スキル素潜り ~はずれスキルで成りあがる

葉月ゆな

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第28話 期間延長

翌日、最初に難破船を見つけた場所周辺を、確認したが何も見つからなかった。

私は念のため海底の砂に降りて周辺を見て回ろうとすると、またエーグラーに似た生き物の上だったようだ。

昨日と同じように対処して倒したが、これもスキルのお陰なのだろうか?

セドに文句を言われるだろうが、戻って来ているといいな。


戻るとセドたちも森から戻って来ていたようで、ナナがリアムに、リアムからセドへと連絡がいき、セドが泳いでマジックバッグを持ってきてくれた。

セドは砂浜にたどり着くなり私に話し出す。

「なんだ、このグロテスクな生き物は!!」

「アグネスがエーグラーという滅多に取れない、唐揚げが絶品なヤツに似ているって」

「それは食べてみたいな」

セドは唐揚げが絶品と聞いて、グロテスクは気にならなくなったようだ。


「例のものは見つかったのか?」

「それらしきものは見つけた。ところでセドの方はどうだった?」

「こっちも糸を大量に回収できたぞ」

糸は前回よりも多いらしい、あとナディーヤによると芋虫とは前回と同じ場所で遭遇したから、場所周辺は芋虫の餌が豊富にあるのではと考えたようだった。



子爵領に着くとヘレンさんが船着き場で待っていた。

「ヘレンさんにちょうど用があったから、会えてよかったよ」

私からヘレンさんに声を掛けた。

「話を伺うのが楽しみですね。私は芋虫の生地が出来上がりましたのでお持ちしました」

「もう?」

「はい」

ヘレンさんがいい笑顔なので、相当自信作が出来たのではないだろうか。


今は子爵家の屋敷に来てもらうのは難しいから、エクラ商会に行くことにした。

「また、大きなものを獲りましたね」

エクラ商会の倉庫で例の生き物を取り出したが、ヘレンさんは冷静だった。

「今回は驚かないんだね」

ヘレンさんから十分驚いていますと返答があったが、生き物をほうが気になるようだ。


「アグネスがエーグラーに似ていると教えてくれたんだ」

「確かに、このグロテスクな顔はエーグラーそのものですが、大きさが違います」

ヘレンさんは商会にいる鑑定スキルを持つ従業員を呼び確認させた。


「どうやら、エーグラーで間違いないようです。私たちが見たことがあったのは子供だったのですね」

どうやらピストリーと同じパターンのようだ。



応接室へ案内され、見せられた芋虫の生地は、クリームホワイトで光沢があり、太陽の光に当たるとより輝いて見える。

ヘレンさんは美しすぎる生地だから、染めるのはもったいなくて試していないとのことだった。

「セドたちが、今回も回収してきたから買取お願いするよ」

「もちろんですわ。ダニエル様、この芋虫飼うことはできませんの?」

「「えっ?!」」

私とセドは、ヘレンさんの提案に驚きの声をあげた。


ヘレンさんからは安定して手に入れば、かなりの収入になるから考えるべきだという。

私は余裕が出来たら考えるよと返事をして、エーグラーと芋虫の糸を渡して屋敷に戻り、父上に紋章を渡した。

翌日、レヴァンス王太子から、よく見つけたとお褒めの言葉をいただき、両王太子殿下は王都に戻られた。


父上も屋敷の片づけが済み次第、王都に戻られるそうだ。

私たちは島に戻ってよいらしく、食料を買い込んで島に戻った。

アグネスとナディーヤにもうしばらく島にいてくれないかと交渉すると、あっさりと承諾してくれ延長が決まった。


アグネスは屋敷の料理場を好きなように使えるからという理由で、ナディーヤは島の探検をもっと本格的にしたいらしい。

今後はセドとナディーヤで2泊3日でこの周辺を探検するが、重点的にするのは小川があるほうをお願いした。

ブレナンたちには休暇はどうすると尋ねると、雨の時は休みになるし、買い出しの時にまとまって休むと言われた。


話が纏まったため、お祝いをしようと私が言うと、豪華な料理をアグネスが作ってくれるらしい。

ただ、お祝いは明日の夜にすることになり、私は魚を獲るため海に潜った。

するとまたエーグラーを捕まえたため、明日の料理で使おうとアグネスに渡すと、みんなが歓声をあげた。



翌日、いつものように海に潜ろうとしたら、ハンスが慌ててやって来た。

「ダル、海賊船がどこかの船を襲っている。ここが見つかると危ない!!」


探検に出かけようとしていたセドたちもハンスの声が聞こえたらしく、砂浜に走って来る。

「ハンス、君は見つかっていないのか」

私はハンスが危険な目にあっていないのか確認した。

「遠くだから見つかっていない」


この島に沖の方らしく、赤い煙が上がっていたそうだ。

赤い煙は救助求の合図だ。ハンスから状況を聞いて、私はみんなに声を掛ける。

「わかった、様子を見てくるよ」

「ダル、ひとりは危ない」

セドが止めるが、私は首を振る。


「無茶はしない。助けられるなら助けないと」

私は海に入った。

急いで泳ぎ、一度海面に顔を出すと、左側の船から赤い煙が上がっていた。


再び潜って海賊船だと思われる右の船に近づき、船底を思いっきり蹴ると大きな穴が開いた。

そして私は先端部分の船底を思いっきり傾け海の中に沈める。

今度は左側の船に近づき、船底を持ち海賊船から離して、子爵領の桟橋に付近まで移動させた。


船の上ではたぶんパニック状態だろうな。

桟橋には難破船を調べている王城の騎士たちがいて、こちらを見ていた。

私は海面から顔をだし桟橋に近づく。


「すみません、海賊船に襲われていた船を助けたのですが、説明なしで助けたので、協力していただけませんか」

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