異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第488話 究極の選択

それからしばらくは、自由時間を確保できる日々が続いた2月の終わりごろに、マリア、ナナリー、オルガの3人から連絡があり応接室で会っている。

この3人は気が合うようで、よく会っているそうだ。

だからオルガから自分もさん付けはいらないと、今日会った早々言われたのだ。


「今日は3人そろってどうしたのかな?」

「ご依頼品が完成しましたので、お持ちしました」

オルガがテーブルに置いたのは目覚まし時計だった。

オルガの話だと、マリアやナナリー、父親に手伝ってもらい完成したそうだ。


「エバンズさん、手伝ってくれたの?」

作れないと拒否したエバンズさんがねぇ、私はちょっと驚いた。

どうやらマリア、ナナリーが、オルガの家に集まって、あーでもない、こーでもないと3人で盛り上がっていたら、エバンズさんが気になったようで、アドバイスをくれるようになったらしい。

テーブルにある目覚まし時計は、ベルが左右に1つずつの2つあるタイプで、私が絵に描いたものを再現していた。


早速、説明を聞きながら、5分後にベルが鳴るようにセットする。

5分後、けたたましい音が部屋中に鳴り響き、私は慌てて止める。

「すごいけれど、これは音が大きすぎるよ」


まだ自分の耳がツーンとしてちょっとおかしい。

3人は両手で耳をおさえていた。

君たちは音が大きいことがわかっていたんだね。


お茶を持ってきた侍女が慌てて部屋に入ってきて私に尋ねてくる。

「リーンハルト様、先ほどの音は何が起こったのですか?」

私は侍女に説明する羽目になった。

「皆様にもお伝えします」

侍女はお茶を出し終えるとすぐに退出していった。

侍女の言葉を聞いて、私は両親にまた注意されるのだろうかと内心思ってしまった。


「実は、他にもありまして・・・」

オルガは、ベルが小さめの目覚まし時計をテーブルに出してきた。

「最初からこちらでよかったのでは?」

私は少し批判めいた口調でオルガに尋ねた。

「リーンハルト様は、絵柄サイズの音量を希望かと思いまして、両方作りました」



今度の目覚まし時計は、先ほどよりは音が小さくなり、隣の部屋には聞こえるだろうが許容範囲だろうと思っていたら、バンと応接室のドアが開く。

『ハルト、さっきのうるさい音は何?』

「あんなうるさい音、聞いたことがないぞ!」

アトレが風魔法でドアを開けて、ルーカスと一緒に部屋に入ってきた。


「これは目覚まし時計といって、朝ジョルジュの代わりに起こしてもらうためのものだよ」

私は説明しながら、アトレとルーカスに目覚まし時計を見せた。

『毎朝、あの音が鳴るの?チョット無理』

「ハルトよ、我らにはキツイぞ」

アトレとルーカスが音が大きすぎて無理だと反対した。


『ボクとルーカスで毎朝起こしてあげるから、使うのは禁止』

「そうだな、それがいい!!禁止だ、禁止!!」

ルーカスがアトレに賛成してうなずいていた。


「ちょっと待ってよ。アトレたちが私を起こす方法って、私の顔に乗るヤツ?」

『それとも、お腹にダイブがいい?』

アトレ、どちらもつらいのだけれど・・・・究極の選択ですか?


「・・・・今のままでいいです」

私はアトレと出会ったころよりは、起きれるようになってはいるが、朝が弱いのは今もだ。

だから、起こしてくれるジョルジュがいなくなる対策で、目覚まし時計を依頼したのに、まさかの伏兵がいて目覚まし時計使用禁止になるとは・・・・。


マリア、ナナリー、オルガは、私たちのやり取りにあっけにとられていた。

「ごめん、オルガ。うちの子たちが毎日、この音に耐えられないっていうから、私は使えそうにない。でも売れると思うんだよ」

「ありがとうございます。実はもっと音を小さくしたタイプを作るつもりです」

オルガは試作品として、私が描いたものを再現してから、今後どうするか相談したかったようだ。


この後はウエストランド商会に見本を見せてから帰るそうだ。

「短期間でよくここまで仕上げたね。理想そのものだった。オルガ、マリア、ナナリーありがとう」

「こちらこそ、楽しかったです」

オルガは笑顔だった。


「オルガさ・・・」

「なんですか?」

「忙しくなると思うけれど、頑張ってね」


「リーンハルト様、何か新しいものを思いつきましたね」

私がためらったことで、マリアが鋭い指摘をしてきた。

今はこれ以上ラジエルに負担をかけるのはよくないし、オルガも目覚まし時計が完成すれば忙しいから、もっと落ち着いてからにしようと言い淀んだのだ。


「いや、ただベル2つにこだわらずに、1つでもいいかもしれないと言いたかったんだ。だけど、そうなるとやり直す箇所が多くなると思って・・・・」

「なるほど、音を小さくするのなら1つはありですね。考えてみます」

オルガは私のアドバイスに頷いてくれた。


ただマリアはまだちょっと疑っているようだが、とりあえず誤魔化せてホッとした。

3人は3回目の催しに参加するらしい。

明日、マリアの家族がウエストランドに到着するらしく、明後日会うことになった。
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