願いを叶える魔法の傷薬~俺の異世界転生に必要なスキルを72時間しか遊べない体験版ゲームで取に行くところです~

ゼルダのりょーご

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 風呂から上がってさっぱりした。
 俺は再び、畳のうえで寝転んだ。
 彼には「眠気がさした」と伝えた。

 あと、遠出をせずにその辺にいるんだよ、と釘もさしておいた。
 ゴロンと寝返りを打つように、肘枕をして目を閉じた。

 駒次郎は連れて行かれた彼女のことをただの幼馴染というが。
 本当に、恋愛感情は持っていないのだろうか。
 それとも、まだ人を本気で好きになった経験がなくて目覚めていないだけか。
 そういう人も世の中には割といるし、べつに良いけど。

 この時代、近隣の幼馴染って家族同然かもしれないが。
 あくまでも他家の事情だ。
 恋愛感情抜きで、ゴロツキの巣窟へ殴りこんでまで取り戻そうとするか。

 問題が貧困にあるのは承知のはずだ。
 行って何ができるというのだ。
 話し合いか。
 借金をしたその形だろ。
 耳を揃えて完済しなければ、決して解決のない世界のはずだ。
 だれが助けてくれる訳でもないのだから。
 ねずみ小僧みたいなのも現われなくて、こうなったんだろうからな。

 その悔しい気持ちは分からないでもないけど。
 世間知らずもいいとこだな。
 だが今回のことで世間の厳しさを知ったことだろう。

 となれば、さて駒次郎は金策をどうするのだろう。



 ◇

 
 横になって色々と考えてみた。
 このままゴロゴロしながら考えこまねいていても仕方がない。
 10分も経ってないが駒次郎を部屋に呼び寄せた。
 ちゃぶ台を前にすると、お茶でもどうぞと言い湯呑を差し向ける駒次郎。

「コマさん、金策の目途めどはついてないんだろ?」

 それしか話題がないから、それを訪ねる。
 こんな出会いじゃなければ何を話していただろう。
 いまは困っていない者には用はないのだが。
 ふと悲しい気持ちにもなる。なんだか人の不幸を歓迎しているようで。

「……はい。お里の家の借金が十両。金貸しのヤクザが女郎屋に十五両で売り飛ばしたんです。おまけにお里は上玉と評判で、五倍買いでなら引き取らせると。取り戻すのにとんでもない大金が必要になりました」

 十五両の五倍だから七十五両か、そりゃ大金だな。

「金貸しの借金は、お里ちゃんを渡したからチャラになったはずだから、あとは身請け金の七十五両だけだな。ところで、なんでヤクザと揉めてたんだ?」

 女郎屋とグルだったとしても不思議ではないんだが。
 揉める理由はなんだ?
 金のない者など門前払いだろ。
 金の亡者どもが相手にするのは、美女と金と酒ぐらいではないか。

「金を借りようとしたんだ。身請けの額だけ」

 それ担保なしでは普通の良心的な金貸しでも無理があるぞ。
 返済の当てがない上に、手持ちの店とか土地とか。差し押さえるものもない。
 ヤクザ金融になにを頼んだんだ。

「担保になるものが何もないんでしょ? それにコマさんは男だし」
「ああ、女は体を売れるけど、男じゃねえ。それで炭鉱夫でもなんでもすると言ったら、山に連れていかれて、ひと月も閉じ込められたよ」

 そりゃ、そうなるだろな。

「まあ給金は雀の涙で、飯もろくに食えなくてヘトヘトになったことだろう」
「うん」

 駒次郎は思い返すように辛辣な表情を浮かべる。

「山に行くとなれば、同意の上だから。まともな契約じゃないよね」
「……うん」

 さぞや弱みに付け込んだ酷い契約なのだろう。
 言葉にできないほど、痛々しい顔をみせる。

「一生そこから出してもらえない不安と恐怖を味わったんだね」
「……」

 駒次郎は言葉を飲み込んでしまった。

 うつむいたままだが、肩を震わせている。
 込み上げる涙を隠しているようだ。
 かける言葉が見当たらないが、同情しすぎてはいけない。
 これは他人ごと、他人ごと。

「さあ温かいものでも飲んで、すこし落ち着こうか」

 目の前のお茶をすすめた。
 彼が俺のために淹れてくれたものだ。
 手に取り、ひとくち、ふたくち喉に通すと「はあっ」と息を吐く。
 体が温まったのか、蒼い顔がじわじわと赤みを取り戻した。

「けど、よく逃げ出してこれたね」

 彼は小さく頷いた。
 そしてこわごわと口を開いた。

「それが……見張りの大男に若い男好きがいて、すこし休ませてやるからと」

 は?

「確かに下っ端はこき使われすぎて自由がない。中には子供好きがいても不思議じゃないが。それは運がよかったな」

 相手が気を許した隙に脱出を図ったのだな。

「大男はおれに逃げられるとは思わずに、失脚を親方に知られて激怒してたよ」

 そこから一目散に逃げだしてきたわけだ。

「最後は、やつらに見つかりはしたけど夢中で振り払って走っていたら、ツナセ街道に出ていたんだ。追いつかれて捕まったら殺されるとさえ感じていた所に、グンが立ち止まっていてぶつかってしまったんだ」

 勢いよくぶつかったことに照れながら、駒次郎は改めて頭を下げる。
 
 立ち止まっていたのは、その様子を窺っていたからだけど。
 幼友達のために随分と苦労をしたんだな。
 一見、無茶だけど誰かの為にそこまでの犠牲を払おうなんて、ぜったい惚れてなければできないよな。

 ここまでで明確になったことが一つある。

 この時代の庶民の苦しみの大半は貧困だ。
 このジョブを選択すると人助けが必須事項になるから。
 金策も必須事項になる。

 ゲームって基本は金策なのかもしれないね。
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