異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

文字の大きさ
413 / 491
【リーンハルト:11歳】

第482話 微妙

『ハルト、アーグアがね、魔石を食べるから嬉しかったと、冒険者たちに伝えて欲しいと言っているよ』

私はアトレ経由で聞いたアーグアの言葉を冒険者たちに伝える。


「俺が言ったとおりだろ、魔石付きが正解だったんだ」

うなだれていた冒険者の一人が元気になり、仲間に自慢げだった。


「あなたたちの食料を減らしてしまってまで、私たちを助けてくれたこと本当にありがとう」

別の女性の冒険者一人は、ウォータースパイダーとアーグアに向かって頭を下げている。

それを見て他のメンバーもウォータースパイダーとアーグアに向かって頭を下げた。


「実は俺たちはCランクになってそんなに経っていないんです」

「もしかしてポイズンモスに襲われた時はDランク?」

「はい」年長者らしき人は気まずそうだった。


さらに詳しく聞くと、ゴブリンを追って森に入り、オークと遭遇して討伐し、もう少しオークを討伐したいと欲をかき、森の奥に踏み込み、ポイズンモスに遭遇してしまったそうだ。

森と言っているが、ここも樹海の一部だ。

当時の彼らは冒険者ギルドで決められている「樹海の奥に入ることができるのはCランク以上」というルールを破ったことになる。


街道にゴブリンが出るため、それを追いかけてとか、村からゴブリンなどの討伐依頼はよくあるので、樹海の奥に行かなければいいが、たまにこの冒険者たちのような人がいて、大怪我や死んだりする者はいる。

彼らも反省したから、ランク上げを頑張ったのだろう。

あとポイズンモスの死骸は見つけたということで、冒険者ギルドに持って行ったらしい。


彼らはエミニーラダンジョンで、ランク上げを頑張りCランクになってから、ウォータースパイダーとアーグアにお礼を兼ねて、3回ほど様子を見に来ているらしい。

「ウォータースパイダーとアーグアは、樹海の中では弱い部類の魔獣だ。他の冒険者たちにこの場所を知られるのはよくない」

「でもこいつらが心配なんです。確かに俺たちはポイズンモスに追われていたのを助けてもらいましたが、こいつらのことを調べたらあまり強くない魔獣だと知ったので・・・・」

いや、だから君たちがここに通っていると場所が知られるでしょうと言っているのだけれどな。


「これからも魔石を届けたいんです!」

女性の冒険者の一人が私たちの会話に口を挟んで、私に頭を下げてきた。

他の5人も一緒になって私に頭を下げてきた。



木の葉に隠れてはいるのがほとんどだけれど、蜘蛛の大群怖くはないのかな?

冒険者だし大丈夫なのか。

ウォータースパイダーとウォータースパイダーの背に乗っているアーグアに向かって私は話しかける。


「この前くれた君たちの糸だけれど、もっとたくさん欲しいと言ったら定期的にもらうことは可能?」

『この前の糸玉は5匹で1つ作ったから、作ろうと思えばたくさんできるらしいよ』

「ここにいる冒険者たちが魔石を届けに来た際に、できた糸玉を渡すことは可能かな?」

『大丈夫だって』


「今日もあれば糸玉欲しいのだけどあるだろうか。もちろん報酬に魔石を渡すよ」

『魔石より、枯れた場所に木の実を植えて欲しいって』

「わかった、今日早速対応するよ」


私は冒険者の方を向いて、ここに来る頻度を聞くと2か月に1回ペースだそうだ。

冒険者ギルド長に君たち指名でこの仕事の話がいくようにするから、他の人には話さないことが守れるか、または魔法契約になるかもしれないがいいかと尋ねる。

「「「はい」」」

全員が元気のいい返事だった。


話し合いで冒険者たちが、ウォータースパイダーとアーグアたちに渡す魔石は続けることになる。

『あとできたら魔石は砕いたものが欲しいって』

ウォータースパイダーとアーグア一匹が、食べる魔石は少しでいいらしい。

だから砕いて持ってきてくれたほうが嬉しいとのことだった。


冒険者たちからは、魔石はなんでもいいのか?たとえばゴブリンの魔石でもいいのかとの問いには、大丈夫とのことだった。

魔石代はギルド買取料金と同じ料金を依頼料に上乗せしよう。


契約については3月の初めには領都に戻るという彼らに、ギルド長と副ギルド長に話を通しておくので、書類確認後契約手続きをすることでまとまった。

あと冒険者たちから糸玉を確認したいと言われていると、ウォータースパイダーの一匹が木から降りてきて、スイカ玉くらいの大きさの糸玉を私に手渡ししてきた。

ウォータースパイダーたちのほとんどは、木々に隠れているのに私たちの会話をしっかり聞いているようだ。

しかもこの冒険者たちのことを気に入っているようにも見える。


冒険者たちのグループ名は、白き鷹。

私は「グラースホークが好きなの?」と聞くと、シエルをチラリと見て気まずそうに「違います」と返ってきた。


冒険者グループは黄金の翼にあこがれていて、似せた名前にしたくてこの名前になったらしい。

まぁ、黄金の鷹とかにしたら気づく人はいそうだし、白き鷹は微妙なところだと思うけれど・・・。

今後、彼らがここに来るときは遠回りして、他の冒険者にわからないようにすることをお願いして別れた。
感想 34

あなたにおすすめの小説

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪

百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。 でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。 誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。 両親はひたすらに妹をスルー。 「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」 「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」 無理よ。 だって私、大公様の妻になるんだもの。 大忙しよ。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※