9 / 13
9.
しおりを挟む二人掛けのソファに純希を座らせて自分は膝を抱えて斜め前に座る。履いているモコモコの靴下が視界に入って、自分が思いっきり部屋着だったことに気づいたが後の祭りだ。急にくる方が圧倒的に悪い。
コートを脱いだ純希は当然私服だった。モノトーンでスタイルもいいからいつもかっこいい。……じゃなくて!
「……もうムーバーイーツ使えない」
「ごめん」
配達員の顔も見えなかったけど、明らかに引いていた。他人のキスシーンなんて見せてしまって申し訳ない。
素直にもう一度謝った純希を膝から上目遣いで見つめ、俺はぼそぼそと喋った。
「純希さ、横田さんと付き合ってるんだって?」
「え?」
「本命ができたならセフレも切るべきだろ。少なくとも俺は嫌だ」
「付き合ってない! 本命は紗夜だし」
「は?」
俺が終わりにしようと思った理由を告げると、純希から思いもよらぬ返事があった。
付き合ってなかったのか。よかったー……?
「んん??」
「明日で出会って一年だから、ちゃんと付き合おうって言うつもりだったのに……昨日、めちゃくちゃショックでした」
出会って一年て、何!? そういえばそうなのか……? 確かに年末だったけれども。
「……え、俺のこと好きなの!?」
「大好きです。ずっと。出会ったときから」
理解が後から追いついてくる。ぽかん、と丸く口を開けていると、純希は不貞腐れた表情で告白した。
なんだそれ。一年もセフレ続けておいて、両想いだったってこと??
俺は間抜けた表情のまま、「俺も」と言った。
「『俺も』?」
「純希のこと、好き……」
ついに言ってしまった。というかこのタイミングで言えなかったら一生告白なんてできないと思う。
それくらい想いを口にするのは恥ずかしくて、耳が熱くなった。
「えっ、まじ??? だっていつも、他にも男がいるみたいな素振りだった」
「遊び人のふりしてないと、捨てられると思って……」
「実際はおれだけだった?」
純希のことはちゃんと騙せていたらしい。俺の演技力はそろそろ評価されてもいいと思う。助演男優賞あたり、どうでしょう。
期待のこもった目で見つめられて、キラキラした感じは大型犬みたいだ。
ずっと引かれると思ってた。三十にもなって初めてだったなんて。
「お前しかいないよ。後にも、先にも」
「えええ!? そそそそれって……あの日が、初めてだったってこと……?」
「……そうだよ」
もう首まで真っ赤に違いない。初体験だったと教える必要はなかったかもしれないが、なんとなく、純希は喜んでくれる気がしたのだ。
だが事実を知った純希は「あああああ!」と叫んで顔を覆ってしまった。
「え、ど、どした……?」
「紗夜、おれたち付き合おう。ぜっっったいに、大事にするから!」
思わず純希の方へ膝で近づいていき顔を覗き込むと、ぎゅっと手を掴まれた。真っ直ぐな言葉と視線に照れて、目をうろうろと彷徨わせてしまう。
両想いならもちろん付き合いたい。夢みたいだ……と思いながら小さく頷くと、ガバッと抱きつかれた。
「うわ~~っ、嬉しい! 紗夜はおれのもの! もう架空の相手に嫉妬しないで済むんだ……!」
「何を心配してたのか分からないけど、俺、全くモテないぞ?」
ぎゅうぎゅう抱きしめられながら、純希って独占欲とかあるタイプだったのか……と不思議に思う。相手が横田さんとか可愛いタイプだったらまだしも、俺だぞ?
しかし純希は同意してくれないらしい。俺の顔を間近で見つめて、「はぁぁ~~っ」と深いため息をつく。
202
あなたにおすすめの小説
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話
あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」
トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。
お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。
攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。
兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。
攻め:水瀬真広
受け:神崎彼方
⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。
途中でモブおじが出てきます。
義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。
初投稿です。
初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
不倫の片棒を担がせるなんてあり得ないだろ
雨宮里玖
BL
イケメン常務×平凡リーマン
《あらすじ》
恋人の日夏と福岡で仲睦まじく過ごしていた空木。日夏が東京本社に戻ることになり「一緒に東京で暮らそう」という誘いを望んでいたのに、日夏から「お前とはもう会わない。俺には東京に妻子がいる」とまさかの言葉。自分の存在が恋人ではなくただの期間限定の不倫相手だったとわかり、空木は激怒する——。
秋元秀一郎(30)商社常務。
空木(26)看護師
日夏(30)商社係長。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる