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急転
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こうして、アデライトは父・ウィリアムから贈られた青いドレスに身を包み、学園内の大広間で行われる卒業パーティーに参加した。
リカルドのエスコートは断られていたが、会場では保護者として父が待ってくれている。だからアデライトは一人、パーティー会場へと向かったのだが――。
「アデライト・ベレス! 王太子である私の婚約者という地位を笠に着た暴虐、もはや看過出来ん! お前との婚約は今、この場をもって破棄とする!」
「っ!?」
貴族の令息令嬢が通う学園である。それ故、生徒達の保護者達や国の重鎮。他国の大使を招いて開かれたパーティー会場に響き渡ったその声に、居合わせた者達は息を呑み、何事かと目を向けた。
視線の先には、声の主である王太子・リカルド。その背後には数人の側近が控え、王太子の横にはサブリナが、固い決意を宿した表情で立っている。
一方、婚約破棄されたアデライトは突然のことに青ざめながらも、何とか言葉を紡いだ。せっかくの卒業パーティーを、台無しにする訳にはいかない。名を呼ぶことは禁じられていたので、敬称で呼びかけた。
「……殿下。私が至らぬのでしたら、謝罪します……これ以上の話は、別室で」
「これ以上? 父子での横領について、ばらされたら困るからか?」
「なっ!?」
「王室助成金を使い果たし、更に父に金を横領させて贅の限りを尽くした悪女! その悪事を誤魔化す為に、わずかばかりの金を民に配ろうとしたのだろう?」
「そんな……私は、私達はそのようなことなどしておりませんっ」
「娘に濡れ衣を着せるのは、やめて貰おうか!」
「衛兵! この者達を捕らえろっ」
「「「はっ!」」」
事実無根のことを高らかに宣言され、アデライトと娘を庇おうと現れたウィリアムは、反論しようとしたが――リカルドに命じられた兵士達によって、捕らえられて押さえつけられ、跪かされた。罪人のように扱われたこともだが、せっかく父が用意してくれたドレスが皺になり、兵士に踏まれたことにたまらずリカルド達を睨みつけた。しかし、リカルドにはハッと鼻で笑われてしまう。
「悪事を偽善で誤魔化そうなど、恥を知れ! サブリナが、良案を思いついてくれた……彼女こそが、王太子妃に相応しい!」
「何を……」
「女の浅知恵でございます……でも、お金を使い込んだくせにあなたは何を仰っているの? 民にとっては、落ち着くまで税を払わない方が良いのよ」
リカルドに引き寄せられたサブリナが、良案とやらを告げるが――それよりも、勢いに任せてサブリナを新たな婚約者にしようとしていることに気づいて、アデライトは思わず声を上げた。
「哀れね」
だがその声は、サブリナに遮られた。そして一瞬、けれど確かにアデライトを嘲るようにサブリナは笑った。
そもそも、彼女達は横領などしていない。それ故、救いを求めてアデライトは会場の中に視線を巡らせる。
しかし、リカルドの両親である国王夫妻はそんな彼女を一蹴した。
「……その罪人どもを、引っ立てよ」
「目障りです」
二人の言葉に愕然としたところで、アデライト達父子は兵士達に引きずられるようにパーティー会場を後にした。
リカルドのエスコートは断られていたが、会場では保護者として父が待ってくれている。だからアデライトは一人、パーティー会場へと向かったのだが――。
「アデライト・ベレス! 王太子である私の婚約者という地位を笠に着た暴虐、もはや看過出来ん! お前との婚約は今、この場をもって破棄とする!」
「っ!?」
貴族の令息令嬢が通う学園である。それ故、生徒達の保護者達や国の重鎮。他国の大使を招いて開かれたパーティー会場に響き渡ったその声に、居合わせた者達は息を呑み、何事かと目を向けた。
視線の先には、声の主である王太子・リカルド。その背後には数人の側近が控え、王太子の横にはサブリナが、固い決意を宿した表情で立っている。
一方、婚約破棄されたアデライトは突然のことに青ざめながらも、何とか言葉を紡いだ。せっかくの卒業パーティーを、台無しにする訳にはいかない。名を呼ぶことは禁じられていたので、敬称で呼びかけた。
「……殿下。私が至らぬのでしたら、謝罪します……これ以上の話は、別室で」
「これ以上? 父子での横領について、ばらされたら困るからか?」
「なっ!?」
「王室助成金を使い果たし、更に父に金を横領させて贅の限りを尽くした悪女! その悪事を誤魔化す為に、わずかばかりの金を民に配ろうとしたのだろう?」
「そんな……私は、私達はそのようなことなどしておりませんっ」
「娘に濡れ衣を着せるのは、やめて貰おうか!」
「衛兵! この者達を捕らえろっ」
「「「はっ!」」」
事実無根のことを高らかに宣言され、アデライトと娘を庇おうと現れたウィリアムは、反論しようとしたが――リカルドに命じられた兵士達によって、捕らえられて押さえつけられ、跪かされた。罪人のように扱われたこともだが、せっかく父が用意してくれたドレスが皺になり、兵士に踏まれたことにたまらずリカルド達を睨みつけた。しかし、リカルドにはハッと鼻で笑われてしまう。
「悪事を偽善で誤魔化そうなど、恥を知れ! サブリナが、良案を思いついてくれた……彼女こそが、王太子妃に相応しい!」
「何を……」
「女の浅知恵でございます……でも、お金を使い込んだくせにあなたは何を仰っているの? 民にとっては、落ち着くまで税を払わない方が良いのよ」
リカルドに引き寄せられたサブリナが、良案とやらを告げるが――それよりも、勢いに任せてサブリナを新たな婚約者にしようとしていることに気づいて、アデライトは思わず声を上げた。
「哀れね」
だがその声は、サブリナに遮られた。そして一瞬、けれど確かにアデライトを嘲るようにサブリナは笑った。
そもそも、彼女達は横領などしていない。それ故、救いを求めてアデライトは会場の中に視線を巡らせる。
しかし、リカルドの両親である国王夫妻はそんな彼女を一蹴した。
「……その罪人どもを、引っ立てよ」
「目障りです」
二人の言葉に愕然としたところで、アデライト達父子は兵士達に引きずられるようにパーティー会場を後にした。
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