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【リーンハルト:11歳】
閑話 新街の催し(1)
第3者目線から見た、新街の催しについての閑話です。
閑話は本編とは繋がっていません。本日もう1話アップ予定です。
よろしくお願いいたします。
.。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○ .。o○
終業時にグイド工場長から集合がかかり、みんな庭先に集まった。
通常は各工場で、朝集合して、主任から連絡事項を伝えて終わりで、終業時に集まるなんて年末年始くらいだと思う。
工場長のほうで気になることがあれば、該当場所へ工場長が自ら出向き、現場の人間と話す現場主義の方だからだ。
第一、第二工場、クリーニング部門従業員全員をわざわざ集めるとなると、何かよくないことでも起こったのかと、周りがざわついている。
「終業時に急に集まってもらいすまない。王太子殿下の御結婚祝いで王都に出店していたどら焼き店のために、みんなには毎日の残業をお願いして申し訳なかった。ご領主様からみんなには無理をさせたと、特別に一時金の支給が出た。あと新街で開催予定の催しが決定して、参加希望者は家族同伴で参加できる。詳細は主任たちから聞いてくれ」
工場長の話が終わると歓声があがった。
主任からの話は、特別連続休暇として3日間を利用して、新街で行われる、ウエストランド従業員兼関連工房の従業員とその家族を対象に、4回に分けて新街で行われる催しに参加できること。
往復の交通費、宿泊費は、同居の家族は無料、同居でない家族は半分自己負担。
同居でない家族の範囲は両親、兄弟まで。
新街の温泉入浴は1回無料で、それ以上入りたい場合は自己負担。
食費は全部自己負担。
宿泊先は、将来店舗になる予定の建物の部屋になるらしく、ベッド、毛布など何もないため、各自で用意すること。
ただ大荷物になるため、1家族につき1つ、時間停止機能無しのマジックバッグを、1銅貨で冒険者ギルドからレンタル可能。
領都から新街まで冒険者の護衛付きで、該当者全員がまとまって移動するため安全だとのことだった。
そして一時金は、1人3銀貨だそうだ。
詳細は紙に描かれているため、しっかり読むこと。
新街の催しの参加希望者は、申込用紙に日時を第3希望日まで書き、同伴家族の名前、年齢を記入の上、5日以内に提出とのことだった。
ただし遠くの家族に連絡したい場合は、申請をしてくれれば返事待ちはよいとのこと。
「ニナ、すごいわよね。普通、こんなこと他所ではありえないわ」
隣にいたベラが私に話しかけてきた。
「ほんと、この職場に採用されて生活が楽になったし、一時金だって新街で遊ぶための費用よね」
この工場の従業員は、片親が多く採用されている。
私は旦那を病気で亡くした。
ベラは夫の浮気が発覚して、夫を家から追い出したらしい。
だから私もベラも子育てと、帰りが遅くならない仕事となると安い給料になってしまい、毎日疲れてしまっていた。
ここに採用されてからは、忙しいけれど生活に余裕ができて、本当に感謝している。
この工場の人員募集要項を見たときには、あまりにも待遇の良さに衝撃を受けた。
男女同額賃金だったのだ。
だから面接は圧倒的に女性が多かったし、人数の多さに採用されないだろうと思っていたから、採用された時は本当に嬉しかった。
実際働き始めて驚くのは、昼休憩、トイレ休憩もあり、定時で仕事が終わるし、週1回の休みもきちんととれることだ。
かといって給料が安いわけではない。
ただ衛生管理だけはとてもうるさく、手洗いの徹底、清潔な制服、マスクをしなければ工場内には入れない。
衛生管理を怠り、何か問題が発生したら、この工場は無くなり無職になると、最初に工場長にはっきりと言われている。
無職になりたくなければ、衛生管理は必ず守るようにと、主任にも何度も繰り返し言われている。
こんなにいい待遇の職場が無くなるのは、みんな嫌だから守っている。
「ニナ、参加するなら一緒の希望日にしない?」
「ベラ、そうね。旅行なんて最初で最後だろうし、噂の新街に無料で行けるのよ。今は生活に余裕ができたし参加するわ」
「よかった。一時金は子供たちの面倒を見てくれていた近所の人にお礼で何か買って帰りたいから、無くなってしまうだろうけれど、もともと無いお金と思えばいいし、旅行なんて夢のようだわ」
私とベラは運よく、第4回目の催しに一緒に参加することができた。
先に新街に行った人たちの話も聞けるし、第1回、2回は希望者が多いのではないかと話合って、わざと最後の第4回目を第一希望に選んだのだ。
当日、集合場所の領都の正門に近い広場には、たくさんの家族が集まっていて賑やかだった。
みんなこれから新街に行けることで楽し気にしている。
荷馬車だけでいったい何台あるのだろうか?
冒険者の人もたくさんいる。
この人たち全員が護衛なら安心だわ。
受付のテントへ向かっていると、ベラたち家族を見つけた。
「ベラ、見つかってよかったわ。この人数で見つけられるか心配だったのよ!!」
「本当よね。受付は済んだ?まだなら一緒に行きましょう」
私たちはお互いの子供たちと一緒に受付へ行く。
受付では工場で受け取った木札と名前を言うと、家族の確認をされ、12番と書いてある荷馬車に乗ること、帰りも同じ御者兼護衛の冒険者グループの荷馬車になるので、間違えないようにとのことだった。
ベラたち家族も同じ馬車だからホッとする。
ベラたち親子と12番と書いてある荷馬車に行くと、男女5人の冒険者パーティがいて、私たちの名前を確認すると、荷馬車に乗るように言われる。
乗ると両サイドに長椅子があったが、誰も乗っていなかった。
冒険者ギルドで借りたマジックバッグからクッションを取り出し、私とベラは隣同士に座り、子供たちを自分たちの隣に座らせる。
「今回、マジックバッグのお陰で、家から色々持ってこられるから楽よね」
落ち着いたところで、私はベラに話しかけた。
「ほんと、しかも旅行の栞?という冊子が配られたから、持っていく物も慌てずに準備できたからよかったわ」
ベラが言った旅行の栞には、用意する持ち物などあったら便利だと思われるものが書かれていた。
その中にクッションが入っていてびっくりしたけれど、荷馬車での使用やレクリエーション会場が板間だから持ってきた方がいいと、説明が記載されていて納得したのだ。
この栞には、持ち物以外にも集合場所や時間、3日間の日程、新街の広場を中心にした簡単な地図が印刷されたものが冊子になっている。
地図には、レクリエーション会場や食事処、温泉施設、お土産屋、露店場所まで載っていた。
だから栞をもらったあと、昼休みに新街の地図を見ながら、すでに新街に行った従業員に話を聞き、家に帰れば子供たちとどういう順番で回ろうかとか話して、今日まで本当に楽しかった。
親子3人になってから不安しかなかった日々に、こうして笑い合う日々がくるなんて想像できなかった。
今の職場に採用されたこと、本当に感謝しかない。
閑話は本編とは繋がっていません。本日もう1話アップ予定です。
よろしくお願いいたします。
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終業時にグイド工場長から集合がかかり、みんな庭先に集まった。
通常は各工場で、朝集合して、主任から連絡事項を伝えて終わりで、終業時に集まるなんて年末年始くらいだと思う。
工場長のほうで気になることがあれば、該当場所へ工場長が自ら出向き、現場の人間と話す現場主義の方だからだ。
第一、第二工場、クリーニング部門従業員全員をわざわざ集めるとなると、何かよくないことでも起こったのかと、周りがざわついている。
「終業時に急に集まってもらいすまない。王太子殿下の御結婚祝いで王都に出店していたどら焼き店のために、みんなには毎日の残業をお願いして申し訳なかった。ご領主様からみんなには無理をさせたと、特別に一時金の支給が出た。あと新街で開催予定の催しが決定して、参加希望者は家族同伴で参加できる。詳細は主任たちから聞いてくれ」
工場長の話が終わると歓声があがった。
主任からの話は、特別連続休暇として3日間を利用して、新街で行われる、ウエストランド従業員兼関連工房の従業員とその家族を対象に、4回に分けて新街で行われる催しに参加できること。
往復の交通費、宿泊費は、同居の家族は無料、同居でない家族は半分自己負担。
同居でない家族の範囲は両親、兄弟まで。
新街の温泉入浴は1回無料で、それ以上入りたい場合は自己負担。
食費は全部自己負担。
宿泊先は、将来店舗になる予定の建物の部屋になるらしく、ベッド、毛布など何もないため、各自で用意すること。
ただ大荷物になるため、1家族につき1つ、時間停止機能無しのマジックバッグを、1銅貨で冒険者ギルドからレンタル可能。
領都から新街まで冒険者の護衛付きで、該当者全員がまとまって移動するため安全だとのことだった。
そして一時金は、1人3銀貨だそうだ。
詳細は紙に描かれているため、しっかり読むこと。
新街の催しの参加希望者は、申込用紙に日時を第3希望日まで書き、同伴家族の名前、年齢を記入の上、5日以内に提出とのことだった。
ただし遠くの家族に連絡したい場合は、申請をしてくれれば返事待ちはよいとのこと。
「ニナ、すごいわよね。普通、こんなこと他所ではありえないわ」
隣にいたベラが私に話しかけてきた。
「ほんと、この職場に採用されて生活が楽になったし、一時金だって新街で遊ぶための費用よね」
この工場の従業員は、片親が多く採用されている。
私は旦那を病気で亡くした。
ベラは夫の浮気が発覚して、夫を家から追い出したらしい。
だから私もベラも子育てと、帰りが遅くならない仕事となると安い給料になってしまい、毎日疲れてしまっていた。
ここに採用されてからは、忙しいけれど生活に余裕ができて、本当に感謝している。
この工場の人員募集要項を見たときには、あまりにも待遇の良さに衝撃を受けた。
男女同額賃金だったのだ。
だから面接は圧倒的に女性が多かったし、人数の多さに採用されないだろうと思っていたから、採用された時は本当に嬉しかった。
実際働き始めて驚くのは、昼休憩、トイレ休憩もあり、定時で仕事が終わるし、週1回の休みもきちんととれることだ。
かといって給料が安いわけではない。
ただ衛生管理だけはとてもうるさく、手洗いの徹底、清潔な制服、マスクをしなければ工場内には入れない。
衛生管理を怠り、何か問題が発生したら、この工場は無くなり無職になると、最初に工場長にはっきりと言われている。
無職になりたくなければ、衛生管理は必ず守るようにと、主任にも何度も繰り返し言われている。
こんなにいい待遇の職場が無くなるのは、みんな嫌だから守っている。
「ニナ、参加するなら一緒の希望日にしない?」
「ベラ、そうね。旅行なんて最初で最後だろうし、噂の新街に無料で行けるのよ。今は生活に余裕ができたし参加するわ」
「よかった。一時金は子供たちの面倒を見てくれていた近所の人にお礼で何か買って帰りたいから、無くなってしまうだろうけれど、もともと無いお金と思えばいいし、旅行なんて夢のようだわ」
私とベラは運よく、第4回目の催しに一緒に参加することができた。
先に新街に行った人たちの話も聞けるし、第1回、2回は希望者が多いのではないかと話合って、わざと最後の第4回目を第一希望に選んだのだ。
当日、集合場所の領都の正門に近い広場には、たくさんの家族が集まっていて賑やかだった。
みんなこれから新街に行けることで楽し気にしている。
荷馬車だけでいったい何台あるのだろうか?
冒険者の人もたくさんいる。
この人たち全員が護衛なら安心だわ。
受付のテントへ向かっていると、ベラたち家族を見つけた。
「ベラ、見つかってよかったわ。この人数で見つけられるか心配だったのよ!!」
「本当よね。受付は済んだ?まだなら一緒に行きましょう」
私たちはお互いの子供たちと一緒に受付へ行く。
受付では工場で受け取った木札と名前を言うと、家族の確認をされ、12番と書いてある荷馬車に乗ること、帰りも同じ御者兼護衛の冒険者グループの荷馬車になるので、間違えないようにとのことだった。
ベラたち家族も同じ馬車だからホッとする。
ベラたち親子と12番と書いてある荷馬車に行くと、男女5人の冒険者パーティがいて、私たちの名前を確認すると、荷馬車に乗るように言われる。
乗ると両サイドに長椅子があったが、誰も乗っていなかった。
冒険者ギルドで借りたマジックバッグからクッションを取り出し、私とベラは隣同士に座り、子供たちを自分たちの隣に座らせる。
「今回、マジックバッグのお陰で、家から色々持ってこられるから楽よね」
落ち着いたところで、私はベラに話しかけた。
「ほんと、しかも旅行の栞?という冊子が配られたから、持っていく物も慌てずに準備できたからよかったわ」
ベラが言った旅行の栞には、用意する持ち物などあったら便利だと思われるものが書かれていた。
その中にクッションが入っていてびっくりしたけれど、荷馬車での使用やレクリエーション会場が板間だから持ってきた方がいいと、説明が記載されていて納得したのだ。
この栞には、持ち物以外にも集合場所や時間、3日間の日程、新街の広場を中心にした簡単な地図が印刷されたものが冊子になっている。
地図には、レクリエーション会場や食事処、温泉施設、お土産屋、露店場所まで載っていた。
だから栞をもらったあと、昼休みに新街の地図を見ながら、すでに新街に行った従業員に話を聞き、家に帰れば子供たちとどういう順番で回ろうかとか話して、今日まで本当に楽しかった。
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