話が違う2人

紫蘇

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合わさる世界

【リュノ】王都騎士団と共に

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……結局、行かせてしまったな。

「殿下、我々も頑張ってパッセル殿に追いつきましょう」
「……ああ、そうだな」

東の辺境領、その入口にある村から北へと進路を取り、北の辺境との境まで行ったら東へ少し進んで、そこからまた南へと進路を変えて……。

怒涛の勢いで進軍し、もうすぐ北との境だ。
ここから東へ一つ進み、また南へと進路を取る。
そしてフェリスやクレイドと合流したら、一緒にもう一つ東の村へ進み、また同じ事を繰り返す。

「相当な蛇行ですから、本気で行きましょう」
「ああ、皆、宜しく頼む」

パッセルの案が最善なのは分かっている。
それでも、俺が一緒に行くと言いたかった。
だが、あの死闘が繰り返されてはならない。
狂暴な魔物はダンジョン内で留めておかなくては……。

「殿下、魔物です!」
「既知のものか、未知のものか」
「よく見るやつです!」
「なら先手必勝だ」
「「おお!!」」

精鋭たちにかかれば、この辺りで出る魔物など敵ではない。
敵意を剥き出しにして襲い掛かって来る魔物も、剣の一振りで絶命させる。

「これ、ダンジョン産ですかね?」
「分からん、燃やしてみよう」
「「了解」」

魔物の死体に火をつけた後、地図にこの場所を書き込む。
もしダンジョン産であれば、それも書き込む……

「こいつら、石なしですね」
「全部か?」
「ええ、そうです」
「北にはあまり広がっていない、か?」
「寒いですからね、北は」

魔物も、寒い場所より暖かい場所の方が好きなのかもしれない。
と、いう事は……。

「近衛騎士団の方は、無事だろうか」
「その世代で一番強い奴が集まってますから、大丈夫でしょう」
「あっちは魔法も使えるのが揃ってます。
 この前のダンジョンでも、魔法剣を使っているのを見ましたから」
「そうか、なら……」

南は大丈夫、か……

「東でない事を、祈るばかりだな」
「ええ、急ぎましょう」

魔物を燃した灰を森の中へ追いやって、俺たちはまた馬に跨って走る。

パッセルはほぼ単騎だ。
途中で仲間を加えるとは言っていたが……それでも。

「自分に自信があるのか、自分を大事にしていないのか、どっちだろうな」
「……パッセル殿は、ただ守りたいんですよ」
「守りたい?」
「はい、この国と、この国に住む人たちを」

今までパッセルの遠征には、必ず新人騎士が付いていたそうだ。

生き物を殺した経験がない者には、初めての討伐任務を無事に終える事が難しい。
攻撃を躊躇して怪我をしたり、下手をすれば……。

だが、パッセルはいつも同行した新人を確実に五体満足で返して来たという。
その上、戦いの技術と度胸と心得まで覚えさせて……。

「彼らによれば、パッセル殿は最初、魔物の攻撃を敢えて食らって見せるのだそうです。
 その上で『躊躇すればこうなる、自分も、自分が守る者もだ』と……。
 大事な命を守りたいなら殺すしかない、と」
「……治癒魔法が使える人間ならではの方法だな」
「はは、その通りです」

討伐最初の関門は『殺し』を克服する事だ。
普通なら、ただ目の前で殺して見せるか、弱った魔物にとどめを刺させるか、だろう。
それを……まったく、滅茶苦茶な子だ。

「どこでそんな方法を思いついたんだかな」
「民間人ばかりの災害救助隊をあれだけ戦える組織にしたんです、きっとその折に」

倫理観が大いに問われる騎士という職業において、殺す事はどういう事かを覚えるのは大事な事だ。

騎士は守る者。
決して殺す者ではないのだ。

俺の隣を走る騎士は言った。

「パッセル殿はこの国を愛しています。
 ですからリュノ殿下……」
「分かっている、母国に連れ帰るような事はしない。
 ただ、視察には来て貰いたいがな」

パッセルの事で牽制されるのは、これで何度目だろうか。
どうやら彼は、王都騎士団員たちの心も掴んでいるらしい……

「はぁ、やれやれ」

魔物の数は減らせても、恋がたきは増える一方だな。

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