異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

閑話 新街の催し(3)

私とベラは前回の展覧会の時、生活に余裕がなく子供たちと展覧会に行くことはできなかった。

展覧会に行けば、何かしら子供たちにねだられるのは目に見えているため、仕事が忙しいからと子供たちには我慢させていたからだ。

だからベラと話し合って新街の最初のご飯は、子供たちに露店の料理を選ばせて買い、みんなで食べると来る前から決めていた。


広場からは少し離れたところに露店市場がある。

旅行のしおりの地図と、各建物の番地を確認すれば自分がいる場所がわかるため、簡単に露店市場にたどり着けた。

露店市場は周囲にテントを張った店が出ていて、中心部はテーブルと椅子が置いてあり、ここで買った食べ物を食べられるようになっていた。


3月末とはいえ肌寒いかと思ったが、今日の気温は暖かく外で食べても大丈夫そうでほっとする。

そして各テントには売っている料理の絵と、S、M、Lという料理の量を選べ、各料金記載されており、初めてきた人にわかりやすくなっていた。

また展覧会で入賞した店は、展覧会何位と書かれたボードがテントにぶら下がっている。



私たち子供たちが希望した、展覧会の露店部門第1位のココットの衣揚げの店に並ぶと、2号店と書いてあった。

4、5グループほどの並びなので、長く待たなくてよさそう。

でもなぜ2号店なのかしら?と内心思っていると、2つ前のグループが店主に質問しはじめる。


「師匠はこの街で店を構えたんだ。ここの料理の味付け、肉の加工はすべて師匠がしていて、俺たちは揚げているだけだ。でも師匠に合格をもらえたから店を出している。本店に行けば他の味も楽しめるから、本店にも寄ってよ」

どうやら少年2人でやっている店のようだった。


質問をしているグループが、本店はどこだと尋ねている。

建物27番地らしい。

やり取りを聞いていたと思われる人たちと、私やベラを含めたみんなが、旅行のしおりの地図で確認し始めたから、ベラと顔を見合わせて笑ってしまう。


質問をしていたグループが質問を続けている。

「一緒に売っている、ツヴァイ町エリクパン工房2号店のプチ麦入りソフトパンってどういうこと?」

店主の返事は、サヴァイ村のプチ麦で作ったパンらしい。

なんでもエリクパン工房のパンがきっかけで、大判焼きができたそう。


その縁でエリクパン工房が、新街に2号店を出したそうだ。

ソフトパンに露店の料理を挟んで食べてもいいし、そのまま食べても美味しいらしい。

2号店に行けば、たくさんの種類のプチ麦入りのパンを売っているとのこと。

ちなみに建物35番地だそうだ、ここの店主、若い子だけど商売上手だわ。


大判焼きが出来るきっかけになったパンと聞けば買いたくなる。

質問していたグループも、私たちの前のグループもソフトパンを購入していた。

もちろん私たちも、ココット揚げLサイズ1つとソフトパン3つを買った。


1個のソフトパンを半分に割れば6人が全員食べられるし、少しずつ食べないと他の料理が食べられない。

この3日間でどれだけ食べられるかしら。

露店市場でお腹いっぱいになるまで食べ、ちょっとお腹が苦しいため、消化するためにも歩こうと、お土産店を見てまわる。


商売をしている店舗の前に、机を出して商品を販売をしているお店が多い。

どうやら店舗に入れなくても買えるように、主力商品を並べているとお店の関係者が教えてくれた。

今回、馬車は通らず歩行者天国?

要は歩く人だけしかいないというものになっているから、できることだとも言っていた。


「多くの商品を見て買って、楽しかったと思わなければ、次も来たいなんてならないでしょう」

店員さんが商品を袋に詰めながら話してくれた。

「商売たくましいですね」

「ここは観光地だよ。旅行者が楽しんで記念のお土産を買って、また来たいと思わないとこの街は成り立たないからね」

私がつい言ってしまった感想に対して、気分を悪くしたようではなかったのでほっとする。



1つ1つのお店に寄って、気に入るものがあれば品物を購入しながら歩いていると、女性の一団が楽しそうに籠に何かを入れていたので様子を見に行く。

そこはお土産部門一位のフラワーキャンドルの生花店だった。

お店の外のテーブルの上に、階段風な5段になった棚があり、高さ5センチほどのミニフラワーキャンドルが並べられていて、1個4鉄貨だけれど、3個買うと1銅貨で買えるとボードが掲げられている。

本来3個だと1銅貨と2鉄貨だ、3個買えば2鉄貨お得になる。


「籠に買うものを入れて会計すると、紙袋に入れてくれるみたいね」

ベラが私に話しかけてきた。

「そうね、小さいからお世話になった人に配るにもいいし、自分で楽しむのもよさそう」

「香りを楽しむなら、こちらもおすすめですよ」


私の声が聞こえたのか、店員だと思われる若い女性が、フラワーキャンドルと同じ花の香りがするアロマキャンドルを勧めてきた。

こちらは1個6鉄貨で3個買うと1銅貨5鉄貨だった。

いい香りがしてそそられるが、手ごろな3個で1銅貨のフラワーキャンドルを買う。

キャンドルは子供たちに選らばせる。

女性の中に混ざり、子供たちが真剣に1つ1つ見ているのも楽しくて思わず微笑んでしまった。



ぶらぶらと歩いていると、ナットさん一家とかち合う。

彼らはこれから温泉に入りにいくらしい。

なんでも温泉は、男湯と女湯に分かれていると聞いて、私とベラは困ってしまった。


私とベラの子供は男女1人ずつ。

ナットさんから一緒にどうですかと声を掛けてくれたので、一緒に行くことにした。

ナットさんやカナル君、カナル君の弟君と一緒なら安心だし、お風呂屋の建物の中に休憩場所があり、待ち合わせもしやすいと教えてくれたからだ。


温泉施設にに入ると、従業員から靴を脱いで靴置き場に靴を入れ、扉を閉めて扉についている木札を抜くと鍵がかかる仕組みで、その木札を受付へ持って行くようにと説明される。

ブーツ靴の人は、椅子に座って脱げるように長椅子も置かれている。


靴を脱ぎ、靴置き場に行く。

各木箱の扉と木札には同じ番号が大きく書かれている。

なるほどこれなら、間違いは起こらないわ。

子供たちもじぶんの靴を別々に入れたいと言い張るので、木札3つを持って受付へ行く。


「無料券チケットお持ちですか?なければ大人1人3鉄貨、子供1人1鉄貨お願いします」

受付の女性に声を掛けられたので、私は無料チケット3枚渡す。

今回、無料で1回は温泉に入れるようになっていて、事前に無料チケットが配られていた。

2回目以降は自費になっている。



「タオルは各自2枚ずつあった方が便利ですが、お持ちですか?」

「「はい」」

私とベラは、受付の人からの問いに返事をした。


「タオルの1枚は体を洗うために、もう一枚はお風呂から上がった時に使用してくださいね」

そして私たちから木札を受け取り、代わりに腕輪が渡される。

腕輪をつけると手首にちょうどいい大きさになった。


「これ、縮小の付与魔法が掛けられているの!!」

ベラが驚きの声をあげた。

「拡大の付与魔法もかかっていますよ。ただし、勝手に外せないようになっています。外すためには受付にある魔導具を使わなくてはいけません。この腕輪に書いてある番号が、着替えや貴重品を入れるロッカー番号で、腕輪の番号をロッカーにかざすとロッカーに鍵がかかります。ロッカーを開けるときも同じです」

こんな高価な魔導具を惜しげもなく使ってもいいのだろうか?
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