の番同士、思い合った者同士が結ばれるのだ。
ずっとダブルデートを見守ってきた学生たちにとって、これほどめでたい話は無い。
「はい!フェリス様と同じ日に婚約できて、嬉しいです!」
「これで4人とも幸せになれるね」
「はい!これからも4人で仲良くできます、ね、フェリス様!」
「そうだね、これからもよろしくね」
こうなれば、後はオヴィスの王妃教育が間に合うかどうか、だが…。
***
王宮で謁見と各種会見があった日の夜、寮に戻ったオヴィスはフェリスに満面の笑みで言った。
「僕、事実を言わずに事実を伝えるっていうのが、分かりました!」
「ほう?何とも急ですなそれは」
オヴィスは鼻息荒く、自分の気づきを発表した。
「あの、エバ様がフェリス様たちを援護して欲しいって王妃様にお願いして、王妃様がお庭の方へ行かれたのを見てたんですけど、それを王妃様の話をしつつ『ところでフェリス、シルウェストリス公との会見は上手くいったようだな?』って言って、それがフェリス様に通じてて、全部言わなくても通じるってこういう事なんだ!と思って。
会話の裏を知るためには沢山情報を知っておかなきゃならないって、パッセルさんが言ってたのこれか!って。
それで、これがフェリス様の『貴族の教養』を覚えておけば高度な例え話が理解できるっていうのとも繋がってるんだって分かったんです!」
その気付きは偉大だった。
オヴィスはついに、関係者だけに通じる話の仕方を理解したのだ。
「えらい!オヴィス!」
「すごい!オヴィス!」
「へへっ、すごいでしょ!」
根本の定理を理解すれば、あとは数値を当てはめていくだけ。
一番難しいところがいきなりクリアできた事で、フェリスの教育計画にも余裕が出てきた。
「これで、そこら中に大事な話を垂れ流す危険が減らせますな」
「はい、これでパッセルさんにもご迷惑をおかけしなくて済みます!」
「後は勝手に勘ぐってくる連中をどういなすか、だけどね」
「まあ、そっちは得意な方に任せても良いんじゃないですか?
アラウダ殿とか」
苦手な事を頑張るのも大切だが、それが得意な人間を頼る事も大事…と、パッセルは自分の事を棚に上げてフェリスたち3人に言う。
フェリスは「それもありかもね」と苦笑いし、クレイドは「パッセルも人に頼れるところは頼れよ~」と言う。
「はは…それはまあ、おいおい何とかなるでしょう。
取り急ぎは、北の辺境伯家に兄上を修行にやる計画の準備をせねばなりませんね」
「僕も行くよ!
あっちでしか採れない薬草があるしね」
「パッセルさんも、北へ?」
「ええ、やる事が意外とあるもので、ついでにどうだと誘われております」
パッセルはひとまず、夏休みの間だけでも恋に悩まされずに済むと安堵している。
フェリスとクレイド、エバ王子とオヴィス。
この4人の恋愛がひとまずの目標を達成したことで、気も楽になった。
「人脈の宝庫のような人物ともお近づきになれましたし、ここから少し楽をさせて頂きますよ」
「ほんとかなぁ」
「本当ですとも!
そもそも、組織の事だって仲間たちに半分任せている状態ですしね。
今は顧問みたいなものですから」
そう言って笑うパッセルを、他の三人は
「絶対嘘だな」
…とジットリした目で見ていた。
90
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
【完結】ただの狼です?神の使いです??
野々宮なつの
BL
気が付いたら高い山の上にいた白狼のディン。気ままに狼暮らしを満喫かと思いきや、どうやら白い生き物は神の使いらしい?
司祭×白狼(人間の姿になります)
神の使いなんて壮大な話と思いきや、好きな人を救いに来ただけのお話です。
全15話+おまけ+番外編
!地震と津波表現がさらっとですがあります。ご注意ください!
番外編更新中です。土日に更新します。
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
龍の寵愛を受けし者達
樹木緑
BL
サンクホルム国の王子のジェイドは、
父王の護衛騎士であるダリルに憧れていたけど、
ある日偶然に自分の護衛にと推す父王に反する声を聞いてしまう。
それ以来ずっと嫌われていると思っていた王子だったが少しずつ打ち解けて
いつかはそれが愛に変わっていることに気付いた。
それと同時に何故父王が最強の自身の護衛を自分につけたのか理解す時が来る。
王家はある者に裏切りにより、
無惨にもその策に敗れてしまう。
剣が苦手でずっと魔法の研究をしていた王子は、
責めて騎士だけは助けようと、
刃にかかる寸前の所でとうの昔に失ったとされる
時戻しの術をかけるが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる