異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第525話 余計なことはいわないで

王都でのセシリアは、母上やリアと何をしているのかは知らないが、3人で楽しんでいるようだった。

我が家で滞在をはじめてからは、冒険者の恰好はやめてドレス姿でいる。

髪型は基本おろしているが、たまにサイドアップや片方に髪をまとめる時とかもある。

侍女たちとも仲良くしていて、すごく我が家になじんでいた。



王都に来た3日後、私はセシリアと王城に行った。

父上からセシリアのファローは、私でないと難しいだろうと押し切られたからだ。

通された場所には、魔導具師長以外いつも王城で会う時にはいる方々と、国王陛下がすでにいらっしゃった。

国王陛下がすでにいることに私の方が焦るが、顔には出さずに対応できたはずだ。



「こういう面倒ごとは嫌いなんだ。普段なら無視か脅すかだが、世話になっているハルトからのお願いだから受けた」

でもセシリアは、初っ端から国王陛下たちへの挨拶で、余計なことまで言った。

冒険者として人の世界に紛れているとはいえど、やっぱりドラゴンさんなんだと私は内心慌てていた。


「それは申し訳なかった。本来はこちらから出向くのが筋だが、どうしても私が動くと、セシリア殿の正体が広まる可能性があったのだ」

国王陛下、大変申し訳ありません。

そして寛大なご対応、本当にありがとうございますと、私は心の中でお礼を言う。

その後はこの国に来た理由の再確認と、この国を楽しんでくれたらいいと国王陛下のお言葉で終わり、私は一安心する。



国王陛下が退席された後、宰相閣下から、来月から開催される王都の展覧会に、各国の代表団が見学に来るらしい。

すでに我が国に到着した国の代表団もあるため、気をつけるようにとのことだった。

「展覧会?」

セシリアが興味を示す。


「セシリア、あとで説明するよ」

王都の展覧会のこと、すっかり忘れていた。

来月ということは、リアの父上であるグランデ公爵は、展覧会の見学も兼ねて来訪するということか?

私は懸念事項を確認する。


「セシリアはドラゴンとしてではなく、別のことで有名人物なのですので、この国にいることを知られるのはまずいと思うのですが・・・・」

私はどう対応すればいいですかと、宰相閣下に尋ねた。

「Sランク冒険者、青バラのセシリア殿だったか、冒険者の格好をしていなければ気づかれないだろう。実際に姿を知っている人はいないのだから誤魔化せるだろう」

宰相閣下は本日のセシリアのドレス姿を見て、大丈夫だと判断しているようだった。


「ただ従魔殿たちと一緒に、王都内を散策していたら、目立ってしまうがね」

クロンデール公爵閣下が、痛いところをついてくる。

確かにアトレやルーカスたちが、王都で展覧会があると聞いたら行きたがるだろう。

しかし各国の代表団にセシリアの存在がバレるのは面倒だし、巻き込まれるのは嫌だから、みんなを説得して早々に王都から離れよう。


展覧会開催は期間が長いはず、各国の代表団がいなくなってからでも遅くはない。

私が今後のことを考えていたら、クロンデール公爵閣下がセシリアに話しかけている。


「セシリア殿、ウエストランドは面白いところでしょう。新街にはいかれましたか?」

「いや、ハルトの屋敷だけで、どこにも行っていない。面白いところなら是非行かないといけないね。この国は料理が美味しいのか?今まで興味がなかったが、ハルトの家で、お好み焼き、トンカツ、魚介類のフライ、カレー粉がかかった串肉・・・・とか、とにかく美味しい物がたくさんある」


セシリアが料理名を挙げる時に、自分の指を折りながら話していた。

しまった、セシリアを止める間もなく、クロンデール公爵閣下の罠にはまった。

内心あちゃーと思ったが、すでに遅し。

クロンデール公爵閣下はニヤリとしている。


「リーンハルト君、また新しい料理を思いついたようだね」

「クロンデール公爵閣下、残念ながら新作料理を広めることが出来ません」

私はセシリアから受け取った、他国のダンジョンのドロップ品で作った料理のため難しいと説明した。


セシリアが急に小声で私に聞いてくる。

「話している人物とは、親しげだが仲がいいのか?」

私の親友の父上で、フローリアの義父になる方だと話した。


「なんと、フローリアの義父上か!私はフローリアには、ずいぶん世話になっている。仕方ない、今回だけだ」

急にセシリアが空中に手を掲げて空間収納を展開し、トンカツや魚介類のフライと黒ソースが入ったソース入れなどが、次々とクロンデール公爵閣下の机の前に風魔法で並べられていく。

クロンデール公爵閣下は一連の流れに目を丸くしている。


王城の魔法師団長、副団長、魔塔の長老たちから

「「おーー」」

「すごい」

「初めて見たぞ」

空間収納に興味津々で、魔法師団長たちは、こちらに来たいのを必死に我慢しているように見えた。


「料理はハルトの家の料理長に、私が追加で作ってもらった物だよ。黒ソースはハルトが言ったダンジョンのドロップ品だ」

そんな状態を気にすることもなく、セシリアが自慢げに料理の説明を始めた。

私は面倒なことになりそうな気配を感じて、セシリアがこれ以上余計なことを話さないようにするためにせき立てて、宰相閣下たちに挨拶をして部屋を出た。

危なかった、あのままいたら、空間収納とか色々と質問攻めにあいそうでヤバかった。

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