あなたと夢見しこの百合の花

五月雨葉月/姫宮煌輝

文字の大きさ
29 / 37

29. 臨海&林間学校【2日目、3日目】その6

しおりを挟む
 まさかの出来事に、ぽ~っとしながら姫奏に手を引かれて歩き続けるわたし。

「あれ、今どこにむかっているんですか?」

 ふと周りを見ると、既に肝試しのコースではなかった。

「『星花女子学園~生徒会長極秘資料~』」
「ふぇっ?」
「生徒会長室の机の隠し金庫に保管されている、歴代の生徒会長たちがまとめ上げた生徒会長だけが見ることが出来る極秘資料よ」
「か、隠し金庫……? ご、極秘資料……?」

 わたしは目を白黒させる。まだ姫奏と恋人になる前のただの生徒会長とクラス委員長という関係だった頃、生徒会の資料を渡しに会長室に入ったことはあるけれど……。そんなもの、見たことない。だって会長室には、生徒会長専用の大きな黒机と革の椅子、そしてクローゼットや本棚があるだけだったはず……。

「これ以上は秘密よ♪ 知りたければ来年、智恵の後を継いで生徒会長になりなさいな」

 どうやら姫奏は教えてくれる気はなさそう。それはそうだ。いくらわたしでも、秘密資料を聞き出したりはしない。……でも、名前からしてなんだか気になって仕方がない。

 ……生徒会長、ですか。

 そんなわたしの気持ちを知ってか、

「清歌ならなれるわよ。色々な経験をしているものね?」

 と軽く言ってのける姫奏。もう、そんなに簡単に言って。……考えるだけですからね?

「ともかく、その資料の第八項にはこんなことが書かれてるの。『星花女子学園関連施設の生徒会長専用極秘施設』という題で、ここだけでなく、校舎内とか星花女子学園に関する施設すべての場所にある秘密の場所を記したものがあるのよ。と言っても十箇所くらいだけどね」
「へええっ! すごいですね!」
「ええ。それを見た時に軽く見て回ったけれど、きっとほとんど歴代生徒会長のポケットマネーで作られたであろうものばかりだったわ。もちろん元々ある所もあるけれど。一部は生徒たちに知られている所もあるけど、大抵私達だけね。でも、誰も知らないということは管理もしなきゃいけないから大変なのよかね」

 恐るべし歴代生徒会長……。

「これから向かうところもその一つよ。……次期生徒会長のためにいくつか教えてしまうと、新校舎には何ヵ所も隠し部屋があって、ベッドやらマットやら色々な道具が用意されているわ。私を含めて歴代生徒会長がみんなえっちだった証拠ね」
「ふええっ!? あの校舎にも?」
「もちろん旧校舎にもあるわよ。……ちなみにその隠し部屋の一つは、厳密に言うと違うけど会長室にあります」

 あ、あんな狭いところに……?

「ヒントは隣の同窓会室です」

 唐突に始まった謎解き大会。山道を登りながら考える。

「うーん、わからないです。同窓会室なんて行ったことがないし、そもそもあまり見かけないから……」
「そう、それが答えよ」
「えっ?」

 どういうことなの?

「同窓会室はないのよ」
「ない?」
「ないの。校内図には会長室の隣にあることになっているけど、実際にあの場所には同窓会室はないの。廊下から見ても実際にあるのはただの壁だけ」

 そう言えば……。確かに生徒会室から出て階段に向かうとき、同窓会室に当たる場所にはドアも何も存在していなかった。

「新校舎建設の際の生徒会長が天寿の重役の娘だったらしく、設計図を書き直してもらったらしいのよ。同窓会室であるはずの場所には、会長室の隠し扉からしか入れない、いくら声を出しても気づかれることのない完全防音のベッドルームになっているわ。……何のためだかはわかるでしょう?」

 衝撃的すぎて言葉も出てこない。
 こ、この学園、一体どうなってるの……?

 唖然とするわたしに、笑いをこらえるようにして可愛らしく姫奏がこう言ってくる。

「この秘密を知ってしまったからには、絶対に生徒会長になりなさい。そして、わたしと一緒にひたすら巡るのよ。……今は時間がないからね」

 な、なんということでしょう。
 何も返事もしていないのに、わたしの将来が決まったようです……。
 で、でもまだやるとは決めてないんです! きっと他の人がやるに違いありません。大丈夫なはず……。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

白雪様とふたりぐらし

南條 綾
恋愛
高校1年生の紫微綾は、生きることに疲れ、雪の山で自らの命を終えようとしたその瞬間―― 美しい御小女郎姿の少女・白雪が現れ、優しく彼女を救う。 白雪は実は古の仏神・ダキニ天の化身。暇つぶしに人間界に降りた彼女は、綾に「一緒に暮らそう」と提案し……? 銀髪の少女と神様の、甘く温かなふたりぐらしが始まる。 【注意事項】 本作はフィクションです。 実在の人物・団体・宗教・儀礼・場所・出来事とは一切関係ありません。 作中で登場する神仏や信仰に関する表現は、物語の雰囲気づくりを目的とした創作によるものであり、特定の宗教や思想を推進・否定する意図は一切ございません。 純粋なエンターテイメントとしてお楽しみいただければ幸いです。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...