異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:11歳】

第538話 相談したんだよ

休憩室に使われている誰もいない1室のドアの前に、護衛騎士を配置してもらってから、エイダン殿下が口を開いた。

「セシリア嬢、……あなたはいったい何者なのだ?」

「何者でもいいだろう。それよりもあんたを助けたのだから、これ以上つきまとうのはやめてくれ!」

「セシリア、まだエイダン殿下が狙われていたと確定したわけではないからね」

ケンカ腰のセシリアをなだめつつ、私はエイダン殿下の顔を見る。


「エイダン殿下、セシリアを諦めていただければ、こちらからひとつお手伝いをさせていただきます」

私はセシリアのダンジョン戦利品の飴玉を1つ、自分の手のひらにのせてエイダン殿下に見せた。

私はこの小さな玉を空中に投げると、玉が破裂して、周囲にいる敵だけ、くしゃみが止まらないし、目が開けられないくらいの痛みが1時間ほど続くと説明した。

「この玉は今回殿下に同行している者たちの中にいる敵を炙りだせます」

「……いったいどこでそんなものを手に入れたのだ」

エイダン殿下が眉間に皺を寄せ、私に尋ねてくるが、答えずに説明を続ける。


「この玉に少しだけエイダン殿下の魔力を入れてください。それで敵かどうか判別できるようになります」

セシリアからこの玉の使用方法を聞いた時は、投げた人に対して敵対する人がわかると聞いていた。

この玉を使ってエイダン殿下と取り引きできないかと考え、別の者が投げても敵の判別出来るとか、離れたところから投げても効き目はあるのかわかるか、セシリアに聞きに行ったのだ。

セシリアからは、玉に魔力を流せば可能のようだが、離れた場所から投げて効き目があるかまではわからないとの返事だった。


そこでシエルに理由を話して協力を求めると、効果不明ならやっても意味がないとそっけない。

たから私は粘ってお願いを続けていたら

『どんなものか見せてみろ』

アトレがシエルの言葉を僕に教えてくれたから、僕ばズボンのポケットから取り出して、実物を掌にのせシエルに見せた。



『事前に一つ使って確認してもいいならやってもよい』

「誰に使うつもりなの?」

僕は困惑気味になりながら、シエルに問うた。


『内緒。さっそく試してくる』

シエルは私の返事を聞かずに、私の掌にある玉を嘴で咥えて、シエルは窓から出ていった。

「シエル待って!!」

あっけにとられていた私は正気に戻り、窓に近づき叫ぶが、もうシエルは見えなかった。

そして帰ってきたシエルから、時間はかなり短くなるが効力は有効だったとだけで、どこで使用したか、誰を対象にしたのかわからずじまいのままだった。



エイダン殿下はセシリアを見つめた後、私の方に視線を移し、お互い目をそらさずにいたが、エイダン殿下が肩を落とした。

「・・・・わかった。セシリア嬢のことは諦めよう」

敵が多いエイダン殿下だ。味方と思っていた人物が敵の可能性もある。

だから私はエイダン殿下がこの話に乗る可能性が高いと思ったのだ。


本来ならば本国で使いたいだろうが、パーティーなどで使用すると、影響が出た人たちを見れば、敵側が何か仕掛けたと考える者がいるだろうから無理だ。

しかし帰国道中なら、怪しまれる可能性は小さいはず。

敵がわかれば、そこから誰と繋がっているか調べていくことも可能だ。


私がこれを使う場所として、エイダン殿下に提案したのは国に帰国する道中で、馬車移動時。

だから場所を指定してほしいこと、あとこのことは誰にも話さないことをお勧めした。

エイダン殿下は厳しい顔のまま尋ねてくる。

「誰が空中に投げるのだ。怪しまれる行動は、こちらも対処に困る」


「我が家の従魔が離れた上空から、この玉を落とします。その場合、効能時間は短くなるため、怪しまれる可能性も小さくなるかと」

そして木などがある場所なら、花粉が飛んでとか、鳥が木の実を落としてきたくらいで誤魔化せるのではないかと思う。


明日、最終結論を出すことになり、私とセシリアだけ部屋を出ると、廊下で待っていたエイダン殿下の執事が、我々に頭を下げて部屋に入っていった。

しばらく歩き、誰もいない廊下でセシリアが小声で尋ねてくる。

「ハルト、なぜ明日なんだ」

「襲ってきた賊の報告が王家から極秘であると思うからね」

「もう私は王城に来る気はないから任せるよ」


私の言葉に興味を失ったのかセシリアは歩みを早める。

途中でパーティー会場とは違う方向に向かっていることに私は気づく。

「セシリア、方向が違うよ」

「私はパーティーに戻らないからこっちだ合っている」


私は不思議に思い、セシリアに協力者が誰なのかを尋ねたら、国王陛下だった。

「セシリア!なにしたの?」

大きな声で詰め寄りたいが、協力者が予定外の相手だけに、必死に声を押さえた。


「ハルトがいらないと言った品をあげる代わりに、パーティーに参加したいって相談したんだよ」

相談ではなく脅したのではないのか?

王城へ行くために宰相閣下の家の馬車が、我が家まで迎えに来て、王城で用意されたドレスで参加したそうだ。

私は先ほど会った宰相閣下がつぶやいた含みのある言葉の意味を理解する。

陛下、宰相閣下、申し訳ありません。私は心の中で謝った。

詳細は帰ってから聞くことにして、私はセシリアとここで別れた。
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