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アルバの義母であり、ギルドマスターであるカリィは美しいだけではなく、明るく面倒見の良い女性だ。長い髪と同じ榛色の目を細め、ようやくアルバの横抱きから解放され、来客用のソファに座った少年に言う。
「行くところがないんなら、ここで暮らせばいいわよ」
そう、ここまではアルバも予想していた。実は彼も昔、こんな感じで彼女に拾われたからだ。
しかし少年が今年、十六歳になると解ったことで話は変わった。変わってしまった。
「あら、そうなの? てっきり、十三歳くらいかと……でも、それなら『魔法学園』に入るべきね」
「そんなっ!?」
思わず声を荒げたのは、少年ではなくアルバだった。
「だって、子供ならまず保護者が必要だけど……この年なら、将来も考えないと。これだけ魔力があるなら『魔法学園』に入ればギルドだけじゃなく、魔法使いになる道も選べるし。アルバも入学予定だから、一緒だと私も安心だしね」
「僕に、押し付けないで下さいっ」
「……えっ? アルバ、さん? 俺と同じ年? てっきり、年上かと……いや! 老けてるとかって訳じゃなくっ」
あっさりととんでもないことを言い出すカリィに、即座に言い返すアルバと。ずれたところに引っかかり、慌てるあまり墓穴を掘る少年。
何故、こんなことになったのか――話は、少し前に遡る。
※
両手が塞がっているし、魔法を使うまでではないのでフードは脱げたままにしてある。
ただ、この帝のローブ姿で素顔を曝す訳にもいかないので、ギルドの受付ではなく義母の部屋の前に転移した。そして、部屋の中に無断で入ることは出来なかったので謎の少年にノックをさせ、義母の――ギルドマスターであるカリィの返事を待って、やはり少年にドアを開けさせて中へと入った。
「お帰り……で、アルバ? どういうことなの?」
「空から落ちてきたので、とりあえず拾ってきました」
「っ!?」
突拍子も無いアルバの説明に、腕の中の少年がギョッとして顔を上げる。そんな黒髪の少年とアルバとをしばし見比べると、椅子に座っていたカリィは立ち上がって二人の元へと近づいてきた。
「……すごい魔力ね。アルバと同じ……いえ、制御や訓練されてなさそうな感じでこれだから、まだまだ伸び代はあるかしら?」
常人はともかく、高レベルの冒険者や魔法使いなら他人の魔力を感じることが出来る。しかしギルド自体にもだが、カリィの部屋にも結界が施されているので、少年の駄々漏れの魔力はまだ他の者には悟られていない筈だ。
(けれど、逆に言えば結界の中にでもいなければもっと早く、これだけの駄々漏れの魔力には気づく筈なのに……それこそ、幽閉でもされていたのか?)
そんな疑問を抱くアルバの前で、カリィがにこり、と少年に安心させるように笑いかける。
「私は、カリィ・ヴェーチェル。ギルドマスターよ……あなたは、誰? どこから来たの?」
「……平遊星です」
「タイラー?」
「あ、タイラ、じゃなく遊星が名前です……この世界の言い方だと、遊星・平?」
「……この世界?」
妙な言い方をする、と引っかかり尋ねたアルバの腕の中で、少年――遊星は、は更に驚くことを言い出した。
「俺は、日本っていう国の……地球って世界から来ました。そこで死んだんですけど、あの、その原因が天使だった猫を車から助けたからで……だから、神様からこの異世界で転生するように言われたんです」
「行くところがないんなら、ここで暮らせばいいわよ」
そう、ここまではアルバも予想していた。実は彼も昔、こんな感じで彼女に拾われたからだ。
しかし少年が今年、十六歳になると解ったことで話は変わった。変わってしまった。
「あら、そうなの? てっきり、十三歳くらいかと……でも、それなら『魔法学園』に入るべきね」
「そんなっ!?」
思わず声を荒げたのは、少年ではなくアルバだった。
「だって、子供ならまず保護者が必要だけど……この年なら、将来も考えないと。これだけ魔力があるなら『魔法学園』に入ればギルドだけじゃなく、魔法使いになる道も選べるし。アルバも入学予定だから、一緒だと私も安心だしね」
「僕に、押し付けないで下さいっ」
「……えっ? アルバ、さん? 俺と同じ年? てっきり、年上かと……いや! 老けてるとかって訳じゃなくっ」
あっさりととんでもないことを言い出すカリィに、即座に言い返すアルバと。ずれたところに引っかかり、慌てるあまり墓穴を掘る少年。
何故、こんなことになったのか――話は、少し前に遡る。
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両手が塞がっているし、魔法を使うまでではないのでフードは脱げたままにしてある。
ただ、この帝のローブ姿で素顔を曝す訳にもいかないので、ギルドの受付ではなく義母の部屋の前に転移した。そして、部屋の中に無断で入ることは出来なかったので謎の少年にノックをさせ、義母の――ギルドマスターであるカリィの返事を待って、やはり少年にドアを開けさせて中へと入った。
「お帰り……で、アルバ? どういうことなの?」
「空から落ちてきたので、とりあえず拾ってきました」
「っ!?」
突拍子も無いアルバの説明に、腕の中の少年がギョッとして顔を上げる。そんな黒髪の少年とアルバとをしばし見比べると、椅子に座っていたカリィは立ち上がって二人の元へと近づいてきた。
「……すごい魔力ね。アルバと同じ……いえ、制御や訓練されてなさそうな感じでこれだから、まだまだ伸び代はあるかしら?」
常人はともかく、高レベルの冒険者や魔法使いなら他人の魔力を感じることが出来る。しかしギルド自体にもだが、カリィの部屋にも結界が施されているので、少年の駄々漏れの魔力はまだ他の者には悟られていない筈だ。
(けれど、逆に言えば結界の中にでもいなければもっと早く、これだけの駄々漏れの魔力には気づく筈なのに……それこそ、幽閉でもされていたのか?)
そんな疑問を抱くアルバの前で、カリィがにこり、と少年に安心させるように笑いかける。
「私は、カリィ・ヴェーチェル。ギルドマスターよ……あなたは、誰? どこから来たの?」
「……平遊星です」
「タイラー?」
「あ、タイラ、じゃなく遊星が名前です……この世界の言い方だと、遊星・平?」
「……この世界?」
妙な言い方をする、と引っかかり尋ねたアルバの腕の中で、少年――遊星は、は更に驚くことを言い出した。
「俺は、日本っていう国の……地球って世界から来ました。そこで死んだんですけど、あの、その原因が天使だった猫を車から助けたからで……だから、神様からこの異世界で転生するように言われたんです」
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