【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

第2章「闇のバトルフィールド」

第2話「開幕！蓮 VS 赤城蒼真」

朝日が校舎を照らす中、
グラウンドは異様な熱気に包まれていた。

　

選手たちはすでにスタンバイし、
観客席は満員だ。
特に今回は、
神崎蓮と赤城蒼真という、
最強の二人の戦いだ。

　

校内の誰もがこの戦いを待ち望み、
全員がその行方に息を呑んでいる。

　

蓮は、
いつものように無言でグラウンドに立つ。

　

彼の前に現れたのは、
赤城蒼真。

　

赤城は、
いつもの冷徹な表情を崩さず、
淡々と立っている。
その姿勢には、
どこか恐ろしさすら感じる。

　

「――お前、緊張してないのか？」

　

蓮が、
赤城に向かって問いかける。

　

赤城は、
少しだけ目を細め、
低い声で言った。

　

「緊張？
　そんなものは、必要ない」

　

その言葉には、
何の余裕も、
何の疑いもなかった。

　

「お前が何を考えていようが、
　俺には関係ない。ただ――
　お前を倒すだけだ」

　

その言葉に、
蓮は不思議と冷静さを保っていられた。

　

「それなら、やってみろ」

　

蓮は、
赤城の言葉を素直に受け入れる。

　

心の中では、
赤城の強さを認めている。
だが、
それが自分を超えるものだとは思っていない。

　

「――始めようか」

　

審判がその一言で、
試合を開始する。

　

「戦いの開始！」

　

その合図と同時に、
二人の間に電撃が走った。

⸻

赤城は、
初手から全力で蓮に向かって突っ込んでくる。
そのスピードに、
観客は誰もが驚きの声を上げた。

　

「速っ！」

　

「蓮、気をつけろ！」

　

蓮は、
赤城のスピードに一瞬驚くが、
すぐに反応して身をひねった。

　

赤城の攻撃が、
蓮の横をかすめていった。

　

「――！」

　

赤城の攻撃が空振りした瞬間、
蓮は一瞬の隙を突いて、
反撃のアッパーカットを放つ。

　

その拳が、
赤城の顔に直撃した。

　

「――っ！！」

　

赤城の顔が、
わずかに揺れた。

　

その瞬間、
蓮はすかさず距離を取る。

　

だが――
赤城は、すぐに立ち上がり、
その顔に微塵の傷も見せずに笑った。

　

「やるじゃないか、
　神崎蓮」

　

その笑みは、
まるで蓮の力を試すかのようなものだった。

　

（こいつ――）

　

蓮は、
その笑みを見て心の中で言った。

　

「俺は、
　お前のようなやつに、
　負けるわけにはいかない」

　

赤城は、
ほんの少しの間、蓮を見つめた後、
また素早く動き出した。

赤城蒼真は、一瞬で距離を詰め、
蓮の前に立つ。

　

その速さに、
観客から驚きの声が漏れる。

　

赤城の拳が、
蓮の顔面を狙って放たれた。

　

だが――

　

蓮は、
一歩引いてそれをかわした。

　

「――っ！」

　

彼の拳が、
空気を切る音が響く。

　

（速い――）

　

その速度に、
蓮は改めて驚愕する。

　

だが、
驚いている暇はない。

　

蓮は、すぐさま反撃に転じる。

　

「――！」

　

蓮の右手が、
赤城の脇腹を狙って鋭く突き刺さる。

　

その一撃が、
赤城の体をわずかに後ろに倒させた。

　

「お前、なかなかやるな」

　

赤城は、
ニヤリと笑った。

　

その笑みは、
蓮の予想を裏切るように、
どこか余裕を感じさせるものだった。

　

「だが、それが全てだと思うなよ」

　

その言葉を発つと同時に、
赤城は一気に間合いを詰め、
蓮に向かって再び攻撃を仕掛ける。

　

「――っ！」

　

蓮は、
そのスピードに反応できず、
再び赤城の強烈な一撃を受けてしまう。

　

その拳が蓮の胸に直撃し、
蓮の体が大きく後ろに吹き飛ばされた。

　

「ぐっ……！」

　

その痛みが、
蓮の体に走る。

　

だが、
その瞬間、
蓮の目に強い光が宿った。

　

（このままじゃ終わらない）

　

蓮は、
その痛みに耐えながら立ち上がる。

　

「……お前、ほんとに強いな」

　

蓮は、
息を整えながら、
赤城を見据えた。

　

その目には、
ただの痛みを乗り越えた者だけが持つ「覚悟」が宿っている。

　

「でも、それだけだ。
　お前が持ってる力を、俺が超えてみせる」

　

その言葉とともに、
蓮は再び前に踏み出した。

　

赤城の笑顔が少しだけ陰り、
目が鋭くなる。

　

「……面白い」

　

赤城は、
再びその足を踏み出した。

⸻

その瞬間、
グラウンドを支配していた緊張感が、
一層深まった。

　

次の攻防で、
どちらが勝者になるか――
すべてが決まる。