【誰も知らない拳で、世界をひっくり返す――最底辺高校生、無双ランクアップ物語】

第6章「日本一の試練」

第8話「試練の先に」

蓮は静かな控室で、次の試合に向けて準備をしていた。
最近の戦いで得た経験は確かに蓮を強くしたが、それでも次の試練には不安が残る。
だが、どんな試練でも乗り越えてきた蓮は、もう一度自分に言い聞かせるように言った。

「次も、絶対に負けない」

その言葉が、蓮の心を強くし、試合への覚悟を深める。

⸻

数日後、
試合が行われる闇のアリーナには、再び全国各地から集まった強者たちと観客たちが集まり、
その会場は熱気に包まれていた。

「次の試合、
　神崎蓮と対戦するのは、『桐島陽斗（きりしまようと）』！」

その声がアナウンスで響くと、会場は一瞬で静まり、
そして次の瞬間、数千人の観客が一斉に歓声を上げた。
桐島陽斗――その名前は、闇の闘技場で名を馳せた若き戦士の名前だ。
桐島の戦いは、非常に速く、鋭く、相手の隙間をつく戦術が光る。

「桐島陽斗か…」

蓮はその名前を心の中で反芻しながら、
自分の立ち位置と次の試合がどれほどのものかを感じ取った。
これまでとは違う、まさに試練の本番が待っている。

⸻

試合開始の合図が鳴り響き、
蓮と桐島はついに対峙する。
リング上で桐島は静かに立ち、
その目は冷静であり、どこか蓮を試すような眼差しを向けている。

「蓮、お前の実力は知っている。
　だが、この試合はお前の限界を超えた戦いだ」

桐島のその言葉に、蓮は少しだけ眉をひそめたが、
すぐに冷静に答える。

「俺も負けるつもりはない」

その言葉が響いた瞬間、
桐島は一気に蓮に向かって突進してきた。
その速さと力に、蓮は一瞬反応が遅れたが、
すぐにその動きを読む。

⸻

「――っ！」

桐島の拳が蓮の顔面をかすめ、
その攻撃を避けるために蓮は素早く後退した。
桐島の動きは速く、
その攻撃はまるで幻のように現れ、蓮を追い詰めていく。

「こいつ、速すぎる」

蓮はその一撃をかわしながら、
桐島の動きに合わせて反撃を試みる。
だが、桐島はそれを予測しているかのように、
すでに次の一手を仕掛けてきた。

「遅い」

その一言が蓮の耳に響いた瞬間、
桐島は次の攻撃を放つ。
その速度に、蓮は思わずその攻撃を見逃すところだったが、
ギリギリでかわし、反撃の隙を見つける。

「くっ！」

その攻撃が不意を突かれて入ると、
桐島はその衝撃に一瞬よろめき、
蓮はすかさず追撃を繰り出した。

⸻

「――っ！」

その瞬間、蓮は全力で桐島に向かって突進し、
その拳を放つ。
だが、桐島はその攻撃を素早くかわし、
蓮の隙間を突くように反撃を放ってきた。

「こいつ…！」

蓮はその攻撃をかわしながら、
桐島の反撃に対応する。
その動きがあまりにも速すぎて、
蓮は反応が追いつかない。

その瞬間、
桐島の足が蓮の足元を取って、
蓮は一瞬後ろに倒れそうになった。

「くっ…」

その時、蓮は桐島の意図を読み取る。
桐島は、ただの力比べではなく、
相手の心と動きまで読みながら戦っていた。

「――なら、俺も負けない」

その言葉と共に、
蓮は自分の意識を研ぎ澄まし、
桐島の動きに合わせて戦うことを決意した。

⸻

「――っ！」

その瞬間、蓮は桐島の隙を見逃さず、
全力で拳を放つ。
その攻撃が、桐島の顔面に直撃し、
桐島は少し後退するが、すぐに立ち直り、
蓮に向かって再び突進してきた。

「すごいな、蓮。
　だが、これで終わりだ」

桐島はその言葉と共に、
もう一度強烈な攻撃を放ってきた。
その攻撃は、蓮が予測していた通り、
全ての動きを無駄なく計算しているようだった。

⸻

「――っ！」

その瞬間、
蓮は桐島の攻撃をかわし、
次の隙間を見つけて、再び反撃の一撃を放った。

その拳が桐島の体に直撃し、
桐島はついにその場に膝をついた。

「――勝った」

蓮はその言葉を呟き、
倒れた桐島を見下ろす。
その瞬間、
観客席からは大きな歓声が上がり、
蓮の勝利を祝う声が響き渡った。

⸻

「すごいな、蓮」

黒岩の声が響き、
花岡も頷きながら言った。

「だが、これで終わりじゃない。
　次は本当の最後の試練が待っている」

その言葉に蓮は静かに頷いた。

「分かっている。
　次も、必ず勝つ」

その決意が、
蓮の目に宿っていた。