異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

文字の大きさ
471 / 491
【リーンハルト:11歳】

第534話 散歩だ

数日後、私が自分の部屋でくつろいでいるときに、アトレが急に風魔法で窓を開ける。

「アトレどうし・・・・」

私はどうしたと言いかけていたら、シエルが窓から入ってきて勉強机の椅子にとまる。

私があっけにとられていると、シエルは私に飛んで近づき、首に着けているマジックバッグをくちばしで叩くと手紙が出てきて、私の膝に落とした。


手紙の差出人を見るとリアだった。

どういうこと?シエルはリアに事前に頼まれていたの?

シエルは、なぜマジックバッグを装着しているのか?

私がシエルに色々と質問をしても、シエルは私から顔を背けて知らないふりでいる。


「アトレ、ルーカス」

私はアトレとルーカスに助けを求める。

「諦めろ、シエルのいつもの気まぐれだ」

ルーカスはお気に入りのクッションに寝そべった状態のままでいる。


アトレは私の膝に飛び乗ってくる。

『散歩に行ったついでだってさ』

それでも私が話し掛けようとシエルを見たら、察したのかシエルは窓から出ていった。


「アトレ、どうやってシエルはマジックバッグを身に着けたんだ」

『さぁ?ボクに聞かれても・・・』

疑問だらけだが、リアもシエルが突然来て驚いただろうな。


リアからの手紙の内容は、シエルがリアのいる部屋の窓をくちばしで叩いて来たことを知らせてきたこと。

そしてマジックバッグから[手紙を届ける]と書いたメモを出してきたため、私が心配してシエルを寄こしてくれたと思ったらしい。

私はそこまで気が回らなかった、リアごめん・・・・。


ソレイユ帝国代表団の出迎えは無事に終わったこと。

ただソレイユ帝国の同行貴族から、ミニョンを見たいと言われ、断り切れなかったとか。

ミニョンは従魔ではないので安全だと保証はできないと遠回しに断るが、クロンデール公爵家かウエストランド家での対面、しかも重傷を負っても責任は問わないと一筆書くとまで言われ押し切られたらしい。

我が家をさらっと入れてくるあたりは、貴族だね。


ラファエルが対応して、グランデ公爵がクロンデール公爵家に行く際に、数人の貴族が同行してミニョンに会うことで話がついたそうだ。

だから私と両親とグランデ公爵の対面は、ソレイユ帝国の貴族たちが王城に戻った午後で調整したいと書いてあった。


また各国が集まる王城のパーティーに、リアとラファエルも出席することになったらしい。

なんでもソレイユ帝国の貴族が、リアが私の婚約者になったことは、各国知っている。

この展覧会の提案者だから、私が王都にいなくて出席できなくても、リアは父君もいるのだからとか・・・等々、出席しなければならない理由を並べてきたそうだ。

グランデ公爵もリアが未成年だからと断ったそうだが、出迎えてくれているのにパーティーには出席できないというのもおかしい。

リアと同年代の令息、令嬢も出席するからおかしいとまで言ってきたそうだ。


そんなに強気で出られるソレイユ帝国の貴族って誰だ?

リアの父上は公爵だぞ。

リアを王城のパーティーに誘うのは何か仕掛けるためか、リアを屋敷から出させたいのか。



私は父上に会いに行き相談することにした。

宰相閣下から助言で、王都展覧会には各国の代表団として派遣されている者は実績ある者が多いそうだ。

私がパーティーに出席すると、他国でも成功させたいと野心がある者からの質問があるだろう。

また貴族からの接触も避けられないだろうとのことだ。


これ以上のトラブルには巻き込まれたくないが、リアをラファエルにまかせっきりというのもよくない。

私は父上にパーティーに出席すると話した。

「ウエストランドを継ぐのだ。いい経験になるだろう。ただし派手に動き回ることはしないように」

父上の最後の言葉は、私が問題ばかり起こすと言わんばかりだ。


私は話を変え、父上にシエルをリアの所へ行かせたのかと尋ねるが、知らなかったらしく驚いていた。

2人で書斎の止まり木にいるシエルを見た。

シエルは体を膨らませているが、何か父上に言っているようだった。


「気分がいいから、返事の手紙をフローリアに持っていってもいいらしい」

父上が苦笑いしながら教えてくれた。

シエルはただ単に私たちを驚かせて楽しんでいるだけか!

でも助かるからお願いしよう。


あと父上にシエルのマジックバッグについて尋ねると、シエルが自分で管理しているそうだ。

父上の部屋にシエル専用の箱が置いてあって、父上でも箱を開けることはできない。

どうやってシエルが箱を開けるのか聞くと、シエルの足型を登録した魔導具が鍵になっているとのこと。

シエルに強請られて作ったとのことだった。


シエルはマジックバッグを口に咥え、出会った侍女に付けてもらい出かけ、樹海で倒した魔獣を父上に渡すこともあるのだとか。

メモの件は父上が尋ねても、シエルは無言らしかった。

「まぁ、メモは誰が書いたのかはわからないが、シエルは散歩を兼ねて、クロンデール公爵家周辺の見回りをしてくれたのだろう」

父上がシエルを見ながら言うと、止まり木にいるシエルがそっぽを向いた。

父上の憶測が図星⁉


「シエル、リアを気にしてくれてありがとう」

私がお礼を言うと、シエルが何か言ったらしく

「わかった、わかった」父上が笑いながらうなずいていた。

「シエルは散歩で、見回りではないとのことだ」

シエル、そういうことにしておくよ。

感想 34

あなたにおすすめの小説

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪

百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。 でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。 誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。 両親はひたすらに妹をスルー。 「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」 「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」 無理よ。 だって私、大公様の妻になるんだもの。 大忙しよ。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※