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040:追われる二人
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時刻は昼過ぎ。魔導書の魔法のイカレ具合が分かったところで、もう帰ろうかということになった。
そこに遠くの方から男性の声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。
「おぉい」
呼ばれて振り向けば、森の奥。反対側の斜面を駆け下りて来るカイトとアヤさんがいた。ゲーネッツが首を傾げている。
「おっ、何だ? あいつら今日は森の調査に向かったはずだが……」
どうやらここには居ないはずの人間が、こちらに向かってくる様子を訝しんでいるようだ。ゲーネッツが手を振った。
「おぉい。こっちだこっち」
するとカイトとアヤさんが駆け足でこちらへ向かってくる。斜面を駆け下りて今度はこちら側の斜面を登り始めた。何か叫んでいる。
「って、後ろ!」
俺は二人の後ろの光景に目を奪われた。ゴブリンの群れだ。かなりの数がいる。10や20ではきかない数。
「あぁ。ゴブリンの群れに追われてやがる。ちっ。拙いな」
俺が完全に足手まといだ。本来なら。
「一掃する?」
俺が魔導書を広げる。
「あぁ、そっか。魔導書があったな」
そこに逃げているカイトさんの声が聞こえた。
「ゴブリンだ! 追われている」
うん。知ってる。そんな二人が斜面を駆け上がり終えた所で息も絶え絶えだ。そんなカイトさんが言った。
「はぁはぁはぁ。さっきこの方角から火柱が見えた。強力な魔法使いが居るかと思って来たんだが……何処だ?」
キョロキョロと辺りを見回すカイトさん。アヤさんは膝に両手を当てて息を整えているところだ。ゲーネッツが状況を理解した。俺を見る。
「ファイアトルネードは……点での攻撃か。広範囲ならアイシクルエッジか? それともアースクエイクだな。一掃してくれ!」
「了解!」
開いていた魔導書のページをめくる。使う魔法はアイシクルエッジにしよう。俺は魔法の発動キーを詠唱する。
『氷の刃よ。鋭く尖りて周辺の敵を穿て! アイシクルエッジ!』
するとちょうど谷間に居たゴブリンたちの多くが氷の針で串刺しになった。カイトさんとアヤさんが、その光景に絶句する。
「な……」
「嘘……」
ゲーネッツがウンウンと頷く。
「よし。これで終わりだな。あとは残りの雑魚を蹴散らして終わりだ」
そう言ったところで無数の氷の刃が弾け飛んだ。氷の破片が宙を舞う。ゲーネッツが叫ぶ。
「なんだ!」
するとそこには、一振りの大きな剣を持った一際大きなゴブリンが立っていた。俺が首を傾げる。
「ゴブリン?」
ゲーネッツが叫ぶ。
「いや。あれは、ゴブリンキングだ!」
カイトさんが納得した様子で頷いた。
「通りでゴブリンが大量に湧いていたわけだ」
俺が、ちょっと場違いな感想を述べる。
「剣を持ってる……」
ゲーネッツがそれに答える。
「おそらくダンジョン産だ。どうやら森の奥にダンジョンが出来ていて、そこから吐き出されたんだろう。要調査だな」
カイトさんが苦笑い。
「生きて……帰れたらな」
俺たちに逃げ場はない。逃げるという選択肢もない。
俺とゲーネッツは森の比較的に浅い層で狩りをしていたんだ。つまり後ろには村がある。俺たちが逃げれば、そこが標的になる。それは出来ないのだ。
そこに遠くの方から男性の声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。
「おぉい」
呼ばれて振り向けば、森の奥。反対側の斜面を駆け下りて来るカイトとアヤさんがいた。ゲーネッツが首を傾げている。
「おっ、何だ? あいつら今日は森の調査に向かったはずだが……」
どうやらここには居ないはずの人間が、こちらに向かってくる様子を訝しんでいるようだ。ゲーネッツが手を振った。
「おぉい。こっちだこっち」
するとカイトとアヤさんが駆け足でこちらへ向かってくる。斜面を駆け下りて今度はこちら側の斜面を登り始めた。何か叫んでいる。
「って、後ろ!」
俺は二人の後ろの光景に目を奪われた。ゴブリンの群れだ。かなりの数がいる。10や20ではきかない数。
「あぁ。ゴブリンの群れに追われてやがる。ちっ。拙いな」
俺が完全に足手まといだ。本来なら。
「一掃する?」
俺が魔導書を広げる。
「あぁ、そっか。魔導書があったな」
そこに逃げているカイトさんの声が聞こえた。
「ゴブリンだ! 追われている」
うん。知ってる。そんな二人が斜面を駆け上がり終えた所で息も絶え絶えだ。そんなカイトさんが言った。
「はぁはぁはぁ。さっきこの方角から火柱が見えた。強力な魔法使いが居るかと思って来たんだが……何処だ?」
キョロキョロと辺りを見回すカイトさん。アヤさんは膝に両手を当てて息を整えているところだ。ゲーネッツが状況を理解した。俺を見る。
「ファイアトルネードは……点での攻撃か。広範囲ならアイシクルエッジか? それともアースクエイクだな。一掃してくれ!」
「了解!」
開いていた魔導書のページをめくる。使う魔法はアイシクルエッジにしよう。俺は魔法の発動キーを詠唱する。
『氷の刃よ。鋭く尖りて周辺の敵を穿て! アイシクルエッジ!』
するとちょうど谷間に居たゴブリンたちの多くが氷の針で串刺しになった。カイトさんとアヤさんが、その光景に絶句する。
「な……」
「嘘……」
ゲーネッツがウンウンと頷く。
「よし。これで終わりだな。あとは残りの雑魚を蹴散らして終わりだ」
そう言ったところで無数の氷の刃が弾け飛んだ。氷の破片が宙を舞う。ゲーネッツが叫ぶ。
「なんだ!」
するとそこには、一振りの大きな剣を持った一際大きなゴブリンが立っていた。俺が首を傾げる。
「ゴブリン?」
ゲーネッツが叫ぶ。
「いや。あれは、ゴブリンキングだ!」
カイトさんが納得した様子で頷いた。
「通りでゴブリンが大量に湧いていたわけだ」
俺が、ちょっと場違いな感想を述べる。
「剣を持ってる……」
ゲーネッツがそれに答える。
「おそらくダンジョン産だ。どうやら森の奥にダンジョンが出来ていて、そこから吐き出されたんだろう。要調査だな」
カイトさんが苦笑い。
「生きて……帰れたらな」
俺たちに逃げ場はない。逃げるという選択肢もない。
俺とゲーネッツは森の比較的に浅い層で狩りをしていたんだ。つまり後ろには村がある。俺たちが逃げれば、そこが標的になる。それは出来ないのだ。
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