出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ

文字の大きさ
21 / 61

021:仕事の申し出

しおりを挟む
 深夜に色々と思いを馳せ、と同時に栄養ドリンクや簡易結界石を作成した翌朝。さっそく店にアイテムを並べていく。そこにゲーネッツとカイトと妙齢の女性のパーティ『ウィンド』がやってきた。ゲーネッツがさっそくアイテムを手に取りカウンターへ。

「よぉ。ジン。これの会計頼むわ」

 俺はさっそく会計を済ます。すると妙齢の女性が言った。

「あら、ずいぶんと安いわね?」

 俺は頷き答える。

「生産地特価です。栄養ドリンクや一部ポーション。簡易結界。虫除け軟膏なんかが安くなっています」
「へぇ。それは良いわね」
「その代わり、火や水。風の魔石などの各種属性素材なんかが必要なアイテムは高くなります」
「あらら」

 そう言って女性がカイトへ視線を向けた。カイトが視線を受けて話し始めた。

「属性素材か……」
「はい。どうしても手に入り難いので。すみません」
「そういえば魔石や各種素材の買い取りはしているのか?」
「しています。物によっては冒険者ギルドより高く買い取りますよ?」
「ほぉ。例えばどういった物を?」
「魔石系だとゴブリンの魔石なんかですね。他にもオークやオーガと言った人型の魔物が主でしょうか。素材系だとグリーンキャタピラーの粘糸の素ですね。逆に毛皮系は冒険者ギルドの方に持っていったほうがいいですよ」

 それを聞いた女性が首を傾げた。黒くて短い髪が揺れる。

「それはどうして?」
「毛革はどちらかというと防具になるので。錬金術師より防具屋に持っていく素材ですから。まぁ俺も防具は作れはしますが本職にはやはりどうしても劣ります。まぁ錬金素材として錬金加工する場合は別ですが」
「ふぅん。色々あるのね」

 俺は「はい」と頷く。そんな会話を交わしていると、そこにエステラが侍女のミナを連れてやって来た。

「おはよう。ジン」
「おはよう。エステラ」
「お客様?」
「うん」
「ふぅん。そう。後ででいいんだけど話があるの。良い?」
「分かった」

 そう言ってエステラはカイト達に頭を下げて帰っていった。ゲーネッツが険しい顔をして言った。

「おいおい。今の別嬪さんは誰だよ?」

 俺は苦笑いを浮かべて答える。

「元カノだよ」
「元カノ……王都で付き合っていたとか言っていた?」
「うん」
「なんでここに居るんだよ!」
「ちょっと訳ありでね」
「くっそぉ。マジか。あんな美人と付き合っていたのかよ!」
「まぁ、ね」

 するとカイトがゲーネッツの頭を叩いた。

「落ち着け!」
「落ち着いていられるかよ! 今すぐ王都に行くぞ!」
「行くか。バカ!」
「くっそぉ。いいなぁ。俺もあんな綺麗な恋人が欲しいぜ!」

 もしゲーネッツに、彼女が訪ねてきた理由を話したら、なんて言うだろうと少し困ったが、まぁいいや。その時はその時だと開き直る。ゲーネッツが話しを続ける。

「後で話を聞かせろよ? 宿の食堂で待ってるからな!」

 そう言ってカイトと女性を連れて去っていった。

 ゲーネッツたちが去り、その後、何組か冒険者の客が来た後で少し暇になった頃。時刻は昼間。昼食を持ってエステラとミナがやってきた。

「ジン? 昼食を持ってきたの。食べながらでいいから話を聞いてほしいんだけど?」
「あぁ。うん。分かった」
「うん」

 そう言って彼女が話した内容。それは……

「私を従業員として雇って欲しいの」
「店の?」
「そう。手伝わせて」
「そりゃ俺としては有り難いけど……いいの?」
「うん。暇だしね。家事はミナが居るし。給料は生活費ってことで」

 俺としてはありがたい申し出だ。なので了承することにした。これで創作に全力を尽くせる。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...