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1話
しおりを挟む少女は走り続けた。
薄暗く、夜の不気味さを帯びたアスファルトではない野原道を……
あたりには何もない。ビルも、コンビニも、人の住む家も、ただ草が生えただけのなんも変哲もない夜の野原道を少女は走り続けた。
途中、何度も足をもつれそうになり、足の裏の豆がつぶれて足を踏むたびに激痛を感じるときもある。体内の酸素がそこをつき、肺が悲鳴を上げる苦痛も何度か味わいながらも少女は走り続けた。
「いたぞ!!」
「こっちだ!!」
二人の男の荒々しい声が聞こえた。
少女は男達に追われていたのだ。
少女は男達の声に気ずくと顔を青ざめた。
そして、少女は男たちから逃げるようにさらに走ろうとする。
しかし、長時間の逃亡のために少女の体力は限界にきていた。
走足に限界を悟った少女は身を隠すしかないと辺りを見渡した。すると、何メートルか先に見渡す限りの竹やぶがあることに気がついた。
少女は重い足取りでわが身を隠そうと深い竹やぶの入口に身を沈めていった。
竹やぶの中は道らしき道は無く、途中地面から突出した竹の根っこに何度と足を掛けそうになりながらも、少女は竹と竹の隙間を身を縮めながらさらに奥へと進んでいった。
しばらく歩くと少女は一軒の小屋に行き当たった。
トタン屋根を石の重みで押さえつけて、その周りに板をただ貼り合わせただけの粗末なつくりのぼろ小屋である。
風と雨をしのぐこといがいに機能を持ってなさそうだ。
なんで、こんな竹やぶの奥に小屋があるのか?
少女は不思議に思ったが今はそれどころではない。なぜなら、自分はあの男達に追われている真っ最中なのだから。もし、やつらに見つかったらどんな目にあわされるか。
「見つけたぞ!!」
と不意に男の声が聞こえた。
少女が後ろを振り向くと、目の前に三人の男がそれぞれ鉄パイプ、木製バット、角材を手にして立っていた。
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