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生き抜いて良かった。そう思いながら眠りに落ちたのに。
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次の話に合わせて、体勢の部分を少し修正しました。
※
前世も含めて、初めてたくさんの人達に祝って貰った誕生日は、本当に素敵で幸せだった。
明日こそアンドレアを連れて領地を案内するが、グローリアがずっと塩対応のせいか明後日にはアンドレアは帰るらしい。前世を思い出してからずっと怖かったけれど、生き抜いて良かった。そう思いながら、クララベルは眠りに落ちた。
……そんな心地好いクララベルの眠りが、不意に口を布で塞がれて無理やり妨げられる。
「っ!?」
「しー」
ギョッとしたクララベルに、そんなふざけたことを言って笑いかけてきたのは異母兄であるアンドレアだった。
何故、彼が自分の部屋にいるのか。そう思いながらも何とか声を上げて逃げようとするが、アンドレアは寝台に乗って覆い被さり右肩を押さえつけている上、口を塞ぐ布に薬でも染み込ませていたのか体に力が入らない。
「誕生日プレゼントを、渡したかったのは本当だが……一番の目的は、お前の部屋の場所を知りたかったんだ。おかげで、こうして『影』の手を借りて忍び込めた」
「っ!」
アンドレアのいう『影』とは、皇帝に仕える刺客や諜報員だ。そんな『影』を動かせるとは流石、皇太子である。
「グローリア嬢との婚姻は、父上から反対されたよ。お前が嫁いだ上に、僕までグローリア嬢を娶ったら、ラス辺境伯家が力をつけるからってね……でも、それってさ?」
お前がいなければ、僕はグローリア嬢と結婚出来るってことだよね?
輝くばかりの笑顔で、酷いことを言うアンドレアにクララベルは動きを止めた。アンドレアは、下手に刺激をしたら何をするか解らない。そう思ったからだ。
(『影』を連れてきたのは、私を殺す為ってことか……てか、いくらグローリアを手に入れたいからってここまでする?)
義母や異母姉と違い、そこまで仲は険悪ではなかったが──女好きめ、と内心呆れながらも大人しくなったクララベルに、満足したように頷いてアンドレアが言葉を続ける。
「父上から、お前を殺すつもりだったって聞いた。だったら僕が殺しても、問題ないって思ったけど……今のお前を見て、少し気が変わった」
「……?」
「本当に、ミラによく似ている」
「!?」
その言葉と共に、アンドレアから熱のこもった目で見つめられたのに──刹那、全身総毛立った。話の先を聞きたくなくて両耳を塞ぎたいが、体に力が入らないのでそもそも両手を上げることも出来ない。
そんなクララベルの視線の先で、アンドレアが聞きたくなかった言葉を続けた。
「毒を飲ませて、自死を装わせるつもりだったけれど……仮死状態にして、連れて帰るよ。異母妹を自死させた相手に、亡骸なんて預けられない。責任を取らせる形で、グローリア嬢を娶ってやろう。ただ、どうせまた喪に服すとか言いそうだから……その間は、楽しもうね」
「……ふ……」
私達は、血が繋がっている。許されない。黙っているから、考え直してほしい。
そう言おうとしたが、口を塞がれて言葉にならず──けれど考えていることが顔に出たのか、アンドレアは笑いながら言った。
「子が生まれなければ、問題ないよ……ああ、でもミラに似た女の子なら、また楽しめるかな?」
突きつけられた最悪すぎる未来に、たまらず涙がこぼれ落ちた。
※
前世も含めて、初めてたくさんの人達に祝って貰った誕生日は、本当に素敵で幸せだった。
明日こそアンドレアを連れて領地を案内するが、グローリアがずっと塩対応のせいか明後日にはアンドレアは帰るらしい。前世を思い出してからずっと怖かったけれど、生き抜いて良かった。そう思いながら、クララベルは眠りに落ちた。
……そんな心地好いクララベルの眠りが、不意に口を布で塞がれて無理やり妨げられる。
「っ!?」
「しー」
ギョッとしたクララベルに、そんなふざけたことを言って笑いかけてきたのは異母兄であるアンドレアだった。
何故、彼が自分の部屋にいるのか。そう思いながらも何とか声を上げて逃げようとするが、アンドレアは寝台に乗って覆い被さり右肩を押さえつけている上、口を塞ぐ布に薬でも染み込ませていたのか体に力が入らない。
「誕生日プレゼントを、渡したかったのは本当だが……一番の目的は、お前の部屋の場所を知りたかったんだ。おかげで、こうして『影』の手を借りて忍び込めた」
「っ!」
アンドレアのいう『影』とは、皇帝に仕える刺客や諜報員だ。そんな『影』を動かせるとは流石、皇太子である。
「グローリア嬢との婚姻は、父上から反対されたよ。お前が嫁いだ上に、僕までグローリア嬢を娶ったら、ラス辺境伯家が力をつけるからってね……でも、それってさ?」
お前がいなければ、僕はグローリア嬢と結婚出来るってことだよね?
輝くばかりの笑顔で、酷いことを言うアンドレアにクララベルは動きを止めた。アンドレアは、下手に刺激をしたら何をするか解らない。そう思ったからだ。
(『影』を連れてきたのは、私を殺す為ってことか……てか、いくらグローリアを手に入れたいからってここまでする?)
義母や異母姉と違い、そこまで仲は険悪ではなかったが──女好きめ、と内心呆れながらも大人しくなったクララベルに、満足したように頷いてアンドレアが言葉を続ける。
「父上から、お前を殺すつもりだったって聞いた。だったら僕が殺しても、問題ないって思ったけど……今のお前を見て、少し気が変わった」
「……?」
「本当に、ミラによく似ている」
「!?」
その言葉と共に、アンドレアから熱のこもった目で見つめられたのに──刹那、全身総毛立った。話の先を聞きたくなくて両耳を塞ぎたいが、体に力が入らないのでそもそも両手を上げることも出来ない。
そんなクララベルの視線の先で、アンドレアが聞きたくなかった言葉を続けた。
「毒を飲ませて、自死を装わせるつもりだったけれど……仮死状態にして、連れて帰るよ。異母妹を自死させた相手に、亡骸なんて預けられない。責任を取らせる形で、グローリア嬢を娶ってやろう。ただ、どうせまた喪に服すとか言いそうだから……その間は、楽しもうね」
「……ふ……」
私達は、血が繋がっている。許されない。黙っているから、考え直してほしい。
そう言おうとしたが、口を塞がれて言葉にならず──けれど考えていることが顔に出たのか、アンドレアは笑いながら言った。
「子が生まれなければ、問題ないよ……ああ、でもミラに似た女の子なら、また楽しめるかな?」
突きつけられた最悪すぎる未来に、たまらず涙がこぼれ落ちた。
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