異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第501話 新街散策(1)

リプカにジェラ兄上やダイアナ様たちと回るかと聞いたら、アトレたちと一緒に回りたいと言うから、こっちにいる。

まずは朝食を抜いているので、朝ご飯からである。

最初に訪れたのはウエストランド食堂。

ここはウエストランド商会が管理している、展覧会の入賞からは漏れた料理を定食という形で出すお店だ。


レイラたち政務官を案内した際、食べに来てはいるが、メニューも違うだろうし、ラファエルには食べてほしいのでやって来たのだ。

そして働いている人たちは、展覧会出店者たちだ。

オリバーにしごかれたブルーノが店長で、エマが副店長になっている。

エマが緊張しながら私たちの席にやって来る。


「本日はご来店ありがとうございます。こちらが本日のメニューです」

メニュー表にはココット肉の料理とオーガ肉の料理の2種類からどちらかを選び、パンとスープがつく。

これを1週間ごとで肉の味付けを変えて出す予定。


「どちらの料理も3つずつでお願い」

「ココットの肉料理セットを3つ、オーガ肉の料理セットを3つですね。ありがとうございます」

私が注文すると、エマは復唱しながら注文伝票記入後、下がって行った。


メニュー表を見ていたラファエルが話し出す。

「リーンハルト、このメニュー表、ケントのココットバジル焼き、マーサのトマートスープとか、個人の名前入りって面白いね」

「ここの料理も展覧会の出品料理なんだよ。レシピを教えてくれた考案者へ敬意を示したいと食堂関係者から提案されたんだ」


「あとマインス村の特産バジル、アノン村の特産トマートとかまで書いてあるのは?」

「この食堂はウエストランド領内の特産品を使う目的で作られた地産地消食堂だからね。村おこしの一環だよ」

実際、マインス村のバジルだけとか、アノン村のトマートだけを使うことはしない。

材料を変えたときは、使う村の名前もメニュー表の変更をすると説明した。


「細かいところまで配慮しているな。村もこのことを知ったら丹精込めて栽培するだろう」

ブルーノとエマともう一人が料理を運んできた。

私がアトレたち用に料理を分けようとナイフとフォークを持つ。


「リーンハルト様、私たちが分けます」

同行していた侍女のロザリーナが声を掛けてくれたので、私とラファエルには1/4ずつで、あとの残りはアトレたちに分けるようにお願いする。

これから色々食べるから量は少なくていい。


取り分けてくれたお皿には、ココットのバジル焼きとオーク肉は温玉付きハンバーグだった。

「温玉ハンバーグのほうが売れてそうだ」

どうしてそう思ったのかというと、温玉は食べられる店が少ないからなのだ。

私の独り言が聞こえたのか、そばに控えていたブルーノが答えてくれる。


「どちらの料理も同じぐらいの売れ行きです」

私たちと同じように両方食べたい人が多いらしく、一緒に来た人と半分ずつ食べる人が多いらしい。

1/3や1/4で食べている人もたまにいるらしいが、大概はしっかり味わいたいから半分だそうだ。

催しの日程は2泊3日だから、5、6回は食事をするので、この食堂ではしっかりと食べるのかもしれない。


また他の料理も食べに行くからと食べ終わると席を立つので、回転も早いそうだ。

自分たちで解決できないことがあれば相談してほしい、美味しかったと言って食堂を後にした。



次に向かったお店の前につくとラファエルが呟く。

「ここはパン屋か?」

「そうだよ。でもラファエルも知っているお店だよ」

このお店からアトレたちの要望のお店巡りになるといっても、全部のお店に行くのだけれどね。

「リーンハルト様、お久しぶりです。私たちも新街にお店を出させていただきありがとうございます」

店舗前の机に商品を並べていた若い女性から声がかかった。


「久しぶり。早速だけどアンケート1位のソフトパンをみんなに1個ずつ、あとは買える個数上限で」

「お買い上げありがとうございます。ソフトパンは焼き立てをどうぞ」

女性は笑いながら店舗から持ってきてくれた。


「リーンハルト、ここはサヴァイ村で食べたプチ麦パンの店か!」

ラファエル、正解です。

ここはツヴァイ町のエリクパン工房2号店。


そして先ほどの女性はエリクさんの娘さん。

娘さんが結婚して旦那さんと一緒に新街に移住して店を出したのだ。

ツヴァイ町のパン工房はエリクさんの息子さんが継ぐらしく、こちらに来たいと言ってくれたのだ。

旦那さんもパン職人さんで、エリクさんに2人でしごかれ、合格をもらったあとで移住してくれた。


エリクさんの娘さんがテーブルに並べていた紙袋を指して説明してくれる。

「こちらがうちのパン工房の人気5種類パンを各2個ずつ合計10個入りです。こちらはお1人2袋までですがどうされますか?」

「2袋で」

「私も2袋お願いする」

私とラファエルは即決だ。

ロザリーナとラファエル付きの侍従が品物を受け取り、料金を払う。

品物は時間停止のマジックバッグにしまわれた。

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