出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ

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032:料理をしよう

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 さて。予想通り昼のだいぶ前にサリナちゃんがやってきた。

「あの、料理……」
「うん。作ろう。来ると思って準備はしておいたんだ」

 そう言って準備した材料を見せる。

「こんなに?」

 そこには白インゲン豆にソーセージ。鴨肉を塩漬けした保存食。秋に潰した豚肉にトマト、オニオン。ニンジンにブーケガルニ(香辛料や香味野菜を束ねた複数のハーブのこと。肉や魚の臭みを消すために使う)。イモにベーコンチーズといった様々な材料が並んでいる。

「うん。とりあえず2種類作ろうかなって。まずは時間のかかる方から。王都から南西部に行った地方で食べられている料理だよ」

 俺が、そう言って準備をしていると、エステラと侍女のミナさんがやってきた。料理の材料を見てミナさんが納得顔。エステラは分からないらしい。まぁ当然か。

 ミナさんが控えめに発言。

「カスレですね」

 俺は頷く。エステラが疑問顔だ。

「カスレ?」
「そう。料理の名前。まぁ要するに白インゲン豆の煮込み料理だね」

 エステラとサリナちゃんが頷く。

 さて、じゃあさっそく料理を作ろうか!

 とは言っても材料(白インゲン豆にソーセージ。鴨肉を塩漬けした保存食。秋に潰した豚肉にトマト、オニオン。ニンジンにブーケガルニ)を、ぶち込んで長時間、煮込んでオーブンで最後に焼き色が付くまで焼くだけ。

 白インゲン豆が全ての具材のうまみと脂を吸って柔らかくなって非常に美味しい料理だ。

 さて。煮込んでいる間に、もう一種類。材料は塩茹でしたイモと炒めたべーコンにオニオン、ニンニク、塩。チーズだけ。やはりミナさんが料理名を知っていた。

「タルティフレットですね」
「うん。王都から見て東の地方の料理だ」

 するとミナさんが「ジンさんは各地の郷土料理に詳しいんですか?」と尋ねてきた。俺は答える。

「詳しいと言うほどでは。ただ賢者の学び舎には各地から人が集まってきますからね。そこで皆で時々、色々と食材を持ち寄って郷土料理を食べて英気を養うんです」
「へぇ」
「今回は、その中でも食べごたえのあるやつを選んでみました」

 そう言って料理を皆で作っていくのだった。

 かなりの量があるので、後で村の皆に配って周ろうと思う。
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