嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第12章 優しさとは

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あっという間に土曜日になり、今日はしーくんから翔さんに廉くんとちょっと午前中にお出かけに行くよと伝えてくれた。
「しーくん・・・。」
「どうした?不安になってきた?」
「うん・・・。」
「正直に言えたね。何が不安?」
「・・・直人さんと間宮先生と母さんに会わないか・・・・」
「そっか。廉くん言ったもの入れてきた?」
膝の上にある紙袋の中を見る。
「持ってきた・・・。」
袋の中にはパーカーが入っている。
「それフードついてるでしょ?だからかぶっていたら大丈夫だよ。」
「ん・・・。」
「廉くんの目標は今日どこまでとかあるの?」
「今日の目標?」
「たぶん今日白山病院の中には入れると思うけど、長時間いるのは廉くんのメンタル的に難しいと思う。」
「・・・。ですよね・・・。とりあえずカフェがあるところまではいけたらいいなって・・・。」
「うん。カフェならロビーから近いね。無理なら無理で帰ろう。なんか買ってお家で食べよう。」
しーくんはすでに俺がどこまではいれてその後どんなメンタルになるか予想できてるんだろうな・・・。
車が病院へ到着して、俺はパーカーを着てフードをかぶる。
「さ、行こうか・・・。」
「うん・・・。」
しーくんはキャラクターのパーカーにジーパンとラフな格好。
俺はカーキーのダボパンに黒いフード付きパーカー。
目立ちはしないと思うんだけど・・・。
二人ともフードをかぶるとただの不審者なのでしーくんはかぶっていない。
「しーくん・・・。」
まだ駐車場の途中なのに足が止まる。
頭に蘇る、脱走した日の3人の顔・・・。
「しーくん・・・・。」
「大丈夫。俺いるよ?廉くんのペースでゆっくり行こう。」
「うん・・・。」
しーくんの服の袖をつかんですり足で一歩ずつ前に進む。
進むにつれて呼吸はハァハァ言い始める。
10分経ってようやくロビーの自動ドアの前まで到着した。
「廉くん、まだ行く?もうやめる?」
カフェまでは後少し。
「カフェまで・・・。」
「わかった。じゃあカフェまで頑張ろう。病院はいるからマスクしようね。」
ポケットからマスクを出して俺の口に当てる。
「ん。」
「よし、行こうか。」
下を向いて一歩一歩進む。
「廉くん一回止まって深呼吸しようか。」
「ん。」
呼吸の乱れがひどくなってしーくんに深呼吸を勧められた。
「よし、行こう。」
結局30分かかってカフェまで到着した。
声をかけられるかと思ったけど、しーくんが看護師と目が合うたびにシーッと合図を送ってくれていたらしい。
「どうするカフェまでこれたしなんか飲む?」
「いつものカフェの方で飲み物飲みたい・・・。」
「わかったよ。じゃあ帰ろうか。どうする?俺おんぶしようか?」
「大丈夫。帰り早いから・・・。」
宣言通りあんなに時間かけてカフェまで到着したのに帰りは3分で車まで戻った。


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