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通解
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今回のサバイバルでは、使い魔の召還・使役は禁止されている。その為、生徒達は彼ら自身の魔法と魔武器だけで魔物や生徒達と戦う。
移動するとは言え、他の面々にアルバなりに気を使い、倒れた木の傍に丸太を並べることにした。倒木を盾代わりにする為だ。
そして今日の就寝場所が決まったところで、丸太を並べて寝床を完成させる組と、食料を探す組とで分かれることにする。
「「「グーとパーで分かれましょう」」」
かけ声と共に『グー』である拳と『パー』である掌を出す。
これはかつて、異世界から転生された勇者が広めた、多人数を二組に分ける方法だ。ちなみに、三組に分ける時は『チー』(指でハサミを作る)を追加する。同じく、異世界から転生した遊星は「え? 数百年前なのに何でこれ?」と不思議そうだったが。
「素のアルバって無茶苦茶、素直って言うか正直だよねー」
「……フェルス、黙ろ?」
「えー?」
そして今、分かれた組のせいでアルバの目は据わっている。
食料調達はアルバとフェルスとミーネ、寝床作りは遊星とイグレットとグレルになった。遊星がいれば大丈夫だろうが、離れているとやはり不安で。結果、不機嫌なのを隠さないアルバにフェルスは笑い、ミーネはそんな彼を制していた。
そのやりとりに、ふとアルバは引っかかる。フェルスとイグレットは幼なじみと聞いているが、貴族であるフェルスと平民であり、獣人であるミーネとの関係性が解らない。
「親しいんですね」
「ん? あぁ、ミーネは子供の頃にイグレットと旅先で出会って……働いて、彼女に恩返ししたいって言うから、俺の使用人になって貰ったんだ。ただ、同い年の子に畏まれるのも何だから。二人の時は、普通に話してくれって頼んでるんだよね」
「……へぇ」
「あ、解ったら興味無くなったでしょ? まあ、一緒に勉強してるうちにミーネにも魔法の才能があることが解ってさ。本人は渋ったけど、俺とイグレットが勧めて魔法学園に通うことになった訳」
「……ところ、で」
楽しげに話す(お見通しと言うような語り口が癪に障ったが)フェルスを、ミーネが遮ってアルバを見た。耳だけではなく、瞳孔が縦に細長くなっている金色の瞳で見上げられると、本物の猫と対峙しているような気分になる。
「どうして、詠唱が短い、の?」
「それは、俺も気になる! ユーセイの無詠唱もすごいけど、アルバの詠唱も最低限だよね」
そしてミーネの質問に、笑顔で乗っかってくるフェルスにアルバはやれやれとため息をついた。
面倒だがこちらの質問にも答えて貰ったし、ちょっとした『コツ』なので今回のサバイバルで掴めば、魔法の使い方も上達するだろう。
「詠唱は、魔力を魔法にする解りやすい『計算式』なんですよ」
「えっ? どういうこと?」
「たとえば、氷結ですが……『凍てつく氷よ』と『其れを凍らせよ』。これが『1+1』で、その後に唱える『氷結』は答えになる『2』。詠唱で魔力を解りやすく構築し、魔法にするんですが……実戦だと、いちいち全部唱える時間や余裕はないですから。戦い慣れた冒険者は、詠唱を可能な限り省略して代わりに脳内で構築して魔法にします。そう、最初は前半部分を声に出さずに唱えてみて。慣れたら、完成形を脳裏に浮かべて」
そこで一旦、言葉を切ってアルバは再び口を開いた。
「氷結」
その言葉、ではなく詠唱にフェルスとミーネはハッとして振り返った。刹那、驚きに見開かれた二人の視線の先には、氷漬けにされた猪がいる。
そんな二人に、アルバはしばし周囲を見回し、やがて真顔で問いかけた。
「あくまでも、説明の為だったんですが……今のも、君が他の生徒に約束した『戦うのは一日一回』に入るんでしょうか? そうなると、遊星にもしものことがあった時に戦えず、困るのですが」
「「問題ない(よー)」」
真面目か、と他の者がいたら突っ込んでいたかもしれないが――フェルスとミーネはただ顔を見合わせ、それぞれ笑顔と無表情で答えた。
※
「戻りました」
「お帰り……って、大猟だな!」
その後、メインの肉が手に入った為、食用のキノコなどを採って戻ると驚いた表情の遊星に迎えられた。それに微笑んで応え、アルバは担いでいた猪(解凍済)を地面に降ろす。
(今までも狩りはしてきたけど、遊星に食べて貰えると思うと励みになるな)
心の中で呟いて、アルバはふと思いついたことを口にした。
「今から猪を解体します。水魔法で洗いながらやりますが、血の匂いで魔物が来るかもしれません……フェルスとミーネは、さっき話したコツを試してみて下さいね」
「「解った(よー)」」
「えっ、コツって?」
「何の話?」
そんな彼らのやり取りを聞いて、イグレットとグレルも気になったのか尋ねてくる。
それに、短刀――ではやり難かったので、魔武器で猪を斬り分けながらアルバはフェルス達に話した『コツ』を二人にも教えたのだった。
移動するとは言え、他の面々にアルバなりに気を使い、倒れた木の傍に丸太を並べることにした。倒木を盾代わりにする為だ。
そして今日の就寝場所が決まったところで、丸太を並べて寝床を完成させる組と、食料を探す組とで分かれることにする。
「「「グーとパーで分かれましょう」」」
かけ声と共に『グー』である拳と『パー』である掌を出す。
これはかつて、異世界から転生された勇者が広めた、多人数を二組に分ける方法だ。ちなみに、三組に分ける時は『チー』(指でハサミを作る)を追加する。同じく、異世界から転生した遊星は「え? 数百年前なのに何でこれ?」と不思議そうだったが。
「素のアルバって無茶苦茶、素直って言うか正直だよねー」
「……フェルス、黙ろ?」
「えー?」
そして今、分かれた組のせいでアルバの目は据わっている。
食料調達はアルバとフェルスとミーネ、寝床作りは遊星とイグレットとグレルになった。遊星がいれば大丈夫だろうが、離れているとやはり不安で。結果、不機嫌なのを隠さないアルバにフェルスは笑い、ミーネはそんな彼を制していた。
そのやりとりに、ふとアルバは引っかかる。フェルスとイグレットは幼なじみと聞いているが、貴族であるフェルスと平民であり、獣人であるミーネとの関係性が解らない。
「親しいんですね」
「ん? あぁ、ミーネは子供の頃にイグレットと旅先で出会って……働いて、彼女に恩返ししたいって言うから、俺の使用人になって貰ったんだ。ただ、同い年の子に畏まれるのも何だから。二人の時は、普通に話してくれって頼んでるんだよね」
「……へぇ」
「あ、解ったら興味無くなったでしょ? まあ、一緒に勉強してるうちにミーネにも魔法の才能があることが解ってさ。本人は渋ったけど、俺とイグレットが勧めて魔法学園に通うことになった訳」
「……ところ、で」
楽しげに話す(お見通しと言うような語り口が癪に障ったが)フェルスを、ミーネが遮ってアルバを見た。耳だけではなく、瞳孔が縦に細長くなっている金色の瞳で見上げられると、本物の猫と対峙しているような気分になる。
「どうして、詠唱が短い、の?」
「それは、俺も気になる! ユーセイの無詠唱もすごいけど、アルバの詠唱も最低限だよね」
そしてミーネの質問に、笑顔で乗っかってくるフェルスにアルバはやれやれとため息をついた。
面倒だがこちらの質問にも答えて貰ったし、ちょっとした『コツ』なので今回のサバイバルで掴めば、魔法の使い方も上達するだろう。
「詠唱は、魔力を魔法にする解りやすい『計算式』なんですよ」
「えっ? どういうこと?」
「たとえば、氷結ですが……『凍てつく氷よ』と『其れを凍らせよ』。これが『1+1』で、その後に唱える『氷結』は答えになる『2』。詠唱で魔力を解りやすく構築し、魔法にするんですが……実戦だと、いちいち全部唱える時間や余裕はないですから。戦い慣れた冒険者は、詠唱を可能な限り省略して代わりに脳内で構築して魔法にします。そう、最初は前半部分を声に出さずに唱えてみて。慣れたら、完成形を脳裏に浮かべて」
そこで一旦、言葉を切ってアルバは再び口を開いた。
「氷結」
その言葉、ではなく詠唱にフェルスとミーネはハッとして振り返った。刹那、驚きに見開かれた二人の視線の先には、氷漬けにされた猪がいる。
そんな二人に、アルバはしばし周囲を見回し、やがて真顔で問いかけた。
「あくまでも、説明の為だったんですが……今のも、君が他の生徒に約束した『戦うのは一日一回』に入るんでしょうか? そうなると、遊星にもしものことがあった時に戦えず、困るのですが」
「「問題ない(よー)」」
真面目か、と他の者がいたら突っ込んでいたかもしれないが――フェルスとミーネはただ顔を見合わせ、それぞれ笑顔と無表情で答えた。
※
「戻りました」
「お帰り……って、大猟だな!」
その後、メインの肉が手に入った為、食用のキノコなどを採って戻ると驚いた表情の遊星に迎えられた。それに微笑んで応え、アルバは担いでいた猪(解凍済)を地面に降ろす。
(今までも狩りはしてきたけど、遊星に食べて貰えると思うと励みになるな)
心の中で呟いて、アルバはふと思いついたことを口にした。
「今から猪を解体します。水魔法で洗いながらやりますが、血の匂いで魔物が来るかもしれません……フェルスとミーネは、さっき話したコツを試してみて下さいね」
「「解った(よー)」」
「えっ、コツって?」
「何の話?」
そんな彼らのやり取りを聞いて、イグレットとグレルも気になったのか尋ねてくる。
それに、短刀――ではやり難かったので、魔武器で猪を斬り分けながらアルバはフェルス達に話した『コツ』を二人にも教えたのだった。
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