異世界でゆるゆる生活を満喫す

葉月ゆな

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【リーンハルト:10歳】

第398話 霞んでしまいそう

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私は手紙を受け取り、裏返すとダヴィト叔父様からだった。

「ダヴィト様からの伝言。この手紙はひとりの時に読んで、すぐに破棄することですって」

「読みたくなくなった」

私は持っていたマジックバックに手紙をしまうけれど、愚痴がこぼれる。


「私に手紙を渡すから王都に来たの?でも私が王都にいるってよくわかったね」

「ウエストランド3兄弟が、新サンドリア公爵領に滞在していることが解ったから、慌てて王都に来たのよ」

「ブリジットはずっとノーストレイドにいるの」

「そうよ。事業が忙しくて。誰かさんが新たな羊毛事業を提案してくるしね」

「楽しそうでよかったよ」

「フローリアだってウエストランドのお手伝いをしているじゃないの。一緒よ」

ブリジットには口では勝てない。嫌味を言ってもすぐに返される。

私がため息をついたので降参したと思ったのか、ブリジットは話を変えてくれた。



「リーンハルト、マジックバックをここに持ってきているということは、もしかして新作があるのかしら」

「ブリジット、そうだよ。でもクリス兄様の新領地の特産品で作ったものだけれどね」

「まぁ、わたくしも、新作お菓子を持ってきたのだけれど、霞んでしまいそうだわ」

「ディアンヌ、新作お菓子ができたの?」

「うふふ、そうなのよ。ユベール様が新しく作ったお茶で作ったお菓子なのよ」

「ユベール兄様、学園に通っているのに?」

「そうなのよ。休みの日に色々試してくださっていたの」

ディアンヌは自信作なのか、ユベール兄様が作った新作茶だからか、とてもいい笑顔だ。


「まずはディアンヌのところの新作お菓子をいただこうか」

ラファエルが侍女に合図をしていた。

侍女が取り分けてくれたディアンヌのお菓子は、アイスクリームに、パウンドケーキ、クッキー、抹茶ラテに似たもの、でも茶色一色だ。

私はアイスクリームから食べる。

「あっ、ほうじ茶だ」

「リーンハルト、このお茶は、ほうじ茶というの?」

私の発した言葉にディアンヌが、がっかりした顔になっていた。

私が知っているから、新作ではなく、すでにあるお茶だと思ったようだ。

「私が加護:図書館を持っているのは知っているだろう。以前読んだ本に書いてあった味にそっくりだったのだよ」

私は慌てて言い訳をした。

ディアンヌは納得したようなしていないような、判断がつかない顔だったけれど、深く追及してこなかった。


「ディアンヌ、抹茶のお菓子だけでもいいけれど、このお茶菓子と選択できるのはいいわ。そろそろ出店を考えているのかしら」

フローリアが話をそらしてくれた。

フローリア、ありがとう助かったよ。

「そうよ。秋に皇太子殿下の結婚式があるでしょう。だからその前に王都で店を開店させようと内装を急いでいるわ」

「だから王都にいたのか」

「そうなのよ。ガルーダの名前を回復させるチャンスですもの」

ディアンヌ、すごくしっかりしてきたね。

出会ったころとは大違いだ。

ブリジットの影響もあるのかな。

でもいいことだよ。


今度は私から、枝豆、黄な粉のおはぎ、黄な粉のお餅、おかき、お餅ピザ、パン生地で作ったピザをテーブルに出す。

「ラファエルが驚かないと言うことは、すでに食べたのかしら」

ブリジットは相変わらず鋭いな。

「ごめん、そうなのだ。昼食としてね」

リジットとディアンヌが、フローリアにひとつずつ食べ方を聞きながら食べていく。

「どれも美味しいのだけれど、枝豆、おかき、手で直接食べるのがネックよね」

言いながらもブリジットは、おかきを食べている。

「ピザも美味しいのだけれど、ナイフとフォークより、こちらも直に手で食べたほうがよさそうな料理よね。美味しいのに・・・・」

ブリジットが食べにくいと言いながらも、美味しいを繰り返しているから味は気に入ってくれたのだろう。

貴族子女のマナーとしてピザを直に手で食べるのは難しい。

今日は私もピザをナイフとフォークで食べている。


「食べたことのない触感、お餅が伸びるものびっくりだわ。美味しいのだけれど、わたくしたちが食べるとなると、はしたないと言われそうね」

貴族向けだと、お餅は一口サイズで出した方がよさそうだ。

クリス兄様に伝えよう。

お餅は伸ばすのがいいのだけれどなぁー。


「おはぎやお餅は、赤あんとも合うのよ」

「フローリアは赤あんで食べたの?」

「ディアンヌ、そうよ。クリスお義兄様にお土産で大量に持って行ったの。だけどおはぎですべて無くなってしまったわ」

ラファエル、ブリジット、ディアンヌは赤あんの味を知っているから、次回は必ず赤あんを出すことを約束させられて、クロンデール公爵家を後にした。

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