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志願
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サバイバル中の無人島に現れた影を見て、遊星が呟いた言葉。
それは正しくもあるのだが、間違ってもいる。何故なら目の前の、白銀色が意味するものは。
「古竜」
世界創生と等しい寿命と、人々に語り継がれる程の強さを持つドラゴン――伝説の魔王に従い、魔王が勇者に討たれた後は姿を消していた存在の名をアルバが紡いだ途端、フェルス達が息を呑む。
「確かに、あの色は……でも、何でそんな伝説級の存在が!?」
「……解りません」
フェルスの言葉にそう答えたが、アルバの頭の中にはいくつか仮定があった。
まず浮かんだのは、新しい魔王が現れたということだ。
とは言え少なくとも今、ここにはいない。目の前のエンシェントドラゴン以外の、強大な魔力を感じないからである。
その為、魔王を探しに来たという仮定は消える。
……そうなると、次に考えられるのは魔王の敵である『勇者』を探しに来た、あるいは倒しに来たということだ。
そこまで考えると、アルバは教師から渡されたペンダントを取り出しながら言った。
「皆さん! ここから逃げますよっ」
悔しいが、制御具で魔力を制限している状態で勝てる相手ではない。それならペンダントを自分で破壊し、皆と一緒に強制移動で学校に戻るべきだ。
『させん』
「「「っ!?」」」
……けれど刹那、アルバ達全員の頭に静かな、低い声が響き。
その声の静かさに反した強烈な圧をかけられた為、彼らは身動きはおろか声すらまともに出せなくなった。
『魔王様の敵となる勇者など、滅んでしまえ』
そう続けながら、エンシェントドラゴンが大きく息を吸い込む。竜種の必殺技である、ドラゴンブレスを放ってアルバ達を消滅させようとしているのだ。
(『勇者』とは、遊星のことか?)
彼らに向けて大きく開かれた口の中に見える、赤い炎。
己の死を突きつけられながらもその考えに至り、何とか呪文が唱えられないかと必死に唇を動かそうとするが叶わない。
そうしているうちに、エンシェントドラゴンがブレスを一同に放つ。
「「「っ!?」」」
『何っ!』
ブレスによる強烈な炎と熱はけれど、彼らを守るように現れた光の壁により遮られた。
アルバでも、勿論アスセーナでもない。無詠唱で、こんなことが出来るのは。
(……考えるのは後だ!)
驚愕により、圧が緩んだことで動けるようになったのが解り、アルバはペンダントを取り出して放り投げた――強制転移用のではなく、魔力の制御具であるペンダントを。
「飛翔、黒影縛鎖、終極爆炎!」
『ガッ……グアァァ……ッ!?』
それから地面を蹴ってエンシェントドラゴンと空中で対峙し、闇属性の魔法で拘束しつつ灼熱の炎を掌に集中させて数発繰り出し爆発させる。
全力での、そして全開での魔法での攻撃に苦痛の声を上げながら、エンシェントドラゴンがその巨体を振動と共に横たえた。黄金色の瞳が、ふ、と細められる。
『魔王様……勇者は、ここに』
それからそう、呟いて――その瞳を閉じ、二度と開くことはなかった。
(そうだ、勇者は僕で良い)
全属性を持つ者が勇者なら、遊星だけではなくアルバもそうである。
それにお人好しの遊星には魔王を倒す――殺すことは荷が重いだろうが、自分なら何の躊躇いもない。
そう思ったからこそアルバは制御具を外し、遊星が光属性の魔法を使ったことを誤魔化す為に(今まで遊星は人前で使ったことがないので、アルバが無詠唱で魔法を使ったと言えば信じられるだろう)あえて公表していた以外の属性魔法を使って見せた。
そんなアルバに、今まで黙っていたアスセーナが口を開く。
「アルバ、これから皇居に来て下さい……陛下に今、あったことを報告します」
「解りました」
魔王と勇者が、再び現れたことを――言外にそう告げた皇女に、アルバは一礼して頷いた。
……視線は感じていたが、いつものように遊星の顔を見ることが出来なかった。
それは正しくもあるのだが、間違ってもいる。何故なら目の前の、白銀色が意味するものは。
「古竜」
世界創生と等しい寿命と、人々に語り継がれる程の強さを持つドラゴン――伝説の魔王に従い、魔王が勇者に討たれた後は姿を消していた存在の名をアルバが紡いだ途端、フェルス達が息を呑む。
「確かに、あの色は……でも、何でそんな伝説級の存在が!?」
「……解りません」
フェルスの言葉にそう答えたが、アルバの頭の中にはいくつか仮定があった。
まず浮かんだのは、新しい魔王が現れたということだ。
とは言え少なくとも今、ここにはいない。目の前のエンシェントドラゴン以外の、強大な魔力を感じないからである。
その為、魔王を探しに来たという仮定は消える。
……そうなると、次に考えられるのは魔王の敵である『勇者』を探しに来た、あるいは倒しに来たということだ。
そこまで考えると、アルバは教師から渡されたペンダントを取り出しながら言った。
「皆さん! ここから逃げますよっ」
悔しいが、制御具で魔力を制限している状態で勝てる相手ではない。それならペンダントを自分で破壊し、皆と一緒に強制移動で学校に戻るべきだ。
『させん』
「「「っ!?」」」
……けれど刹那、アルバ達全員の頭に静かな、低い声が響き。
その声の静かさに反した強烈な圧をかけられた為、彼らは身動きはおろか声すらまともに出せなくなった。
『魔王様の敵となる勇者など、滅んでしまえ』
そう続けながら、エンシェントドラゴンが大きく息を吸い込む。竜種の必殺技である、ドラゴンブレスを放ってアルバ達を消滅させようとしているのだ。
(『勇者』とは、遊星のことか?)
彼らに向けて大きく開かれた口の中に見える、赤い炎。
己の死を突きつけられながらもその考えに至り、何とか呪文が唱えられないかと必死に唇を動かそうとするが叶わない。
そうしているうちに、エンシェントドラゴンがブレスを一同に放つ。
「「「っ!?」」」
『何っ!』
ブレスによる強烈な炎と熱はけれど、彼らを守るように現れた光の壁により遮られた。
アルバでも、勿論アスセーナでもない。無詠唱で、こんなことが出来るのは。
(……考えるのは後だ!)
驚愕により、圧が緩んだことで動けるようになったのが解り、アルバはペンダントを取り出して放り投げた――強制転移用のではなく、魔力の制御具であるペンダントを。
「飛翔、黒影縛鎖、終極爆炎!」
『ガッ……グアァァ……ッ!?』
それから地面を蹴ってエンシェントドラゴンと空中で対峙し、闇属性の魔法で拘束しつつ灼熱の炎を掌に集中させて数発繰り出し爆発させる。
全力での、そして全開での魔法での攻撃に苦痛の声を上げながら、エンシェントドラゴンがその巨体を振動と共に横たえた。黄金色の瞳が、ふ、と細められる。
『魔王様……勇者は、ここに』
それからそう、呟いて――その瞳を閉じ、二度と開くことはなかった。
(そうだ、勇者は僕で良い)
全属性を持つ者が勇者なら、遊星だけではなくアルバもそうである。
それにお人好しの遊星には魔王を倒す――殺すことは荷が重いだろうが、自分なら何の躊躇いもない。
そう思ったからこそアルバは制御具を外し、遊星が光属性の魔法を使ったことを誤魔化す為に(今まで遊星は人前で使ったことがないので、アルバが無詠唱で魔法を使ったと言えば信じられるだろう)あえて公表していた以外の属性魔法を使って見せた。
そんなアルバに、今まで黙っていたアスセーナが口を開く。
「アルバ、これから皇居に来て下さい……陛下に今、あったことを報告します」
「解りました」
魔王と勇者が、再び現れたことを――言外にそう告げた皇女に、アルバは一礼して頷いた。
……視線は感じていたが、いつものように遊星の顔を見ることが出来なかった。
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