異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第512話 複写!!

お昼のバーベキューも終わり、片付け途中でふと思いつき、私は温泉に近づいて片手を温泉に入れる。

「温泉の素、複写」と心の中で唱えてみるが何も起こらない。

「温泉の素、複写!」

今度は声を出して唱えると、温泉の中心部分が渦を巻き、私の魔力もごっそりと取られると同時に、渦巻きの中心からソフトボールくらいの大きさの丸玉が飛び出て、私の傍に落下した。


『ハルト!』

「ハルト!」

「リーンハルト様!」

アトレ、ルーカス、マイヤーが私に駆け寄ってきた。


『また何を思いついたの?』

「びっくりしたではないか!」

「ひと言言ってからにしてください」

それぞれが思い思いに口にした。


「急にちょっと、思いついて……」

「リーンハルト様、行動する前にやりたいことを話すようにと、ご領主様たちから言われていますよね」

マイヤーの非難めいた言葉に、私は言い訳する。

「上手くいくとは思わなかったんだよ。失敗したら笑われると思ったから・・・・」


カイル隊長もやって来る。

私は加護で新しくできるようになったことを、ちょっと試してみたかった。

方法はいつものごとく不明だったため、上手くいくとは思わなかったとさらに言い訳をする羽目になる。

「温泉見ていたらやってみたくなってね。私のこの性格直そうとは努力しているけれど・・・・もう許してよ」


「ハルト、体調は大丈夫か?魔力をたくさん持っていかれてはいなかったか?」

ルーカスの発言に、カイル隊長とマイヤーが驚いた顔をする。

ルーカス、ここでその話をしてほしくなかったよ。

余計に心配か、お説教が始まってしまう。


「大丈夫。ちょっと驚いたけれど、体は何ともない」

「リーンハルト様、アトレ様やルーカス様たちがいるため、樹海の危険度は下がっていますが、油断は禁物です。ご自身の魔力量を減らす行為は控えなければいけません」

カイル隊長の苦言に素直に謝る。

気を付けると言いたかったが、もう私のこの言葉は信用ないだろうから、口から出かかったが言うのをやめた。




屋敷に戻り両親に報告。

「ハルトの性格はもう治らんだろう。だから思いついたら勝手に即行動を、思いついたらすぐ誰かに話してから行動に変えてくれ」

行動するのは許すから、周囲がついてこられるようにだけはしなさいと父上は諦めの口調だった。

私は反論できないから頷く。

温泉の素の複写をして、兄上たちに渡すことは両親とも賛成してくれたため、屋敷の温泉源でも試すことにした。




屋敷に戻った2日後、屋敷の温泉の源泉に行く。

2日後なのは、樹海の温泉で魔力量をそれなりに持っていかれたため、アトレやルーカス、両親などに数日後に試すように説得されたからだ。


アトレとルーカスが私の見張り担当で、一緒についてくる。

『ハルト、温泉源は高温だよ。手を入れると火傷するよ』

「そうだぞ。いくら回復魔法とポーション、塗り薬で治せると言っても無茶しすぎだ」

「アトレ、ルーカス、大丈夫。対策は考えている」


屋敷にある温泉源の小屋の鍵を開け、ドアを開けると熱い湯けむりが私たちに降りかかる。

「うわぁ、熱い!!」

『熱い!!』

「熱いぞ!!」

慌ててドアから3、4メートルほど後ろに下がった。


『湯けむりでこの熱さだよ。やめた方がいいよ』

「アトレの意見に賛成だ。温泉の素が欲しいとはいえ無理だろう」

アトレとルーカスが止めようと言ってくるが、私は試したい!!


樹海の温泉はプールのような広さだし、アトレやルーカスたちが浸かっても温度は快適。

チェリーが樹海の温泉の温泉源を調べたところ、中心の地面付近だけが高温。

水深4、5メートルはあるため、中心付近で潜水しなければ大丈夫だと聞いていた。


ルーカスに成体の時、熱くなかったのかと聞くと熱さは感じなかったらしい。

ドラゴンの鱗は熱さも大丈夫なのようですごいと思ったのだ。


話はそれたが、樹海の温泉と違い、屋敷の温泉は温泉源からお湯を引いて、屋敷の裏にある温泉施設と騎士宿舎で利用しているため、樹海の温泉のようにはできないと思い、今回は温泉源に来たというわけだ。

湯けむりが落ち着いたようなので小屋の中に入る。

熱いが先ほどよりはずいぶんましになったから、耐えられる範囲だ。

私はそのまま温泉源に近づく。


温泉源の大きさは直径1.5メートルほどで、周囲を10センチほどの高さの石を積んで囲っている。

積んだ石からぐつぐつとお湯が流れ落ちているが、屋敷の裏にある温泉施設と騎士宿舎に配管を通って流れて行くのでお湯浸しにはならない。

私は片手全体を水魔法で覆う。


『ハルト、それで上手くいくの?これから魔力量を持っていかれるのに、魔力をさらに使って大丈夫?』

「アトレ、前回は驚いたから余計に持っていかれた気がするし、これが火傷対策だよ」

「ハルトはあるとき、急に自信満々になるのが不思議だ」

ルーカスがツッコミを入れてくるが、私はスルーして水魔法で覆っている手を温泉源に入れた。


熱くないぞ。

「温泉の素、複写!」

温泉源の下の方でお湯が蠢いている感じがするが、表面にまでは影響がない。

そして私の魔力が取られ終わると、突っ込んだ掌に何かが当たり握る。

温泉源から手を引き確認すると、樹海温泉と同じ大きさの丸玉だった。


「やったね!上手くいった」

『なんで上手くいくのか不思議?』

「まったくだ、他の者にはできない荒業だ」

喜んでいる私の横で、アトレは首を傾げ、ルーカスはアトレの言葉にうなずきながら私を見つめていた。
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