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【リーンハルト:11歳】
第490話 提案
「では開発のお願いをしてもいいかな?」
「リーンハルト様、お待ちください。ロドニーの腕前を知らずに雇うのはやめてください!」
私がお願いを言う前に、マリアが慌てて待ったをかける。
「直接雇用ではなく、ロドニーさんは、ベネットさんの店の手伝いをしながら、我が家からの依頼の魔導具を作ると同時に、研究開発をお願いするんだよ」
「父が店を持つってどういうことですか!!」
私の言葉にマリアは思わず立ち上がってしまい、慌てて座り直していた。
ベネットさんは固まっていて、アリアさんとロドニーさんは驚いて口を開けている。
私は部屋の隅で待機しているジョルジュに向かって、マイクたち孤児院の子たちが、作ったものを持ってくるように指示をする。
待っている間、私は話を続けた。
「ベネットさんは、ウエストランド商会に入ってもらうこともできるけれど、コネ入社と言われるのは嫌だよね」
「はい」
我が家の従業員は言わないだろうが、父親だから娘のコネで入ったと、他では言われそうだしな。
自分の店なら、ついでに庶民向けの我が家の商品を取り扱うだけだし、ベネットさんも気分的にまだましかなって思ったからの提案なのだけど・・・・。
私は質問先をベネットさんからロドニーさんに変える。
「ロドニーさん、ドライヤーやアイロンは作れるかな?」
「はい、今の職場で作っています」
私がロドニーさんに頷いていたら、マリアが割り込んでくる。
「リーンハルト様、先ほども言いましたがロドニーの腕前を確かめてからにしてください」
「姉貴、俺のこと信用していないのか!」
「違うわよ、ウエストランド商会からの依頼を受けるなら、ちゃんとみなさんにロドニーの腕前を確認していただいてからだと言っているのよ」
ロドニーさんは、マリアの正論に黙った。
ジョルジュが戻ってきて、持ってきた箱から取り出して、テーブルに置いていく。
「これは藁半紙で作った卓上カレンダーですか?」
マリアが手に取り、一枚一枚見ている。
ベネットさんたちもわら半紙カレンダーを手に取り見だした。
マイクが木版画で、数字を枠で区切り余白に予定を書き込めるもの、絵柄が入ったものなど、1か月で1枚だから12枚1セットで、5タイプを持ってきたのだ。
カレンダーの穴はパンチで最初から開けての販売で、最初に台座と、台座とカレンダーを繋ぐリングを買えば、毎年カレンダーのみを買えばいい。
今までは紙が高くてカレンダーは庶民にはなじみがなかったが、かわら版が出来たことで、藁半紙カレンダーが商品化できないかと、マイクが見本を持って相談にやって来たのだ。
これも需要はあると思うが、ウエストランド商会で商品を買い上げてから店に卸す手配はしても、直接販売は難しい。
他にも販売してほしいものがあるから、雑貨屋か文房具販売の店を探そうと思っていたところだと話した。
「しかし私には、店を出す資金はありません」
正気に戻ったベネットさんは残念そうな口調だ。
「店舗を借りて商売するのはどう?」
「あのー、俺が開発する魔導具というのは、どういったものなのですか?」
ロドニーさんはベネットさんが、私に返事をする前に会話に入ってきた。
「万年筆だよ」
「万年筆!!」
私の言葉に反応したマリアが、しまった、忘れていたという顔をした。
そう、マリアにかなり前にお願いしていたが、私が次から次へと依頼をするから、マリアも忘れていたんだと思う。
私は万年筆の仕組みを絵に描いて説明した。
「ペン先の開発と、インクが入ったカートリッジを交換すれば、長く使えるのはわかりましたが、万年筆は魔導具ではないですよね」
私はロドニーさんに、カートリッジ候補の素材はあるが、他の用途で使用しているため代替品の開発から始めて欲しいこと。
今領内に似たような物がないか探してもらっていること、万年筆が完成すれば、本体やカートリッジ製作の魔導具が必要になること、ペン先は錆びないように付与魔法が必要だと説明した。
「なるほど、ペン先は付与魔法ですか。あと本体とカートリッジは規格統一しないと、インク交換ができないから魔導具が必要となる」
「そうだよ」
私はロドニーさんの問いに返事をした。
「時間がかかりそうな開発案件ですね」
ロドニーさんは呟いていたが、私が描いた万年筆の紙を、手に持ってずっと見ているから乗り気だと思う。
私はできたらカートリッジ素材の研究から始めてほしいことを伝える。
この素材は他の用途に応用できるからお金になる話だし、もし借金をして店舗を構えるなら、返済が早くできる可能性がある。
今まで黙って話を聞いていたアリアさんが口を開いた。
「リーンハルト様、万年筆の開発は息子にとのことですが、私がペン先の研究開発をしてもよろしいでしょうか?」
「お母さん!」
「マリア、私だって魔導具師の端くれよ。こんなに楽しそうな話、断るなんてしたくないわ」
「アリアさん、ロドニーさんと分担での研究開発でもいいし、一緒にしても私は構わないよ」
私はロドニーさんと話し合ってくれればいいからと、アリアさんに返事をした。
やる気になってくれている、アリアさんとロドニーさんを見て、マリアが焦って私に問いかける。
「リーンハルト様、私に家族と一緒に工房を立ち上げろと、暗に言っているのではないですよね」
「リーンハルト様、お待ちください。ロドニーの腕前を知らずに雇うのはやめてください!」
私がお願いを言う前に、マリアが慌てて待ったをかける。
「直接雇用ではなく、ロドニーさんは、ベネットさんの店の手伝いをしながら、我が家からの依頼の魔導具を作ると同時に、研究開発をお願いするんだよ」
「父が店を持つってどういうことですか!!」
私の言葉にマリアは思わず立ち上がってしまい、慌てて座り直していた。
ベネットさんは固まっていて、アリアさんとロドニーさんは驚いて口を開けている。
私は部屋の隅で待機しているジョルジュに向かって、マイクたち孤児院の子たちが、作ったものを持ってくるように指示をする。
待っている間、私は話を続けた。
「ベネットさんは、ウエストランド商会に入ってもらうこともできるけれど、コネ入社と言われるのは嫌だよね」
「はい」
我が家の従業員は言わないだろうが、父親だから娘のコネで入ったと、他では言われそうだしな。
自分の店なら、ついでに庶民向けの我が家の商品を取り扱うだけだし、ベネットさんも気分的にまだましかなって思ったからの提案なのだけど・・・・。
私は質問先をベネットさんからロドニーさんに変える。
「ロドニーさん、ドライヤーやアイロンは作れるかな?」
「はい、今の職場で作っています」
私がロドニーさんに頷いていたら、マリアが割り込んでくる。
「リーンハルト様、先ほども言いましたがロドニーの腕前を確かめてからにしてください」
「姉貴、俺のこと信用していないのか!」
「違うわよ、ウエストランド商会からの依頼を受けるなら、ちゃんとみなさんにロドニーの腕前を確認していただいてからだと言っているのよ」
ロドニーさんは、マリアの正論に黙った。
ジョルジュが戻ってきて、持ってきた箱から取り出して、テーブルに置いていく。
「これは藁半紙で作った卓上カレンダーですか?」
マリアが手に取り、一枚一枚見ている。
ベネットさんたちもわら半紙カレンダーを手に取り見だした。
マイクが木版画で、数字を枠で区切り余白に予定を書き込めるもの、絵柄が入ったものなど、1か月で1枚だから12枚1セットで、5タイプを持ってきたのだ。
カレンダーの穴はパンチで最初から開けての販売で、最初に台座と、台座とカレンダーを繋ぐリングを買えば、毎年カレンダーのみを買えばいい。
今までは紙が高くてカレンダーは庶民にはなじみがなかったが、かわら版が出来たことで、藁半紙カレンダーが商品化できないかと、マイクが見本を持って相談にやって来たのだ。
これも需要はあると思うが、ウエストランド商会で商品を買い上げてから店に卸す手配はしても、直接販売は難しい。
他にも販売してほしいものがあるから、雑貨屋か文房具販売の店を探そうと思っていたところだと話した。
「しかし私には、店を出す資金はありません」
正気に戻ったベネットさんは残念そうな口調だ。
「店舗を借りて商売するのはどう?」
「あのー、俺が開発する魔導具というのは、どういったものなのですか?」
ロドニーさんはベネットさんが、私に返事をする前に会話に入ってきた。
「万年筆だよ」
「万年筆!!」
私の言葉に反応したマリアが、しまった、忘れていたという顔をした。
そう、マリアにかなり前にお願いしていたが、私が次から次へと依頼をするから、マリアも忘れていたんだと思う。
私は万年筆の仕組みを絵に描いて説明した。
「ペン先の開発と、インクが入ったカートリッジを交換すれば、長く使えるのはわかりましたが、万年筆は魔導具ではないですよね」
私はロドニーさんに、カートリッジ候補の素材はあるが、他の用途で使用しているため代替品の開発から始めて欲しいこと。
今領内に似たような物がないか探してもらっていること、万年筆が完成すれば、本体やカートリッジ製作の魔導具が必要になること、ペン先は錆びないように付与魔法が必要だと説明した。
「なるほど、ペン先は付与魔法ですか。あと本体とカートリッジは規格統一しないと、インク交換ができないから魔導具が必要となる」
「そうだよ」
私はロドニーさんの問いに返事をした。
「時間がかかりそうな開発案件ですね」
ロドニーさんは呟いていたが、私が描いた万年筆の紙を、手に持ってずっと見ているから乗り気だと思う。
私はできたらカートリッジ素材の研究から始めてほしいことを伝える。
この素材は他の用途に応用できるからお金になる話だし、もし借金をして店舗を構えるなら、返済が早くできる可能性がある。
今まで黙って話を聞いていたアリアさんが口を開いた。
「リーンハルト様、万年筆の開発は息子にとのことですが、私がペン先の研究開発をしてもよろしいでしょうか?」
「お母さん!」
「マリア、私だって魔導具師の端くれよ。こんなに楽しそうな話、断るなんてしたくないわ」
「アリアさん、ロドニーさんと分担での研究開発でもいいし、一緒にしても私は構わないよ」
私はロドニーさんと話し合ってくれればいいからと、アリアさんに返事をした。
やる気になってくれている、アリアさんとロドニーさんを見て、マリアが焦って私に問いかける。
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