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二人掛けのソファに純希を座らせて自分は膝を抱えて斜め前に座る。履いているモコモコの靴下が視界に入って、自分が思いっきり部屋着だったことに気づいたが後の祭りだ。急にくる方が圧倒的に悪い。
コートを脱いだ純希は当然私服だった。モノトーンでスタイルもいいからいつもかっこいい。……じゃなくて!
「……もうムーバーイーツ使えない」
「ごめん」
配達員の顔も見えなかったけど、明らかに引いていた。他人のキスシーンなんて見せてしまって申し訳ない。
素直にもう一度謝った純希を膝から上目遣いで見つめ、俺はぼそぼそと喋った。
「純希さ、横田さんと付き合ってるんだって?」
「え?」
「本命ができたならセフレも切るべきだろ。少なくとも俺は嫌だ」
「付き合ってない! 本命は紗夜だし」
「は?」
俺が終わりにしようと思った理由を告げると、純希から思いもよらぬ返事があった。
付き合ってなかったのか。よかったー……?
「んん??」
「明日で出会って一年だから、ちゃんと付き合おうって言うつもりだったのに……昨日、めちゃくちゃショックでした」
出会って一年て、何!? そういえばそうなのか……? 確かに年末だったけれども。
「……え、俺のこと好きなの!?」
「大好きです。ずっと。出会ったときから」
理解が後から追いついてくる。ぽかん、と丸く口を開けていると、純希は不貞腐れた表情で告白した。
なんだそれ。一年もセフレ続けておいて、両想いだったってこと??
俺は間抜けた表情のまま、「俺も」と言った。
「『俺も』?」
「純希のこと、好き……」
ついに言ってしまった。というかこのタイミングで言えなかったら一生告白なんてできないと思う。
それくらい想いを口にするのは恥ずかしくて、耳が熱くなった。
「えっ、まじ??? だっていつも、他にも男がいるみたいな素振りだった」
「遊び人のふりしてないと、捨てられると思って……」
「実際はおれだけだった?」
純希のことはちゃんと騙せていたらしい。俺の演技力はそろそろ評価されてもいいと思う。助演男優賞あたり、どうでしょう。
期待のこもった目で見つめられて、キラキラした感じは大型犬みたいだ。
ずっと引かれると思ってた。三十にもなって初めてだったなんて。
「お前しかいないよ。後にも、先にも」
「えええ!? そそそそれって……あの日が、初めてだったってこと……?」
「……そうだよ」
もう首まで真っ赤に違いない。初体験だったと教える必要はなかったかもしれないが、なんとなく、純希は喜んでくれる気がしたのだ。
だが事実を知った純希は「あああああ!」と叫んで顔を覆ってしまった。
「え、ど、どした……?」
「紗夜、おれたち付き合おう。ぜっっったいに、大事にするから!」
思わず純希の方へ膝で近づいていき顔を覗き込むと、ぎゅっと手を掴まれた。真っ直ぐな言葉と視線に照れて、目をうろうろと彷徨わせてしまう。
両想いならもちろん付き合いたい。夢みたいだ……と思いながら小さく頷くと、ガバッと抱きつかれた。
「うわ~~っ、嬉しい! 紗夜はおれのもの! もう架空の相手に嫉妬しないで済むんだ……!」
「何を心配してたのか分からないけど、俺、全くモテないぞ?」
ぎゅうぎゅう抱きしめられながら、純希って独占欲とかあるタイプだったのか……と不思議に思う。相手が横田さんとか可愛いタイプだったらまだしも、俺だぞ?
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