異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:9歳】

第290話 ザクス村(後編)

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いつもお読みいただきありがとうございます。

次の投稿は本日の午後の予定です。

よろしくお願いいたします。

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少年たちを呼びに行ってくれたハンスさんたちを待つ。

「この提案をした少年に興味出たのか」

「クリス兄様は会って話してみたくならなかったですか」

「いや、すごいことを考えついたなと思ったよ。ハンスさんが露店を譲ってもお互い利益がでそうだ」

「これ、他の店も真似しそうですね」

「そうだな。観光客が多くなると展覧会みたいに行列になるのは避けたいし、分散させるにはいい案だ」

「味は均一だし、発案者の利益を守っていますからね」


特許申請に似てはいるが、特許申請は誰でもお金を払えば全部内容が見ることができる。

人によってはレシピを完全に公開したくないが信頼した人には教えてもいいという場合がある。

今回、2年間非公開を領主側が決めているが、2年後はフリーにするつもりだから、特許申請で公開してもいいし、許可した人にだけ教える今回の方式でもいいと思う。


ハンスさんが連れてきた2人の少年は緊張しているのか歩き方がぎこちなかった。

みんなソファーに座ったのでクリス兄様が

「ハンスさんから聞いたのだけれど、露店を任せるとなると正式に契約書を交わす。細かい部分はもっと話し合いをしないといけないがこの案はいいと思う」

2人は自分たちが露店でココットの衣焼きを売れそうだとわかった嬉しそうだった。

「ちなみに案を考えたのはどっち」

「俺です」

「どうやって思いついたの」


展覧会に出て自分たちの料理は新街で売れないだろうと思ったこと。

ただ来年には孤児院を出ないといけないので働くにしても新街で露店販売をしたかったこと。

売れるのは何かを考え、ハンスさんのココットの衣焼きだと思い、どうやったらハンスさんが承諾してくれるか、自分たちも利益を上げるにはどうしたらいいか考えているときに、展覧会のかわら版を読み返して思いついたと教えてくれた。

「かわら版?」

「はい、お土産部門に新街のみの販売は2年後辞めてもいいと書いてありました。それなら料理も新街以外の領内で店を出すことが許されるのではないかと思ったのです」

そこからは2人で妥協できるところの利益を考えていってできたものらしい。


特許申請の場合は売り上げの15%~20%だ。

だから利益の1/3というのは目新しかった。

しかも材料は全部発案者から買い付けるからごまかしが効かない。

発案者の信用を得やすい条件だ。

「2年という縛りは新街を領民に広める期間で、一度来たら他所で売っている料理が多少あっても温泉にみんな何度も来ると考えているのではないかと思いました」

いやいや、そんな計算などしていないから。

ただ、2年経てばもっと売れるものは他所で販売してもいい、せっかく売れるものを縛るのはよくないと考えただけだよ。


彼らは今、ハンスさんの家の手伝いをしながらココットの肉の構造や肉の正しい切り方などを教えてもらっているらしい。

手伝いをしながら勉強出来て、ご飯もたくさん食べられて楽しいと言う。

ハンスさんはハンスさんの方で冬用の牧草作りや、もう少しで小麦の収穫、畑仕事と忙しいから戦力になって助かっているという。

新街ができたら手伝いできなくなるけれど大丈夫かと聞いたら、お兄さんが結婚を機に冒険者を辞めて家を継ぐから大丈夫とのこと。

さっきの若い女性はと聞くとハンスさんの婚約者で一緒に新街に行くそうだ。

お兄さんが帰ってくるから独立を考えていたのか。

露店よりは店の方が婚約者さんも安心するだろうし、収益が少しでも多くなるのは歓迎だろう。


「もし店を出せるとなったら露店はどうするの」と少年たちにクリス兄様が尋ねる。

「孤児院の後輩に譲りたいです。ハンスさんから合格もらえることが前提ですが」

すごいな、将来の青写真が完璧に近い、この目標に向かっていずれは自分の店を持つのだろう。

ヘッドハンティングは難しそうだ、残念。


紙と油についてはまたわかり次第連絡すると約束してザクス村を出てゼクス町に行く。

この町にも2人お土産部門の食べ物と食堂部門の人がいる。

訪れる前に商業ギルドで確認すると食堂部門の人はアインス町と同じ状況だった。

お土産部門の食べ物は500人分出来ていたので貰って帰る。

夕方、食堂部門の人と話をするとこちらも新街に店を構えたいとの話だった。

これは早く対策をした方がよさそうだ。
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