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043:エステラとお話をしよう
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翌朝。
「だりぃ」
魔力をギリギリまで使った反動だ。ずるずるとベッドから起き上がり朝の支度をする。最近は天気に晴れ間が多くなった。春も近い。それでも、まだまだ朝晩は冷えるがな。
「飯……」
目眩がする。トボトボと階段を降りると、階下では侍女のミナがクルクルと働いていた。
「おはよー」
俺が挨拶をすると、ミナが顔を上げて挨拶を返してきた。
「おはようございます。ジン様。お顔の色が優れませんが大丈夫ですか?」
俺はテーブルの上に突っ伏す。
「腹減った……」
するとミナは「あらあら」と言って首を傾げた。俺は事情を説明する。
「魔力欠乏症だ。フラフラする」
「では摘み食いでもなさいますか?」
「すまん。頼む」
「チーズとパンがありますので、そちらで少し腹ごしらえなさって下さい」
「ありがと」
少しといいつつ、ガッツリと食べる。途中でエステラが起きてきて、呆れた様子で俺を見ていたが気にしない。
結局、そのまま朝食の時間へ突入。エステラも交えて食べる。食後のまったりした時間にエステラの父親とは現在どんな感じなのかを尋ねてみた。すると「迷っているみたい」と返事が。
「他に結婚相手に良さ気な感じの人がいれば、そっちを優先してくれるかも」
問題は、その相手がなかなか見つからないという感じか。
「それで。ジンの方はサリナちゃんとはどうなのよ?」
「進展はないよ」
「サリナちゃんの気持ちは知ってるんでしょ? なら……」
後は俺の方の気持ち次第だ。
「仕事が充実してるからなぁ」
「そんな事を言ってると誰かに盗られるわよ? 最近、彼女。綺麗になったって評判なんだから」
「まぁ、そうなんだが……」
家から出るようになって、その上に軽く化粧もするようになった彼女は綺麗になった。冒険者連中にも声をかけられているとか。
エステラがポツリポツリと呟く。
「恋かぁ。いいなぁ」
その辺に多少の自由があるのが平民の特権だからな。
「私も恋。するのかなぁ」
エステラの言葉に俺は何と答えたものか分からない。すると突然。
「もう! ジンが賢者の塔を止めなければ何の問題もなかったのに!」
おおう。エステラが怒り出したぞ。
「いや、まぁ。あの時は、それしか選択肢がないと思いこんでいたわけで……まさかこんな結果になるとは思わなかったんだ」
するとエステラ。
「ジンってバカよね。賢いけど、そういう点はバカだわ」
「そう、かもな……」
「話を戻すけどサリナちゃんとは、ちゃんとケジメを付けなさいよ!」
「う~ん」
「何が不満なのよ」
「結婚かぁ、と思ってさ」
多くの人間が当たり前のようにして、その道をたどる。
「子供を作って育てて……合間に仕事して。老いたら面倒を見てもらって死ぬ」
「当たり前じゃない。それがどうしたの?」
「ん。なんかさ。人生ってそう考えると短いなって……」
するとエステラが溜め息を吐いた。
「はぁ。言葉にすれば簡単だけど、実際にはそこには数々の苦労と喜びが詰まっているのよ! それとも何? まさか旅にでも出るの? 幸せを探す旅」
……旅かぁ。そういう感じでもないけどさ。
「なんかさ。それでいいのかなぁって思うわけよ」
「良いも悪いも無いの! サリナちゃんに不満があるなら私で妥協する? そうじゃないでしょ!」
「結婚ってなんだろうな?」
「家を守り継ぐこと!」
「いや。まぁ、そういう側面もあるけどさ。平民の俺達にとっては、それほど重要じゃないというか」
「何? ジンは一生を独りで生きて行くわけ?」
「……それもいいかなぁって。好きな仕事だけしてさ」
するとエステラが再び大きな溜め息を吐いた。
「はぁ……ねぇ?」
「ん?」
「なら私に子種をちょうだい!」
「いやいやいや。俺の話、聞いてた?」
「子供は私が育てる! ジンとの子供だもん! 大事に育てるから!」
「家の事情が絡むだろ? だから駄目。当主であるエステラのお父さん次第だからな」
「じゃあ、何! 私のお父様がジンとの間で、その辺のことを約束したら私と……その。してくれるっていうの?」
「貴族が平民と約束なんてしないだろ? しても守る義理も義務もないだろうし。だから駄目」
「もう! じゃあジンはどうしたいの!」
俺は……うぅん。どう、したいんだろうな。
「だりぃ」
魔力をギリギリまで使った反動だ。ずるずるとベッドから起き上がり朝の支度をする。最近は天気に晴れ間が多くなった。春も近い。それでも、まだまだ朝晩は冷えるがな。
「飯……」
目眩がする。トボトボと階段を降りると、階下では侍女のミナがクルクルと働いていた。
「おはよー」
俺が挨拶をすると、ミナが顔を上げて挨拶を返してきた。
「おはようございます。ジン様。お顔の色が優れませんが大丈夫ですか?」
俺はテーブルの上に突っ伏す。
「腹減った……」
するとミナは「あらあら」と言って首を傾げた。俺は事情を説明する。
「魔力欠乏症だ。フラフラする」
「では摘み食いでもなさいますか?」
「すまん。頼む」
「チーズとパンがありますので、そちらで少し腹ごしらえなさって下さい」
「ありがと」
少しといいつつ、ガッツリと食べる。途中でエステラが起きてきて、呆れた様子で俺を見ていたが気にしない。
結局、そのまま朝食の時間へ突入。エステラも交えて食べる。食後のまったりした時間にエステラの父親とは現在どんな感じなのかを尋ねてみた。すると「迷っているみたい」と返事が。
「他に結婚相手に良さ気な感じの人がいれば、そっちを優先してくれるかも」
問題は、その相手がなかなか見つからないという感じか。
「それで。ジンの方はサリナちゃんとはどうなのよ?」
「進展はないよ」
「サリナちゃんの気持ちは知ってるんでしょ? なら……」
後は俺の方の気持ち次第だ。
「仕事が充実してるからなぁ」
「そんな事を言ってると誰かに盗られるわよ? 最近、彼女。綺麗になったって評判なんだから」
「まぁ、そうなんだが……」
家から出るようになって、その上に軽く化粧もするようになった彼女は綺麗になった。冒険者連中にも声をかけられているとか。
エステラがポツリポツリと呟く。
「恋かぁ。いいなぁ」
その辺に多少の自由があるのが平民の特権だからな。
「私も恋。するのかなぁ」
エステラの言葉に俺は何と答えたものか分からない。すると突然。
「もう! ジンが賢者の塔を止めなければ何の問題もなかったのに!」
おおう。エステラが怒り出したぞ。
「いや、まぁ。あの時は、それしか選択肢がないと思いこんでいたわけで……まさかこんな結果になるとは思わなかったんだ」
するとエステラ。
「ジンってバカよね。賢いけど、そういう点はバカだわ」
「そう、かもな……」
「話を戻すけどサリナちゃんとは、ちゃんとケジメを付けなさいよ!」
「う~ん」
「何が不満なのよ」
「結婚かぁ、と思ってさ」
多くの人間が当たり前のようにして、その道をたどる。
「子供を作って育てて……合間に仕事して。老いたら面倒を見てもらって死ぬ」
「当たり前じゃない。それがどうしたの?」
「ん。なんかさ。人生ってそう考えると短いなって……」
するとエステラが溜め息を吐いた。
「はぁ。言葉にすれば簡単だけど、実際にはそこには数々の苦労と喜びが詰まっているのよ! それとも何? まさか旅にでも出るの? 幸せを探す旅」
……旅かぁ。そういう感じでもないけどさ。
「なんかさ。それでいいのかなぁって思うわけよ」
「良いも悪いも無いの! サリナちゃんに不満があるなら私で妥協する? そうじゃないでしょ!」
「結婚ってなんだろうな?」
「家を守り継ぐこと!」
「いや。まぁ、そういう側面もあるけどさ。平民の俺達にとっては、それほど重要じゃないというか」
「何? ジンは一生を独りで生きて行くわけ?」
「……それもいいかなぁって。好きな仕事だけしてさ」
するとエステラが再び大きな溜め息を吐いた。
「はぁ……ねぇ?」
「ん?」
「なら私に子種をちょうだい!」
「いやいやいや。俺の話、聞いてた?」
「子供は私が育てる! ジンとの子供だもん! 大事に育てるから!」
「家の事情が絡むだろ? だから駄目。当主であるエステラのお父さん次第だからな」
「じゃあ、何! 私のお父様がジンとの間で、その辺のことを約束したら私と……その。してくれるっていうの?」
「貴族が平民と約束なんてしないだろ? しても守る義理も義務もないだろうし。だから駄目」
「もう! じゃあジンはどうしたいの!」
俺は……うぅん。どう、したいんだろうな。
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