女神の加護? いいえ、ケフィアです。

渡里あずま

文字の大きさ
23 / 34

乳製品レシピを広める為に

しおりを挟む
 元々、母であるウーナは子持ちとは思えないくらい、若くて美しい。
 けれど、ケフィアを食べてから一週間――その間に肌が目に見えて潤いを増し、しっとり艶やかになった。効果としては知っていたがここまで、しかも思った以上に早く結果が出ると驚くばかりである。

(これだけ早く、結果が出たってことは……言わないけどお母様、便秘気味だったのかも)

 それがケフィアを食べ、老廃物が排出される代わりに美肌効果や保湿効果が出た結果だと思われる。母の名誉の為に、絶対に口には出さないが。
 そんなことを考えていたら、ハンナ以外のメイド達がオリヴィアを取り囲んだ。

「お嬢様! どうすれば私達も、女神様の加護を受けられますか!?」
「奥様が、ますます美しくなって……」
「食べるだけで、あんなになるなんて!」

 母の生活習慣や化粧などはそのままだと、身の回りの世話をしているメイド達はよく知っている。だからこそメイド達が気になるのは解るし、ハンナもオリヴィアを気遣って詰め寄りこそしないが、メイド達とのやり取りを気にしているのが解る。

(お母様の宣伝効果がすごい)

 あれだけ顕著に効果が出たのだから、気持ちは解る。作るのを追加すれば良いので、渡すことに問題はない。しかし、家族と丈夫なヨナス以外に食べさせる場合は、注意事項の説明が必要だ。

「効果には、個人差があるの。だから、効果が出なくても落ち込まないでね? あと、体に合わなかったらすぐにやめること……皆、出来る?」
「「「はいっ」」」
「解ったわ。じゃあ、追加して作るから少し待ってね?」
「「「ありがとうございますっ」」」
「いやぁ、これなら今回の女神の加護には平民も飛びつくでしょうな」

 話がついたところで、今まで黙って話を聞いていたヨナスが話を切り出してきた。

「今までレシピを買っていたのは貴族に仕える料理人か、富裕層を相手にする料理人でしたけど……値段的に、すぐすぐじゃないでしょうけど。パン窯自体は城下町のパン屋にもありますし。作り方自体は簡単ですから、大枚はたいても将来的には儲かるでしょうな」
「……そう? 広まって、くれるかしら?」
「お嬢様?」

 ヨナスの言葉に、オリヴィアは尋ねた。
 オリヴィアの目標は、ケフィアを始めとする乳製品を広めて、最終的には女神への奉納の儀を行うことだ。
 完成し、こうして効果が出た以上はヨナスの言う通りになりそうだが――オリジナルレシピの値段は、他のレシピとの兼ね合いもあるので安くは出来ない。だから今までの乳製品レシピも、ある程度は売れたが貴族に仕える料理人や、富裕層を相手にする料理人にしか買われていないのだ。悪用はされずに済んでいるが、奉納の儀には平民も参加してほしいので、平民にも乳製品レシピを広めたいと思っているのだが。

「じゃあ、まずは城下町にオリヴィアのレシピが食べられる店を出すのはどうだ?」
「……ヴァイス?」
「安売りはしないけど、一回きりにならないように馬鹿高くはしない。それなら平民でも食べに来られるし、レシピの価値が解ればヨナスの言う通りに買うんじゃないか?」

 問い返したオリヴィアにそう言って、ヴァイスはニッと金色の瞳を細めて見せた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!

966
ファンタジー
「錬金術士様だ!この村にも錬金術士様が来たぞ!」  最低ランク錬金術士エリセフィーナは錬金術士の学校、|王立錬金術学園《アカデミー》を卒業した次の日に最果ての村にある|工房《アトリエ》で一人生活することになる、Fランクという最低ランクで錬金術もまだまだ使えない、モンスター相手に戦闘もできないエリナは消えかけている前世の記憶を頼りに知り合いが一人もいない最果ての村で自分の夢『みんなを幸せにしたい』をかなえるために生活をはじめる。  この物語は、最果ての村『グリムホルン』に来てくれた若き錬金術士であるエリセフィーナを村人は一生懸命支えてサポートしていき、Fランクという最低ランクではあるものの、前世の記憶と|王立錬金術学園《アカデミー》で得た知識、離れて暮らす錬金術の師匠や村でできた新たな仲間たちと一緒に便利なアイテムを作ったり、モンスター盗伐の冒険などをしていく。 錬金術士エリセフィーナは日本からの転生者ではあるものの、記憶が消えかかっていることもあり錬金術や現代知識を使ってチート、無双するような物語ではなく、転生した世界で錬金術を使って1から成長し、仲間と冒険して成功したり、失敗したりしながらも楽しくスローライフをする話です。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

処理中です...