話が違う2人

紫蘇

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学園2年目

進化するオヴィス

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その日、学園及び貴族社会に衝撃が走った。

「フェリス様、婚約解消が成ったって…!?」
「はい、無事にエバ王子と婚約を解消できました。
 皆様にはご心配をおかけしてすみません」
「そんな!私たちは、ただ祈る事しかできませんでしたし…でも、本当に良かった!」

学園で最も注目されていた問題が、ついに解決したというのだ。
しかも…。

「オヴィス君!君、エバ王子と婚約したんだってね」
「はい!それからね、フェリス様も、クレイド様と婚約したんですよ!」
「そうだったのか、それはめでたい!」

運命の番同士、思い合った者同士が結ばれるのだ。
ずっとダブルデートを見守ってきた学生たちにとって、これほどめでたい話は無い。

「はい!フェリス様と同じ日に婚約できて、嬉しいです!」
「これで4人とも幸せになれるね」
「はい!これからも4人で仲良くできます、ね、フェリス様!」
「そうだね、これからもよろしくね」

こうなれば、後はオヴィスの王妃教育が間に合うかどうか、だが…。

***

王宮で謁見と各種会見があった日の夜、寮に戻ったオヴィスはフェリスに満面の笑みで言った。

「僕、事実を言わずに事実を伝えるっていうのが、分かりました!」
「ほう?何とも急ですなそれは」

オヴィスは鼻息荒く、自分の気づきを発表した。

「あの、エバ様がフェリス様たちを援護して欲しいって王妃様にお願いして、王妃様がお庭の方へ行かれたのを見てたんですけど、それを王妃様の話をしつつ『ところでフェリス、シルウェストリス公との会見は上手くいったようだな?』って言って、それがフェリス様に通じてて、全部言わなくても通じるってこういう事なんだ!と思って。
 会話の裏を知るためには沢山情報を知っておかなきゃならないって、パッセルさんが言ってたのこれか!って。
 それで、これがフェリス様の『貴族の教養』を覚えておけば高度な例え話が理解できるっていうのとも繋がってるんだって分かったんです!」

その気付きは偉大だった。
オヴィスはついに、関係者だけに通じる話の仕方を理解したのだ。

「えらい!オヴィス!」
「すごい!オヴィス!」
「へへっ、すごいでしょ!」

根本の定理を理解すれば、あとは数値を当てはめていくだけ。
一番難しいところがいきなりクリアできた事で、フェリスの教育計画にも余裕が出てきた。

「これで、そこら中に大事な話を垂れ流す危険が減らせますな」
「はい、これでパッセルさんにもご迷惑をおかけしなくて済みます!」
「後は勝手に勘ぐってくる連中をどういなすか、だけどね」
「まあ、そっちは得意な方に任せても良いんじゃないですか?
 アラウダ殿とか」

苦手な事を頑張るのも大切だが、それが得意な人間を頼る事も大事…と、パッセルは自分の事を棚に上げてフェリスたち3人に言う。
フェリスは「それもありかもね」と苦笑いし、クレイドは「パッセルも人に頼れるところは頼れよ~」と言う。

「はは…それはまあ、おいおい何とかなるでしょう。
 取り急ぎは、北の辺境伯家に兄上を修行にやる計画の準備をせねばなりませんね」
「僕も行くよ!
 あっちでしか採れない薬草があるしね」
「パッセルさんも、北へ?」
「ええ、やる事が意外とあるもので、ついでにどうだと誘われております」

パッセルはひとまず、夏休みの間だけでも恋に悩まされずに済むと安堵している。

フェリスとクレイド、エバ王子とオヴィス。
この4人の恋愛がひとまずの目標を達成したことで、気も楽になった。

「人脈の宝庫のような人物ともお近づきになれましたし、ここから少し楽をさせて頂きますよ」
「ほんとかなぁ」
「本当ですとも!
 そもそも、組織の事だって仲間たちに半分任せている状態ですしね。
 今は顧問みたいなものですから」

そう言って笑うパッセルを、他の三人は

「絶対嘘だな」

…とジットリした目で見ていた。



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