主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま

文字の大きさ
2 / 24

奪われた日常

しおりを挟む
「は、はこっちだ。この役立たず!」
「「「殿下!」」」

 状況についていけず舞が声を上げると、いきなり罵倒された。
 見ると二十歳くらいの、王子コスプレ(流石にかぼちゃパンツではないが、王子と言われれば納得出来る格好)をした美青年が、長い赤毛を靡かせながら大股の足取りで舞に向かって歩いてくる。
 そんな美青年に、周囲の外国人コスプレ集団がざわついた。

(殿下って、王族とかのことよね? アトラクションとかの設定? どう見ても、外国人だけど……皆、日本語、上手……って、あれ、違う?)

 最初、舞は随分と日本語の上手な外国人だと思った。
 だが、よく見ると周りも含めて唇の動きと聞こえる台詞が合っていない。洋画の吹き替え版を観ているようだと言えば、伝わるだろうか?
 そんな彼女に、殿下と呼ばれた美青年は尚も舞に向かって暴言を吐いてくる。

「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」

 召喚、と言うことは舞はこの美……いや、こんな暴言野郎は敵だ、敵。この敵に、舞は勝手に連れてこられたらしい。腹立たしいが、口に出して更に逆上させたくないので舞は心の中だけでそう思った。
 もっとも敵は先程の、舞のもっともなツッコミすら気に食わなかったらしい。

「出ていけ! 二度と我々の前に、その平たい顔を見せるな!」
「えっ?」
「チッ、愚図が……目障りだ、連れていけ!」
「「「かしこまりました、殿下」」」

 敵の命令により、兵士らしい格好をした男達が左右から舞の腕を掴み、引きずるように石造りの部屋から連れ出した。
 そして状況についていけ――ない訳ではないが、下手に抵抗して怪我などしたくないので大人しくしていた舞を洋館、いや、城を出て大きな扉の向こう、つまり城壁の外へと突き飛ばした。
 よろけこそしたが、何とか転ぶのは堪えて振り向くとここまで連れてきた男達が、しっしと犬でも追い払うように手を振って舞に言った。

「さっさと行け!」
「もう戻ってくるなよ!」
「……っ」

 あんまりな対応に、舞は目を見開いて絶句した。
 先程もだが、どうして初めて会ったばかりの面々に、自分がここまで馬鹿にされなくてはいけないのか。
 悔しくて悲しくて泣きそうになったが、何とか舞は堪えた――こんな失礼な奴らの前で泣くなんて、冗談ではないと思ったからだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている

潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する

白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。 聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。

【完結】追放された転生聖女は、無手ですべてを粉砕する

ゆきむらちひろ
ファンタジー
「祈るより、殴る方が早いので」 ひとりの脳筋聖女が、本人にまったくその気がないまま、緻密に練られたシリアスな陰謀を片っ端から台無しにしていく痛快無比なアクションコメディ。 ■あらすじ 聖女セレスティアは、その類稀なる聖なる力(物理)ゆえに王都から追放された。 実は彼女には前世の記憶があって、平和な日本で暮らしていたしがないOLだった。 そして今世にて、神に祈りを捧げる乙女として王国に奉仕する聖女に転生。 だがなぜかその身に宿ったのは治癒の奇跡ではなく、岩をも砕く超人的な筋力だった。 儀式はすっぽかす。祈りの言葉は覚えられない。挙句の果てには、神殿に押し入った魔物を祈祷ではなくラリアットで撃退する始末。 そんな彼女に愛想を尽かした王国は、新たに現れた完璧な治癒能力を持つ聖女リリアナを迎え入れ、セレスティアを「偽りの聖女」として追放する。 「まあ、田舎でスローライフも悪くないか」 追放された本人はいたって能天気。行く先も分からぬまま彼女は新天地を求めて旅に出る。 しかし、彼女の行く手には、王国転覆を狙う宰相が仕組んだシリアスな陰謀の影が渦巻いていた。 「お嬢さん、命が惜しければこの密書を……」 「話が長い! 要点は!? ……もういい、面倒だから全員まとめてかかってこい!」 刺客の脅しも、古代遺跡の難解な謎も、国家を揺るがす秘密の会合も、セレスティアはすべてを「考えるのが面倒くさい」の一言で片付け、その剛腕で粉砕していく。 果たしてセレスティアはスローライフを手にすることができるのか……。 ※「小説家になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」に同内容のものを投稿しています。 ※この作品以外にもいろいろと小説を投稿しています。よろしければそちらもご覧ください。

桜の花の咲く頃に

月樹《つき》
ファンタジー
私がこの世界に召喚されたのは、丁度桜の花の咲く頃だった。 私が召喚されたのは、この世界の魔王を倒すため。 この世界の人達のために命を掛けて闘ってくれと彼等は言う。それが召喚された聖女の役目だからと、当然であるかの如く…。 何のために?この世界には、私の愛する人達もいないのに…。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

【 完 結 】言祝ぎの聖女

しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。 『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。 だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。 誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。 恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。

処理中です...