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しおりを挟むおっと、ぼけっとしていたら、また怒るかも。
これを受け取ればいいのかな。
「あ、ありがとう。なんか知らんけど……。これはまた、けったいな道具だな」
『それはな頭の上からこう……。ここを前にして被って見よ。重さはないからな苦にはならない筈だ』
重さがないって──。
あれ、本当だ。なにも付けてないような感覚で不思議だ。
装着して見て分かったんだが。これ、アレじゃないかな。
スキーヤーが顔に付けてる、ゴーグルってやつ。それに似てる。
こっち側からはゴーグルの窓越しに外が見える。
外からは窓なんて見えなかったのに。
「ふつうに女神さんのお顔が見えますが。どうなるんです、これ?」
すると女神が「それなら良い」と言い、右手をゴーグルの前にかざした。
ブワ~ンって音なのか、それと同時に頭部への振動を感じた。
ゴーグルの起動音のようだ。いったい何が始まるんだ。胸が高鳴った。
やがて音は静かになり、完全に消えた。
それが終わると女神の右手が、そのまま俺のまぶたの上に押し付けられてくる。
軽くではあったが。
「え、ちょっと? なにが起きたんだ!? ゴーグルが……消えた??」
音か衝撃かわからないうちに振動へと変わり、女神の手が目の前を覆った。
そのまま手のひらを顔にぐぐっと押し当てられたんだ。
俺の顔、装着したゴーグル、女神の手。
つまり、俺の顔と女神の手の間にはゴーグルがあるわけだから。
そんなことされたら目が潰れるだろって思ってたら、頭部からベルトで装着していたゴーグルがすっーと消えたんだ。
俺の見間違いでないのなら、ゴーグルは女神の手によって、俺の顔面の中に押し込まれて行ったことになる。
神様……それってどういうことよ!?
この胸の問いに応じる様に、女神が口を開いた。
『女神エンジン……セットアップ完了しました!』
何が完了した? どこへの報告だ。
お、俺に言ったのかな。
「なに言ってるの? あれはどこに行ったんだよ? 見間違いじゃなければ──」
『そうよ。お前の脳内にセットさせてもらった。それは、【女神エンジン】。頭部装備物だが、人の知るヘルメットのような代物とは違う。太陽神の末裔である私がこれまで知り得た情報がすべてそれに格納されておる。それを今、お前の体内に挿入した。それが正しい解釈になる』
なんだって!? ゾッとするようなことをしれっと言っておるぞ。
いや……やめておこう。
もう、何をされても信じていく他はないんだろう。
べつに痛みがあるわけでもないし。
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