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「冷たい人だと思ったら温かくて、怖い人だと思ったら優しくて……。いい匂いがするのは番だからかもしれないけど、あなたの傍で安心できるのは、僕があなたを信頼しているからです」
「……ミエル、」
「クラージュ様が僕の夫でよかった。僕の番でよかった。貧乏貴族の守銭奴オメガですけど、これからも……ケホッ、よろしくお願いしますね?」
「~~~もう喋りすぎだ! 水を飲め!」
耳まで真っ赤にしたクラージュがストローをミエルの口に突っ込んでくる。ありがたくちゅ~っと吸って喉を潤すと、少し痛んでいた喉が癒されていく。
照れているのか片手で顔の半分を覆ったクラージュをおもしろいなあと見つめていると、彼は咳払いをして話し始めた。
「俺はあんな条件を出したのに、こんなに小さくてか弱そうな妻が来るなんて思っていなかった。だから、その……当初の態度が悪くてすまなかった」
「全然会ってくれませんでしたものねえ。ま、僕にとっても都合がよかったんですけど」
ミエルはこの砦へ来た直後にクラージュが怒っていたことを思い出した。か弱そうと言われてちょっと口元が緩む。我ながら、貴族のオメガらしさからはかけ離れている自信がある。
謝らなくていいのに、正直に告げるクラージュは素直な人だ。
「だからまさか質素な生活のままこっそり働くとは思わなかったな。あちこち動いているお前から、気づけば目が離せなくなっていた。心配……とも違うな。好きに生活してほしいと思うが、その生活は俺が守りたい……というか」
「……あ、あの」
クラージュが懸命に言葉を探して、ミエルに伝えようとしていることはわかっている。もしかして同じ気持ちなのかな、と期待しているくらい。
だが突然――耐えがたい熱がぶわっと身の内に灯り、ミエルはそれどころじゃなくなった。ぞくぞくと肌が粟立ち、体の反応が発情期の始まりを告げる。
「ミエルには俺の傍で幸せに、健康でいてほしい。食べ物を捨てるのがもったいないとか咄嗟に考えたんだろうが、毒を自ら食べるなんて二度としないでくれ……」
「クラージュさまっ」
話を遮って、両手でクラージュの顔を挟んだ。間近で目が合うと、ようやくミエルの様子に気づいたのかペールブルーの瞳が丸くなる。
「……今か?」
「今、来ました。ちゃちゃっと……」
「ちゃちゃっとパッとなんて断る。俺は、お前を、隅から隅まで……愛し尽くしたい」
「んむぅっ」
クラージュの負担にならないようサクッと終わらせてもらうつもりだったのに、断られてしまった。
ミエルが頬に手を添えた状態のまま、顔が近づいてきて唇が重なる。舌を絡ませ合うのが気持ちよくって、頭の中で水音が響くのも感情の昂りを煽っていく。
いつの間にかクラージュの両手はミエルの肩に回り、シーツに押し倒されていた。押し潰されているわけでもないけど、クラージュの体は重く、ミエルに負けず劣らず熱いのがわかる。
早くひとつになりたい。着ているものを脱がされながら、競うようにしてミエルもクラージュの服を引っ張った。
しかし当然というか、ミエルの手が追い付かない間にクラージュの手がミエルの素肌を撫でる。
「あ!」
平たい胸を大きな手がなぞり、胸の尖りを掠めただけで大きな声が出てしまった。
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