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【リーンハルト:11歳】
第486話 マイルズ工房(後編)
「実際に見本は見たかな?」
「はい、アイラさんたちの手伝いをしましたから見ています。あんな使い方があるなんて、思いもしませんでした」
ナイジェルさんはさらに、今は受注品以外空いているときは、今回の2つの生地を作っていて、工房はフル稼働状態らしく、嬉しい悲鳴だそうだ。
私は本題のフリースっぽい生地について、なぜ縦横20センチの生地しかできないのか質問する。
「あの生地は私たちが作ったものではなくて、スライムが作ったものなのです」
「はい?!」
「ほんとうですか?」
ナイジェルさんの話に、私とラジエルは驚きの声をあげた。
ここにも特殊なスライムがいた。
この工房から出る糸くず、生地くずだけを好んで食べるスライムがいるらしく、そのスライムが吐き出したものがあの生地だそうだ。
私はさらに質問をする。
「糸とかではなくて、生地を?」
「はい、ですから、微妙に生地の色味が違うのです」
確かに持って帰ったフリースっぽい生地をよく見ると、色合いが若干違ったから、染色の関係かと思っていたよ。
生地の色味についての質問をしようと思っていたから解決した。
そうなると一度染め直して使う方がよさそうだ。
ナイジェルもフリースっぽい生地は、毛布などに使えるのではないかと考えていて、何とか再現できないか研究中だそうだ。
ぜひとも魔導具で再現を確立してほしい。
フリースっぽい生地の在庫がないか聞くとあるらしく、すべて購入した。
今後もすべて買い付けることをラジエルから説明して、契約書をつくることで合意する。
「話は変わるけれど、ナイジェルさん、上下布団を縫う魔導具作れないかな?」
私は重ねた生地で布団を縫うのは大変なこと、魔導具で縫えばコストが安くなり、多くの人たちが買えるようになること。
また縫い方にデザイン性を持たせれば、より多くの種類が作れるようになるのではないかと話した。
「確かに、見本だということでサイズは1メートルでしたが、重ねて縫うのは大変でした」
ナイジェルさんは頷いていた。
私はナイジェルさんが、縫う作業を手伝っていたことのほうが驚きだよ、生地生産者は縫うことも覚えるのか?
「それって、もしナイジェルが生地を縫う魔導具を開発できれば、服への転用もできますよね」
ミリアさん賢いな、私が言う前に気づいたよ。
「そうだ、できれば小型化して服にも転用したい。そうすればより多くの人が、お洒落が楽しめるようになる」
小型化に際しては魔石を使うものではなくて、人力動力を使ったものにしたいこと。
足を上下に動かして動力にする。
「例えば昔の井戸は、滑車を使って手で桶を引き上げていただろう」
「なるほど、滑車の原理を利用すると言うことですか」
ナイジェルさんは私の拙い説明ですぐに理解したようだ。
今度はミリアさんから質問がある。
「なぜ、魔石を使わないのですか?」
「魔石を使うとなると、その分を販売価格に上乗せしないといけない。魔石もふんだんにあるわけではないからね」
魔石は生活に必需品だから、使い道が多くなると値段が上がってしまう。
だから使わなくていい物なら使いたくない。
ドライヤーやアイロン販売で、魔石が少し値上がりしたのだ。
「しかし、そこまでのアイデアがあるのなら、リーンハルト様お抱えの魔導具師が設計できるのではないでしょうか?」
ナイジェルさんは、自分に話がくることに不安に思ったようだ。
「彼女もたくさん案件を抱えていてね。これは生地専門のナイジェルさんならできそうだと思ったんだ。やってみる気はないかな?」
「やらせてください。綿生地の流通が拡大する話です。成功すれば、我が家にとっても利益になります」
「リーンハルト様、私もナイジェルを手伝いたいです。何かできることはありませんか?」
「敷布団の縫う際のデザインを考えたり、生地によって縫ったときの感触は違うから、まとめておくといいのではないかな」
生地によって硬さ、柔らかさ、厚さ、薄さ様々だ。
そうなると縫うときの針の太さを変え、糸の太さも変えるだろうから、魔導具を販売するときに説明書としてセットで販売すれば利用者が増えるのではないかと話した。
「ナイジェルが開発した魔導具を売るのですか?」
ミリアさんは不満そうだ。
私は特許申請をして多くの人が使えるようにしないと、服を楽しむことも、上下布団を買う人も少なくなる。
それに秘密にしていると家族が、危険なことに巻き込まれる可能性が高くなることを話した。
「ミリア、2つの新しい生地も特許申請したいと思っている。受注が増えれば我が家だけでは対応できない」
一時的ならいいが、忙しさが続けば、家族で楽しく食事を取ることも、新街に遊びに行くこともできないぞと、ナイジェルさんが私の言葉につけ加えてミリアさんを諭していた。
「それは嫌。ナイジェルが作った魔導具が飛ぶように売れるために、私が徹底的に調べてみせます」
ミリアさんに、まだ作ってもいないのに・・・とナイジェルさんは言いながらも嬉しそうだった。
ナイジェルさんは、ラジエルに特許申請を手伝ってほしいこと、商品についてはすべてウエストランド商会に任せたいと言ってきた。
生地や商品に必要な魔導具は作るけれど、商品は作らないということか?
ラジエルは無表情だけれど、内心頭を抱えていそうな気がするから、私のほうでも商品を作る人を探さないといけないようだ。
はぁー、また仕事が増えた。
自分が増やしているのだけれど、思いついてしまったものはしょうがない。
領民が少しでも豊かに過ごせることだと思うからね。
だけれどラジエルみたいな有能な人が、もう一人いれば、私は提案だけして細かいことを任せられるのになぁー。
「はい、アイラさんたちの手伝いをしましたから見ています。あんな使い方があるなんて、思いもしませんでした」
ナイジェルさんはさらに、今は受注品以外空いているときは、今回の2つの生地を作っていて、工房はフル稼働状態らしく、嬉しい悲鳴だそうだ。
私は本題のフリースっぽい生地について、なぜ縦横20センチの生地しかできないのか質問する。
「あの生地は私たちが作ったものではなくて、スライムが作ったものなのです」
「はい?!」
「ほんとうですか?」
ナイジェルさんの話に、私とラジエルは驚きの声をあげた。
ここにも特殊なスライムがいた。
この工房から出る糸くず、生地くずだけを好んで食べるスライムがいるらしく、そのスライムが吐き出したものがあの生地だそうだ。
私はさらに質問をする。
「糸とかではなくて、生地を?」
「はい、ですから、微妙に生地の色味が違うのです」
確かに持って帰ったフリースっぽい生地をよく見ると、色合いが若干違ったから、染色の関係かと思っていたよ。
生地の色味についての質問をしようと思っていたから解決した。
そうなると一度染め直して使う方がよさそうだ。
ナイジェルもフリースっぽい生地は、毛布などに使えるのではないかと考えていて、何とか再現できないか研究中だそうだ。
ぜひとも魔導具で再現を確立してほしい。
フリースっぽい生地の在庫がないか聞くとあるらしく、すべて購入した。
今後もすべて買い付けることをラジエルから説明して、契約書をつくることで合意する。
「話は変わるけれど、ナイジェルさん、上下布団を縫う魔導具作れないかな?」
私は重ねた生地で布団を縫うのは大変なこと、魔導具で縫えばコストが安くなり、多くの人たちが買えるようになること。
また縫い方にデザイン性を持たせれば、より多くの種類が作れるようになるのではないかと話した。
「確かに、見本だということでサイズは1メートルでしたが、重ねて縫うのは大変でした」
ナイジェルさんは頷いていた。
私はナイジェルさんが、縫う作業を手伝っていたことのほうが驚きだよ、生地生産者は縫うことも覚えるのか?
「それって、もしナイジェルが生地を縫う魔導具を開発できれば、服への転用もできますよね」
ミリアさん賢いな、私が言う前に気づいたよ。
「そうだ、できれば小型化して服にも転用したい。そうすればより多くの人が、お洒落が楽しめるようになる」
小型化に際しては魔石を使うものではなくて、人力動力を使ったものにしたいこと。
足を上下に動かして動力にする。
「例えば昔の井戸は、滑車を使って手で桶を引き上げていただろう」
「なるほど、滑車の原理を利用すると言うことですか」
ナイジェルさんは私の拙い説明ですぐに理解したようだ。
今度はミリアさんから質問がある。
「なぜ、魔石を使わないのですか?」
「魔石を使うとなると、その分を販売価格に上乗せしないといけない。魔石もふんだんにあるわけではないからね」
魔石は生活に必需品だから、使い道が多くなると値段が上がってしまう。
だから使わなくていい物なら使いたくない。
ドライヤーやアイロン販売で、魔石が少し値上がりしたのだ。
「しかし、そこまでのアイデアがあるのなら、リーンハルト様お抱えの魔導具師が設計できるのではないでしょうか?」
ナイジェルさんは、自分に話がくることに不安に思ったようだ。
「彼女もたくさん案件を抱えていてね。これは生地専門のナイジェルさんならできそうだと思ったんだ。やってみる気はないかな?」
「やらせてください。綿生地の流通が拡大する話です。成功すれば、我が家にとっても利益になります」
「リーンハルト様、私もナイジェルを手伝いたいです。何かできることはありませんか?」
「敷布団の縫う際のデザインを考えたり、生地によって縫ったときの感触は違うから、まとめておくといいのではないかな」
生地によって硬さ、柔らかさ、厚さ、薄さ様々だ。
そうなると縫うときの針の太さを変え、糸の太さも変えるだろうから、魔導具を販売するときに説明書としてセットで販売すれば利用者が増えるのではないかと話した。
「ナイジェルが開発した魔導具を売るのですか?」
ミリアさんは不満そうだ。
私は特許申請をして多くの人が使えるようにしないと、服を楽しむことも、上下布団を買う人も少なくなる。
それに秘密にしていると家族が、危険なことに巻き込まれる可能性が高くなることを話した。
「ミリア、2つの新しい生地も特許申請したいと思っている。受注が増えれば我が家だけでは対応できない」
一時的ならいいが、忙しさが続けば、家族で楽しく食事を取ることも、新街に遊びに行くこともできないぞと、ナイジェルさんが私の言葉につけ加えてミリアさんを諭していた。
「それは嫌。ナイジェルが作った魔導具が飛ぶように売れるために、私が徹底的に調べてみせます」
ミリアさんに、まだ作ってもいないのに・・・とナイジェルさんは言いながらも嬉しそうだった。
ナイジェルさんは、ラジエルに特許申請を手伝ってほしいこと、商品についてはすべてウエストランド商会に任せたいと言ってきた。
生地や商品に必要な魔導具は作るけれど、商品は作らないということか?
ラジエルは無表情だけれど、内心頭を抱えていそうな気がするから、私のほうでも商品を作る人を探さないといけないようだ。
はぁー、また仕事が増えた。
自分が増やしているのだけれど、思いついてしまったものはしょうがない。
領民が少しでも豊かに過ごせることだと思うからね。
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