2 / 39
『幻の規制回』
しおりを挟む
題 闇 発表会 お茶の間
『――続いては〇〇小学校の発表会の様子です』
ワイワイガヤガヤ
テレビに映っている小学校は私の母校だ。前に取材が来ていたのだがやっと放送されたので、家族皆で晩飯を食べながら見ている。
「うわぁ、懐かしいなぁ!」
私は今年でもう高校生になるので小学校がとても懐かしく思えた。たった3年前なのに何十年も前のことのように想える。そんな感動に心を震わせながらテレビを見ていた。
「……手が止まってるよ! ご飯は冷めないうちに食べな」
私はテレビに夢中になっていたために食べる手が止まっていたようだ。お母さんに注意されてしまった。
『――最後にぃ僕は疑問に思っていることがあります』
謎のタメが3秒ほどあった。私以外も皆疑問に思ったらしく、食べる手を一旦辞めてテレビに釘付けになった。
『どうして……この世界はこんなにも醜く争いが絶えないのか。僕はいつも思うんです……』
『この世界に生まれてきた“意味”ってなんなんだろうと……』
その後も似たようなことをずっとその子は話していた。発表用紙も見ずに……
この時私たち家族は皆こう思っていたのだろう。
(……闇だ! この子闇だ!)
と。後になってからよくよく考えるとおかしな点がもう1つあるのに気がついた。それは、なぜあの子のシーンをカットせずに取り入れたのかだ。あのような場面、普通はカットしたり差し替えをしたりするだろうと。
あの放送があった翌日、見逃し配信でもう一度発表会の様子のシーンを見た――が、例の場面は別の子の発表にすり替えられており、幻となってしまった。
これは私が後に調べたことだが「〇〇小学校の問題の児童」のことを友達の妹に知っているか聞いてみたが、そんなのは居ないと言っていた。
これがまさしく『闇』
『――続いては〇〇小学校の発表会の様子です』
ワイワイガヤガヤ
テレビに映っている小学校は私の母校だ。前に取材が来ていたのだがやっと放送されたので、家族皆で晩飯を食べながら見ている。
「うわぁ、懐かしいなぁ!」
私は今年でもう高校生になるので小学校がとても懐かしく思えた。たった3年前なのに何十年も前のことのように想える。そんな感動に心を震わせながらテレビを見ていた。
「……手が止まってるよ! ご飯は冷めないうちに食べな」
私はテレビに夢中になっていたために食べる手が止まっていたようだ。お母さんに注意されてしまった。
『――最後にぃ僕は疑問に思っていることがあります』
謎のタメが3秒ほどあった。私以外も皆疑問に思ったらしく、食べる手を一旦辞めてテレビに釘付けになった。
『どうして……この世界はこんなにも醜く争いが絶えないのか。僕はいつも思うんです……』
『この世界に生まれてきた“意味”ってなんなんだろうと……』
その後も似たようなことをずっとその子は話していた。発表用紙も見ずに……
この時私たち家族は皆こう思っていたのだろう。
(……闇だ! この子闇だ!)
と。後になってからよくよく考えるとおかしな点がもう1つあるのに気がついた。それは、なぜあの子のシーンをカットせずに取り入れたのかだ。あのような場面、普通はカットしたり差し替えをしたりするだろうと。
あの放送があった翌日、見逃し配信でもう一度発表会の様子のシーンを見た――が、例の場面は別の子の発表にすり替えられており、幻となってしまった。
これは私が後に調べたことだが「〇〇小学校の問題の児童」のことを友達の妹に知っているか聞いてみたが、そんなのは居ないと言っていた。
これがまさしく『闇』
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる