異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第516話 新たなお客様?

3週間後、ランデル司教様は引継ぎが終わり、新街の教会へ移動されていった。

ランデル司教様について行く人たちは、領都の教会にいる人たちの中から選ばれたと聞いているから、ちょっと安心した。

そしてサミュエル新司教様の領民の反応は悪くない。


ランデル司教様がおこなっていたことは、すべて引き継いでこなしているためだ。

私や私の家族にも挨拶に来て以後の接触はない。

まだランデル司教様がいるから、大人しいのかもしれないので、しばらくは警戒するけどね。


あとランデル司教様、新街の教会に着いたら驚くかな。

まだ一部だけれど、ステンドグラスもどきを飾ったのだ。

本当は全部出来てからと思ったが、新街の司教がランデル司教様なので、カルロに頼んで完成した物を教会に飾るように指示したのだ。

説明は新街にいるお祖父様にお願いしている。




私たち家族は今月末には王都へ行く。

王都の用事が済めば、私はクリス兄上の領地にも行かないといけないため、仕事を終わらせる必要があるのだ。

私は溜まった仕事をこなしていると、バンッと大きな音と共に政務官室のドアが開く。


「ハルト、大変だー」

ルーカスが叫びながら、アトレと慌てて入ってきた。

「ルーカス、何があったの?アトレがドアを開けたの?」

「話はあとだ。すぐに庭に、いやもっと広い場所がいいか?」

ルーカスはとにかく慌てていた。


『ルーカス、騎士団の訓練場はどう?』

「そうだ、そこだ!ハルト、急ぐぞ!!」

訳がわからないまま、アトレとルーカスに急かされ移動する。


「急がんか!!」

『ハルト、全力疾走』

移動途中も、ルーカスとアトレに早く早くと言われ続け、騎士団の訓練場に着いた。


「ぜーはー、ぜーはー。ルーカス状況説明を・・・・」

膝に手を当てて呼吸を整えながら説明を求める。

「何かあったのですか?」

私が走って騎士団に来たことに気づいた騎士たちが駆け寄ってくる。


「間に合ったようだ」

ルーカスは私の言葉を無視して、空を見上げている。

私もつられて空を見るが何も見えない。


「ルーカス、いい加減に説明を・・・・」

『ハルト、空見て』

アトレが言う方向を見ると、何かがこちらに向かっているのが見え、徐々に近づくにつれて、周囲がざわつく。


「はぁ、ドラゴン?!」

私は驚きの声を上げながら、騎士団の訓練場の上空を周回しているブルードラゴンを見ていた。

しばらくして、ブルードラゴンはこちらに向かって下降してきたが、訓練場に着地した時には、ブルーの髪、水色の瞳、背は高めの美女になっていた。

なぜか服装は冒険者スタイルだ。


もしかして以前、ルーカスから聞いた人間に紛れて生活するドラゴンさんか?

騎士舎にいた騎士たちもぞろぞろと外に出てくる。

そして美女になったブルードラゴンは、唖然としている私たちを気にすることなく、アトレの背中に止まっていたルーカスに近づく。


「ぶっはははー、なになに、このチビドラゴンは!!ホワイト、転生に失敗したのか!」

ルーカスを抱き上げ、また大笑いし出す。

「ブルーよ。そなたいったい何しにここに来たのだ」

ルーカスは答えずに自分を抱き上げたブルードラゴンに、呆れたように問い質していた。


「噂でね、呪いにかかった間抜けなドラゴンがいると聞いたので確かめに来たんだよ。まさかホワイトだったなんて・・・・」

また美女は笑いだした。

結構笑い上戸なドラゴンさん?


ルーカスはブルードラゴンから逃れて私の肩に止まった。

私とルーカスの関係性がわかったのか、ブルードラゴンの美女さんの顔が怒りに燃え、私を指さす。

「ホワイト、その者と従魔契約したのか、こいつは弱っているそなたを強引に従えたのか!!」

私を締め上げようと魔法を纏い始める。


いやいや、私は騙されて従魔契約したんですよ。

ブルードラゴンさん怖いんだけれど・・・・。

私も防御魔法がいつでも発動出来る態勢を取るが、どこまで防げるか?


「ルーカス」

私は肩にいるルーカスに小声で呼び、ブルードラゴンを止めるように促した。

「ブルーよ、我の呪いを解いたのも、転生出来たのもハルトのおかげなのじゃ。それにハルトの側は楽しそうだったからな、我から従魔契約をしたのだ」

ルーカスの言葉で、ブルードラゴンさんが魔法を使うのをやめた。

私はほっと息を吐いた。



話が長くなりそうなので、ブルードラゴンさんを屋敷に招待して、応接室でお茶とケーキを出す。

ブルードラゴンさんは、なんで自分にも出されたのか不思議そうな顔をする。

人間になって活動しているドラゴンさんだと思ったのだが、食事はあまりしていないのかもしれない。


またルーカスがテーブルに座って、自分に出されたケーキを食べ始めたのを見て、なんで食べているんだという不思議そうな顔をしている。

「ブルーよ。美味しいから食べてみろ」

口元にケーキのクリームをつけた締まらない顔のルーカスが勧めた。


ブルードラゴンさんはフォークで、ケーキを一口サイズに切り分け食べる。

「美味いぞ。ホワイトはいつもこの美味しい物を食べているのか!!」

それからはケーキを夢中になって食べていた。
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