異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第478話 レクリエーション(3)

2位はチェリー。カードのお題は【赤いリボンをつけている女の子】

目の前にいたらしい。よく見えるようにと両親が、1番前に女の子を座らせていたようだ。

チェリーは女の子の肩に乗り、女の子が走ったから早かったようだ。


3位はルチア。カードのお題は【今一番気になる人】

ルチアも男の人の肩に乗り、男の人が一生懸命走ってゴールしたようだ。

男の人、見たことある顔なんだけれど誰だろうか?

『料理長の近くによくいる人だよ』アトレが教えてくれた。

私もやっと一致した、いつもは料理人の恰好だし前髪をあげているのに、今日は下ろしていることと普段着だからわからなかった。

こうしてみると背も高いし、イケメン部類かも……でもどうしてルチアが一番気になる人なんだ?


『新作お菓子を日々研究していて、完成したら告白するらしい』

アトレ、それ本人に言えないよ、私も相手が気になるけれど……無難に彼には伝えておこう。

「新作お菓子考えているんだってね。ルチアが楽しみにしているみたいだよ」

彼はぎょっとした顔をルチアに向けている。

この様子だと調理場ではないところで試作とかしているのかな?

まぁ、これ以上は突っ込むまい。

ゴールした人にはどら焼きを配って元の場所に戻っていった。


ここからは参加者全員が、順番に始める。

「ガラス玉のネックレスをした人いませんかー」「5歳と8歳の兄弟いませんかー」

周囲に競技者が大声を出しながら移動してさがしている。

そうそう、これが本来の借り物競争だ。


「ズボンをはいた女性はいませんかー」という声が聞こえたら、観客から「女性政務官にお願いしろー」という声が聞こえた。

その声が聞こえたのだろう、女の人がロゼッタたちのところへ走って行っている。


「メイちゃん、ずっと好きでした。付き合ってください」めちゃくちゃ大きな声が聞こえてきた。

声がする方向を見ると、競技者が告白した女性に手を差し出している。

ちょっと待って、告白カードなんてなかったはず。


カードは政務官、侍女さん、マイヤーたちなど私に近い人たちに書いてもらっていた。

いちおう変なものが入っていないか、私が確認したので間違いはない、これは審議をしなくては!!

「はい、喜んで!」

告白した男の人と手を取り合ってゴールに向かって走っていった。


状況を見ていた人たちが、やんややんやと騒いでいる一方で

「メイちゃんー、俺たちの天使が・・・」

騒いでいる冒険者っぽい男の人たちに向かって、私は心の中でご愁傷さまですと伝える。

今回、護衛の冒険者たちも午前、午後と別れて参加をOkして、参加していない間はこの辺りや宿泊先となっている建物の見回りをすることになっていた。

休憩時は、食堂、屋台、土産物自由に行動することも許可していたから、安い護衛料でも希望者が殺到したから選別が大変だったと、冒険者ギルド長から愚痴を言われた。

最初は普通の料金でお願いしようとしたけれど、条件が良すぎだといわれて護衛料を下げた、それでも殺到したらしいから、こちらも驚いたんだよね。

冒険者たちのことはおいておいて、審議を始めよう。


「告白が上手くいっておめでとう。カードを見せてほしい」

私はゴールした2人に向かっておめでとうと言い、カードを受け取る。

お題のカードは【配偶者、婚約者、恋人と手をつないでゴールする】

これは私が3つほど混ぜたカードだった。

相手がいなかったらごめんねっていうオチだったのだけれどな。


「恋人になったから条件クリアです!」

告白した男の人が堂々と言い、女の人は顔が赤いが嬉しそうだ。

「もし将来2人が結婚することになったら、新街にできる高級ホテルの新婚さんしか泊まれない部屋の宿泊をプレゼントするよ」

皆の前で玉砕されるかもしれないのに告白したんだ、上手くいったらこれくらいいいだろう。

「「本当ですか!!」」

私は後日正式な手紙を送るからと彼らの所属先と名前を聞くと、領都のどら焼きの店の料理人と売り子だった。

なるほど・・・売り子ならお目当てで通う人もいるかもしれないな。


「リーンハルト様、そのカードはまだあるのですかー」

大きな声が聞こえてきたから首をかしげていると、そばにいたロゼッタが拡声器ONで、会話がすべて皆に聞こえていますと小声で教えてくれた。

あちゃー、やってしまった。

私は皆に向かって拡声器で話し出す。


カードはあと2つあること、このカードは私が書いたもので【配偶者、婚約者、恋人と手をつないでゴールする】

これがカードに書かれている正しい内容で、告白カードではない。

だけど皆の前で玉砕もあるのに、告白した彼の勇気に感動したからのプレゼントだということ。

もし彼が他の女性と結婚する場合は、無効のチケットだとも話す。


「同じカードを引いて告白成功したら、他の人も同じプレゼントもらえますかー」

別の男の人が大きな声で聞いてきた。

「もしこのカードを引いて告白して成功して、将来結婚となればプレゼントしよう」

「「「ウォー!」」」「絶対引いてやる!」

男性陣の雄叫びがすごい。

そんなに独身者が多いのか?

しかも意中の相手がこの中にいるのか?

独身者ばかりが、このカードを引くことはないだろうからいいだろう。


しかしあれから私の書いたカードを引いた人はいなくて最終組になった。

「「「商会長―」」」

あちこちから女性の歓声が聞こえるので、スタート地点を見たらラジエルがいた。

まさか最初に来るなんて思わなかったよ。

全然気づかなかったが、これでウエストランド商会員たちも参加しやすくなっただろう。

次期男爵で、ウエストランドの商会長で金持ち、イケメン、若い女性から人気のようだ。


合図が鳴るとカードめがけてダッシュする人、ゆっくり走る人さまざまだ。

ラジエルがカード内容を見て顔をしかめている。

いったい何を引いたのやら。

ラジエルが周囲を見回し対象者を見つけたようで、全速力ではなさそうだが走っている。


誰に行くのかと目で追っていたら、ローザに片手を差し出し、ローザが戸惑いながらもラジエルの手を取り、一緒にゴールに向かっているではないか!!

若い女性陣の悲鳴が聞こえる。

もしかして私のカードを引いたのか、聞いていないなぞ、そこの2人。

いつの間にくっついたのだ、あとで追究しよう。

無事に催しも終わり解散する。

あとは各々で明日の出発まで新街を楽しんでくれればいい。
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