学校一のイケメンとひとつ屋根の下

おもちDX

文字の大きさ
21 / 60

21.雨上がり


『心ここにあらず』を体現している瑞は、しばらく桔都を避けてしまっている。といっても少し前の桔都みたいにあからさまではなく、自分から誘うことはしないだけだ。
 元々桔都から誘ってくることもなかったので――その隙もないくらい瑞が誘っていたとも言う――二人で過ごす時間は相対的に減った。

 通常授業が始まると気を引き締めさせるかのごとく宿題も多く、模試の対策なんかもあって自室に籠もる時間が増えた。とはいえ机に向かっても、すぐにぼんやりと考え事をしてしまうため捗っていない。

 学校で桔都と佐倉が一緒にいる姿は見ていないものの、元々桔都とはクラスが離れていて接点がないからよくわからない。

 桔都の帰りが遅くなると「佐倉さんを家まで送り届けてたのかな」と考えてしまうし、休日に桔都がお洒落して出かけていくと「デートかな」と思ってしまう。
 もちろんそのお出かけに瑞のあげたスパイダーマンTシャツは着ていかない。学校での桔都に相応しい、本気お洒落男子のスタイルだ。

「はぁ~~~っ……」

 ため息ばかり吐いてしまう。どうしてこんなに気分が浮かないのだろう。五月病ならぬ、九月病ってやつ?

 秀治は無事告白に成功したらしく、同じクラスの女子と付き合い始めた。周囲には隠していて、一緒に昼飯を食べたりとか教室内で仲の良さを見せつけることはない。
 そういうところが、なんか大人っぽくて癪に障る。応援しているはずなのに、桔都もそうしているのかなって考えてしまうから。

 土曜日である今日も、桔都は昼から出かけて行った。朝ごはんのときに「友だちとボウリング行ってくる」と言っていたけど、「彼女となんじゃないの?」と瑞は内心邪推している。
 我ながら性格が悪い。

「瑞ぃ?」
「はーい」

 ノックの音が聞こえ、全く進まない勉強のノートから顔を上げて振り向くと母だった。というか丞さんも休日出勤で家におらず、母以外あり得ない。

「ぶどう食べない? シャインマスカット、丞さんのふるさと納税で届いたの」
「やったー! 食べる!」

 ダイニングで向かい合ってぶどうを食べながら、久しぶりに母と二人でお喋りする。なんだか再婚前に戻ったような雰囲気に、心が落ち着いていく感じがした。

「なんだか最近寂しいわ。丞さんは仕事が忙しいみたいだし、桔都だけじゃなく瑞もリビングに出てこなくなっちゃって」
「ごめん……なんか学校始まったら、落ち着かなくて」

 瑞も寂しかったけど、母も別の意味で寂しさを感じていたようだ。丞さんは最近帰ってくる時間が遅く、朝も早めに家を出たりしてあまり話す時間がなくなってしまった。
 わかっている。丞さんは家族旅行のために夏休みを長期間取ったせいで、今忙しくなっているのだと。

「やあね、大丈夫よ? 丞さんって全然怒らないし、時間のあるときはラブラブなんだから」
「うん……」

 瑞の不安げに揺れる瞳に気づいた母が、安心させるように手の甲を叩いてくる。すぐ怒りすぐに手を上げるかつての父と丞さんは全く違うとわかっていても、たまに不安が出てきてしまうのだった。
感想 73

あなたにおすすめの小説

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

殿堂入りした愛なのに

たっぷりチョコ
BL
全寮の中高一貫校に通う、鈴村駆(すずむらかける) 今日からはれて高等部に進学する。 入学式最中、眠い目をこすりながら壇上に上がる特待生を見るなり衝撃が走る。 一生想い続ける。自分に誓った小学校の頃の初恋が今、目の前にーーー。 両片思いの一途すぎる話。BLです。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

僕の恋人は、超イケメン!!

八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?

小石の恋

キザキ ケイ
BL
やや無口で平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。 助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。 なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。 果たして律紀は逃げ切ることができるのか。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

そばにいられるだけで十分だから僕の気持ちに気付かないでいて

千環
BL
大学生の先輩×後輩。両片想い。 本編完結済みで、番外編をのんびり更新します。