【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

第3章「新たな闘志」

第2話「京の夜、そして新たな試練」

京都の夜。
蓮は修学旅行の自由時間を終え、ホテルの部屋で静かに過ごしていた。

　

外の景色は、
静かで美しい。

　

だが、
その静けさに反して、
蓮の心の中には不安が広がっていた。

　

（あの男、何者やったんやろ）

　

蓮は、あの男のことが頭から離れなかった。
目が合った瞬間、
何かが胸の奥に引っかかった。

　

「……気にするな、余計なこと考えるな」

　

蓮は自分に言い聞かせるように呟く。
だが、その時、
ドアがノックされた。

　

「蓮、ちょっと来いや」

　

相馬の声だった。

　

蓮は軽く息を吐き、
ドアを開ける。

　

「どうした？」

　

「ちょっと外に行こうや。みんなで出かけるぞ！」

　

相馬は、
どこか楽しそうに言った。

　

「明日も観光があるし、リフレッシュしたいだろ？」

　

「まぁ、少しだけなら……」

　

蓮は、ほんの少しだけ悩んだ後、
自分の気分転換のために、外に出ることに決めた。

⸻

ホテルを出た蓮は、
相馬と田口、そして他の仲間たちと一緒に、
夜の京都の街を歩いていた。

　

「ほんま、京都の夜って静かやなぁ」

　

田口が感心したように言う。

　

「確かに。昼とは全然違うな」

　

相馬も頷きながら言った。

　

「昼間は観光客でいっぱいやけど、
　夜になると静まり返って、落ち着いた感じやな」

　

蓮は少しだけその言葉に頷く。
その静けさの中に、
どこか不安を感じていた。

⸻

街の中を歩いていると、
再びあの男が目の前に現れた。

　

「……また、こいつか」

　

蓮の目は、その男に自然と引き寄せられた。
あの時と同じように、
男は不意に振り返り、蓮と目が合った。

　

「なんで、こんなところに……」

　

蓮の中で、
不安が膨らむ。

　

男は、
一度蓮に目を合わせた後、
何も言わずに再び街の奥に消えていった。

　

「蓮、どうしたんだ？」

　

相馬が不安そうに声をかけてきた。

　

「……あ、いや、何でもない」

　

蓮はすぐに顔を背けて答える。

　

（気にするな、今日は楽しまなアカン）

　

その言葉を繰り返しながら、
蓮はその後も街を歩いた。

⸻

その後、
一行は飲み屋街で軽く食事を取ることにした。

　

「いやぁ、さすが京都やな。
　こんな美味いもんが食べれるとは！」

　

田口が美味しそうに食べながら言った。

　

「ほら、蓮も食べろよ！」

　

相馬も誘ってくる。

　

蓮は、
少し悩んだ後、
食事を口に運んだ。

　

「うん、うまい」

　

「そやろ！これ食べんと京都来た意味ないで」

　

相馬が楽しそうに言うと、
蓮は少し笑みを浮かべた。

　

「ま、たまにはこういうのもいいな」

　

その時、
蓮はふと、
あの男のことを忘れることができた。

⸻

その夜、
蓮は深夜に目を覚ました。

　

窓の外には、
静かな京都の街並みが広がっている。

　

その時、
ふと、蓮の耳に何かが聞こえた。

　

「……誰か、いるのか？」

　

蓮は、
不安に駆られて部屋を出る。

　

ホテルの廊下を歩きながら、
音の源を探る。

　

その時、
再びあの男の姿が見えた。

　

「――お前、何してんだ？」

　

蓮は、思わずその声をかけた。

　

男は、
振り返ると、
軽く笑いながら言った。

　

「お前、気になるんだろ？」

　

その言葉に、
蓮の胸が一瞬、
ドキッとする。

　

「お前、誰や？」

　

男は、
少しだけ笑ってから答える。

　

「俺か？
　お前の次の試練、
　それを与える者だよ」

　

その言葉に、
蓮は息を呑んだ。