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一章_出会い
第一話
「父上、どうして私には目を合わせて下さらないのですか。……私の事がお嫌いなのですか?」
突然知らない場所にいた俺は慌てるのではなく、ただじっと視界に移る少年を見ていた。
目線の先には不安気に父上を見つめる少年がいる。
その少年が父と呼ぶ男の目には少年は写っておらず言葉も返さない。
少し間をあけた後男は何も言わず、目も合わせず立ち尽くす少年を置いて歩き出した。
_あぁ、俺はこの子を知っている。
「っ……!ちちうえ……。 私はやはり__皆が言う通り要らぬ子なのですね。」
静かに泣く少年。
その少年の顔は見ていられないものであり俺は手を伸ばし頭を撫でてやりたかった。
無理だと分かっていてもこの不憫で可哀想な君に一言だけ言ってあげたかった。
君の父は君を視界に入れ言葉を交わすのが嫌なほど君を嫌っているのではなく、病気で話せないだけなのだと、最愛の息子である君に心配させたくないだけだと。
瞬間、強い風が吹き無意識に目を閉じていた俺が次に目を開けると先程とは違う場面に変わっていた。
目の前にはまた立ちつくす少年。
賑やかな扉の中を覗く少年の目に映ったのは養子として家に迎え入れられた少年の義弟ヴィンセントだった。
黒髪の少年は楽しそうに少年の母と話していた。
そして、父も黒髪の彼に優しく微笑んでおり長らく見ていなかった笑顔だった。
「父上……どうしてなのですか__」
小さく呟く少年を前に母親が彼を呼び新しく私たちの家族になる義弟だと微笑みながら少年に言った。
父の顔を見ると先程の顔とは打って変わり、いつも通りの無表情に戻っていた。
グッと拳に力が入る少年。
その少年を前に恥ずかしそうに自己紹介をする黒髪の少年がよろしく、と手を伸ばす。
俺はその光景を見て必死に手を伸ばす。
それだけは駄目だ、やっちゃいけないんだ。そう声を上げて言うが少年には届かない。
_赤い目など忌々しい。
_お前とは仲良くする気がない。
_私に近づくなっ!
そう言って走り去っていく。
知っている筈なのに何も出来ない。
それは無常なもので何も出来ないのならこんな景色は見たくなかった。
目を閉じるとまた変わっている光景。
それは残酷なものであり見てはいられぬものばかり。
少年がヴィンセントを虐める場面。
ヴィンセントを無理矢理犯す瞬間。
両親に蔑まれ物陰で泣く少年の姿。
そんな光景が幾度となく流れ俺の目からは涙が止まらなかった。
どうにかして助けてあげたい。もう彼の傷つく姿は見たくはない。
けれどそんな願いは最後は呆気なく。
王となったヴィンセントに無惨に殺される少年の最後。
最後の最後まで救われる事のなかった少年。
きっと彼は人から愛を欲しかっただけなのに。
何度も声を上げた。
もうやめよう……このままでは本当に君の周りに君を愛してくれる人がいなくなってしまう。
けれども手は届かない。
所詮は俺の”夢”なのだから。
一番に愛を望んだ筈なのに誰にも愛される事はなかった少年”セドリア”。
すまない。
__【王国恋情】にでてくる哀しき悪役。
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