異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第483話 生地探し

ウォータースパイダーから今ある糸玉を受け取った後、浄化した土地に木の実を植えて成長促進の魔法水を撒き終わると、この場所から離れる。

ルクス村に戻る道中で、リアが私に聞いてくる。

「ウォータースパイダーの糸玉をたくさん受け取っていたけれど、使い道があるの?」

「まだだよ。この前、絹糸と混ぜたものは何の効果もなく、またウォータースパイダーの糸をたくさん絹糸に混ぜると生地が弱くなったから失敗だった」


「今回動いているのは、冒険者グループを助けるためではないのでしょう?」

「違うよ。糸に水がまとわりつくのだから、何かに使えそうだと思うんだ。実験するから糸がたくさん欲しかった」

「糸に水がまとわりつくということは、水を弾くということかしら?」


水を弾く……レインコートか?

でも絹糸では効果がないとマリアから実験結果を聞いている。

効果がありそうなのはペレの糸か?

ペレの生地は水に濡れても乾きが早いから、新街の一日中遊べる温泉施設内で着る服に使用する予定だ。

あとはテント生地でも試してみるか。




領都に戻った3日後、アイラさんに連絡して紹介された生地問屋にリアと行く。

リアに気に入ったものがあれば買ったらいい、お詫びも兼ねてと言うと、ラジエルとローザの前で言ったこと気にしてくれていたのねと笑われたが、笑顔だからよしとする。


「でもどうして生地屋に行くの?」

「ミニョンと約束しただろう」

新街の高級ホテルに新婚さん専用部屋を作り、記念に豪華な服を着たミニョン人形を作るための生地探しだ。


「前世のタキシードとウェディングドレスを着たぬいぐるみね」

「そう、できればミニョンの毛並みを表現できる生地が、あればいいなと思ってね」

「ボア生地タイプは、さすがにないでしょう」


リアと話していると生地問屋に着いたようで馬車を降りて、店の中に入るとアイラさんが待っていた。

「アイラさん、どうしてここへ?」

「リーンハルト様がわざわざ訪問されるのですよ。ご案内させていただきますわ」

「いや、ここの店主さんがいるよね」


「わたくしはここに毎月のように来ておりますので、詳しいですわよ」

「アイラさんの利益になる話ではないよ」

「承知しておりますが、気になりますから一緒に回らせてください、お願いいたします」

アイラさんは以前、金型工房でも待っていたからな。


店主さんの案内でアイラさんと一緒に倉庫に行くが、想像していたような大きな倉庫ではなかった。

中に入ると棚には、生地の種類と色ごとに分けてある。

だけど別の場所にある生地は、幅10センチぐらいに折りたたまれた物が見やすいように棒に掛けられていた。

私の生地屋のイメージは、20から30メートルぐらいの生地を巻いてあるものが、たくさん並べられていると思ったので、拍子抜けだった。


店主さんの話だと、メインは綿生地で多量の在庫があるものは、売れ行きのいい人気の色だけだそうだ。

あとは生地見本を置いて、買う側が気に入ったものを受注するらしい。

ここは王都ではないから絹生地で服を作るよりも、綿生地で服を作る庶民向けが中心だとのこと。


この領地に大商人や貴族はたくさんいるわけではない。

我が家だって全部の服をアイラさんの店では作ってはいなくて、王都でも服を作っている。

柄物の生地が前回それなりにあったから驚いたのだが、縦横1メートルの生地見本を折りたたんで置いているだけなら、生地問屋の負担にはならないか。


店主さんの話だと、柄物の生地は服ではなく、小物を作る生地として売れるから、見本分の生地で十分いいらしい。

「店主さん、変わった生地、売れない生地があれば見せてくれませんか?」

店主さんが応接室へ生地を持っていきますから、そちらでお待ちくださいと言われ、先に案内された。


「アイラさん、アトレたちのスカーフは、この生地見本を持ってきてくれたのだね」

「はい、あとはわたくしの店にあるものを生地見本と同じサイズにしてお出ししました」

「それだと、使わなかった生地は損失になったのではないの?」


ドレスのリボンや小物、ミニョンのドレスで使用したから大丈夫だとのこと。

ミニョンぬいぐるみの件、アイラさんにも関係あった。

店主さんを待っている間、私は新街の高級ホテルで新婚さんが泊れる部屋の構想と、記念に持って帰ってもらうミニョンぬいぐるみの衣装を作ってほしいこと、またデザイン候補の中からミニョンが選ぶことを話した。

「まぁ、とても楽しそうなお話ですね。わたくしの工房で服のデザイン、縫製はさせていただきますわ」
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