【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

第5章「新たな戦士たち」

第3話「試練の先に待つもの」

「お前が次の試練を受ける覚悟ができているか？」

黒岩亮のその問いに、蓮は静かに頷いた。
闇の闘技場での数々の試練を乗り越えた今、
彼の中にある不安は徐々に確信に変わりつつあった。
だが、それでも感じる不安の中で、
蓮は戦いに向けて心を整えていた。

「覚悟はできている」

その言葉には迷いはなかった。
だが、同時に蓮はその先に待っている試練がどれほど過酷なものであるかを
しっかりと理解していた。
闇の闘技場は、ただの戦いの場ではなく、
命をかけた戦いの場なのだと。

「次の試合は、ただの拳闘じゃない。
　相手は、戦うことを全てにしている。
　その戦いを突破できるか、お前の試練だ」

黒岩の言葉が、
蓮の胸に重く響いた。
その言葉の意味を理解するには、
もっと多くの試合を経なければならないのだろうと感じた。

⸻

その日、
蓮は闇の闘技場に向かうため、
再びリングへと足を運んでいた。
その日は他の試合よりも、
どこか違った雰囲気が漂っていた。
観客席の空気、
そしてその背後にある期待のようなものが、
蓮を包み込んでいた。

「次は、お前か」

その声が聞こえたのは、
リングの上に立っていた瞬間だった。
蓮はその声を聞いた瞬間、
その場の空気が一変するのを感じた。

目の前に現れたのは、
これまでに戦ったことのないような人物だった。
その名は『荒木義人（あらきよしひと）』。

「荒木義人……」

その名前を蓮は心の中で繰り返した。
荒木は、闇の闘技場でもその名を轟かせる強者であり、
その実力は並外れていた。

「お前が、次の試練か」

荒木はその言葉と共に、
蓮に向かって冷徹な目で見つめた。

「お前、覚悟はできているのか？」

その目は、まるで相手の全てを見透かしているかのようだった。

「俺は、覚悟はできている。
　お前を倒すためにここに来た」

その言葉に荒木は少しだけ微笑んだが、
その微笑みには、どこか冷たいものが込められていた。

⸻

「試合開始！」

アナウンスが響き渡り、
その瞬間、蓮は自分の全てをリングにぶつける覚悟を決めた。

荒木は、静かな動きで蓮に接近してきた。
そのスピードは、どんな戦士よりも速く、
蓮はその一撃を避けることすらできなかった。

「――っ！」

荒木の拳が蓮の顔を捉え、
その衝撃で蓮は後ろに倒れ込んだ。
だが、すぐに立ち上がり、
荒木に向かって冷静に反撃を始めた。

⸻

「やるじゃないか」

荒木はその言葉を吐きながら、
蓮の動きを見つめていた。

「だが、俺のスピードについてこれるか？」

その言葉と同時に、
荒木は蓮に向かって再び拳を放った。
その拳はまるで嵐のように速く、
蓮はそれをかわすことができなかった。

「――っ！」

その一撃が蓮の体を直撃し、
その衝撃で再び倒れそうになる。
だが、蓮はその場で必死に耐え、
再度立ち上がった。

「くっ！」

その痛みを感じながらも、
蓮は自分の力を信じ、
再度立ち向かう覚悟を決めた。

⸻

「どうした？もう終わりか？」

荒木は冷徹な目で蓮を見つめ、その後の一撃を放ってきた。
だが、その瞬間、
蓮の目に光が宿った。

（これが、最後の試練だ）

その決意を胸に、
蓮はその一撃をかわし、
ついに荒木の隙を突いて反撃を放つ。

「――っ！」

その拳が荒木の胸を捉えた瞬間、
蓮はこれまでのすべての力を振り絞り、
その一撃を放った。

荒木はその衝撃に驚き、
その場で後退するが、
ついにその姿勢が崩れた。

「――勝った」

蓮はその言葉を呟き、
息を整えながら、
倒れた荒木を見下ろした。

⸻

リングの周囲からは、
再び大きな歓声が上がり、
蓮の勝利を祝う声が響いた。

その瞬間、
蓮は自分の成長を感じるとともに、
次に待っている試練を意識した。