この恋は本物か偽物か?

岡崎 リア

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第1章

俺の恋物語

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生徒が下校して行く中
俺は今日、校舎裏にクラスの女子に呼ばれていた。まぁ、こういったのは珍しい事ではない

「あの、突然呼び出してごめんね」

「今日はちょっと話したい事があるんだけど」

「で、話したい事って何かな?」

「あの私ね、朝陽君」

あぁ、そうかなんとなく察しがついたが、
この後の言葉を言われる前に断ろうか?
いや、でもなぁもしかすると違う話かもしれないから一応最後まで聞いておくか…

「………」

「…私、朝陽君のことがずっと前から
好きでしたよかったら付き合って下さい」

あっ、ですよね~
やっぱりこの流れはそれしかないですよね~
早めに答えて帰ろう…
じゃないとこれ以上持たない

「…ごめんねそれは、できない…」

「そ…そうだよね……」

彼女は俺の返事を聞きそのまま下を向いたまま校舎に走っていった。
その時、俺は彼女の頬を涙が流れ落ちていくのが見えた…
何故だろう心の隅ではもうこの展開を繰り返したくないと思っているのにのトラウマのようなものに何かつまずいているような感じがする…
このトラウマのようなものもいつかは克服しないといけないのかな…

「あ!やばい、早く帰らないと!」

とっさに思い出した俺は振り返り走ろうとしたその時

「やっほー!朝陽、もー探したよ!」

「うわぁ!!」

「なんだよ、ビックリさせるなよ!
いたなら声ぐらいかけろよな」

振り返った先にいたのは凛だった

「なにもそこまで
驚かなくても良くない?」

「まさか幼馴染の顔を忘れたとは
言わせないよ~!」

この自分で幼馴染と言ってる彼女は
「冬風 凛」凛とは幼稚園から一緒の
幼馴染である、一応な。
かと言って凛と一緒にいるとろくなことがないからなぁ
分かりやすくアニメや漫画で例えよう
彼女「冬風 凛」は、スポーツ万能のドジっ子
キャラのような良くいるかもしれない女子高生だ。ちなみに勉強は、そこそこだ。
まぁ、あらかた想像はできると思う、多分…
そんな事は置いといてだ、とにかく凛とは長い付き合いなのだが俺は凛にいくつか隠し事がある。
それは、今言っておく事では無いと思うから言わないでおこう。またその時になったら言うつもりではある、一応…

「何?また告白されたの?」

「まぁ、そんな所だな」

「ふーん、でもさっき走って行った子結構
可愛いと私は思うよ、クラスでも人気のある子だよ」

「うん、それは知ってたけどそれは関係ないだろ」

やばいな、この話になると深く踏み込んでくるから話変えないといけないな……
ん?…何か忘れてるような?

「まぁ、そんなことより朝陽家近いし一緒に帰ろうよー」

「いつも帰ってるだろ一緒に」

「でも、気になるんだよ私」

「うん、わかったその話は帰りながら聞くから、ほら行くぞ」

「ほいほーい」

なんだ?今日はあんまり話に深く踏み込んでこなかったな。珍しい事もあるもんだなぁ
でも、気になるって何がだ?特に気なられる事はないと思うが…

「で、さっきの話の続きなんだけどね」

「あ、うん何か言ってたな気になることがあるって」

「うん、じゃあストレートに聞くけど」

「なんで朝陽って女子と話す時
目合わせないの?」

「…気のせいじゃないのか?」

「いや、気のせいじゃない」

「普通とは違う目の逸らし方するから」

やばいな、これはまだ妹しか知らない事なんだけど、言うしかないのか…あまり過去を思い出すような話をしたくないんだが…こうなったら話すしかないか

「凛お前はこの事は言ってなかったよな…」

「何の事?」

「まぁ、俺は女性恐怖症なんだよ」

「は?」

凛は何を言ってるかわからないみたいな顔をしてるが、今の素の「は?」ちょっと怖かったな。でも、ここまで言ったんだ、ならいっそのこと全部言ってしまおう…


「でも、今は話せたり出来るようになった方なんだよ…昔は一定時間女子と居たりすると発作みたいな事が起こってたりしてたから」

「何なのよそれ?女性恐怖症って…」

「凛、お前には話してなかったよな?
俺が一時的に引っ越してた時の話」

「うん、引っ越したのは知ってたけど、その時の話までは聞いた事がない」

「今から話すのは、俺が引っ越した後の話になるんだが…」

これは小学4年生の頃の話だ
当時その頃、俺の家庭は忙しく貧しかった
そのため、俺は親とご飯を食べる機会や遊んだりする事など、ほとんど一人の事が当たり前になってた。朝起きて、ご飯食べて、支度をし学校に行くの繰り返し…
学校では、俺の事は成績優秀、スポーツ万能の優等生と先生達の中で言われていた。
また、先生達からは「お前は凄いな!勉強もスポーツも出来て才能あるぞ!」っとほぼ毎日何かあるとその言葉を言われていた。
だが俺は、そんななんて言葉はどうでもよかった。
さっきも言ったが俺の家庭は忙しくてほとんど親がいないって、だから俺は、学校でテストもいい点数取ってスポーツもいい成績とって、賞状貰えるぐらいまで頑張ったら、親に会えるかもってな、だから俺は頑張って優等生と言われるようになって賞状まで貰えるようになった…だが、親には会えなかった、代わりに家に帰ると手紙が置いてあるだけ。
当時の俺は会えなくても手紙だけでも飛び跳ねて喜んでいた。
けれど、手紙もだんだん少なくなっていき、尚更親に会いたいって思いが強まる一方だった。
そして、ある時俺はヘマをしガラスを割ってしまった。
その時、母親が学校に来て頭を下げて「うちの子がすいません!」ってその時は悪い事したのにも関わらず俺は、という気持ちで一杯だった。
「あぁ、こうしたら親に会えるんだ!」って思い始めた。
それから俺は色んな揉め事などを起こすようになって行きしまいには、小学校の担任に暴力を振るってしまった。
それを切っ掛けに俺は引っ越し先から元々いた場所に戻ってきた訳なんだが、そのせいで母親は倒れてしまい、病院送りで奇跡的に一命を取り留めたが、今は病院で寝たきりで目を覚まさないままだ。
といってもこれが女性恐怖症になった原因じゃない。あくまでこれは俺の罪と家庭の話だ。
さて、今から本題の俺が女性恐怖症になった理由だ…
そう、あれは中学の頃だった…
もう、その頃は引っ越し先から戻ってきていた。幼馴染の凛とも再会し俺は一人暮らしをしていた、そんなある日突然父親が、一人の女の子とその子の母親だと思える女性を連れて家に帰ってきた。
俺の母親が倒れたっと聞いて女を連れて帰ってきた。
そして父親達は俺の家に住むようになって、女の子は俺の妹となっていた。
そう、その女の子が妹の優希だ。
その頃は、まだ普通の生活を送れていたが、ある日、あの出来事が起こった…
父親が連れて帰ってきた女が突然、自分の子である優希に暴力を振るい出したのだ。
日頃のストレスかによるものだろう、だがこれは立派な犯罪行為である虐待だ。
俺は、出会って間もない妹の優希を庇った。しかし、そこからが恐怖の始まりだった…
初めは優希に振るっていた暴力だんだん、俺に振るいだしたのだ。
初めは、殴る蹴るの繰り返しだった。
だいたい暴行は十分から十五分続くその間俺は痛みを必死にこらえなけらばならない。
でもそれがだんだんエスカレートして行き流石に俺も我慢の限界が近づいて来ていた。
そして、とうとう俺は我慢ができなくなり次暴力を振るって来た時反抗しようと思ってた矢先に女は交通事故で亡くなった…
俺はやっとあの女の魔の手から逃げ切れたと思ったが、それは違った。
これから、毎日痛まずに済むが、あの女が俺に植え付けたものが女性への恐怖心だった…
それからというもの、女性と関わることが怖くなって少しずつ心が病んできてた頃、妹の優希が俺の事を心配してくれたのか、それか自分を庇ってくれたという事のお返しなのかはわからないが、あまり口をきかなかった優希がよく話しかけてくるようになった。
そのお陰なのか、女性恐怖症がだんだん克服できて行ったが、それは妹にだけで、他の女性と話すと発作が起きたりするのは治っていなかった…
でも、それも凛のお陰でだいぶ良くなり目を合わせなければ発作も起きないぐらいまで克服できていた。
その事は凛も知らない…
まぁこんな所だな、ちなみに父親はあの女が亡くなってから俺と妹残して行方をくらました。
生活費は俺がバイトをしてなんとか保っていけてる感じだ。
まぁ、こんな感じだな俺の過去は。

「っと言った感じだ」

俺は、この過去を凛に話した。
正直言って凛は何も考えずに俺の女性恐怖症を克服するのを手伝わせて、と言ってくると思っていたが、それは違った。
凛は俺の顔を両手で掴み目を合わせて言った…

「いい、私は朝陽あんたの事を見捨てやしない…」

「え?」

「私は朝陽の女性恐怖症を治すまで離れたり見捨てたりしないから!」

凛は俺の話を聞いて何か感じたのだろうか、
凛の頬は赤く染まり涙が滴り落ちている。
なんだよ、お前は人の事情とかで泣いたりする奴じゃないだろう?
なんで、泣いてんだよ…
まぁ、久々かなこんな感情が揺らいだのは…
まぁ、もう寒いし家で優希が待ってるから帰るか。

「おい、いつまで顔を掴んでるつもりだ」

「もう遅いから帰るぞ…」

「うん!そうしよう!」

凛はセーターの袖で涙を拭きこっちを見て明るく笑い話しかけてくる。
なんだ?こいつこんな人に同情してくる奴だったかな?
でも、こんなに話しかけてくるのは珍しいから聞いてやるか。

「私嬉しいよ。朝陽…」

「ほら、私幼馴染じゃない?だから小さい頃から一緒だったから、朝陽の事なんでも知ってると思った…」

「でもそれは違った…いくら近くにいても、いくら長い時間一緒にいても全てれる訳じゃないんだって」

「私はそう思った。だから、朝陽の事知れて悲しいと同時に嬉しいと思ったんだ!」

凛お前そんなこと思ってたのか?
ってきり凛の事だから同情して「気付いてあげられなくて、ごめんね…」とかいうんだと思ってたけど違うったんだな。
俺もこいつの事一つ知れたかもな…

「そうか、じゃあ帰るぞ」

こうして、凛には俺の過去を話してあんまりスッキリはしないが、大分気持ちは楽になったかな?
って、ところで今何時だ?

俺はふと思い、右手首にはめていた腕時計を見た…

「六時五十九分…」

あ、いつもこの時間にはもう夕御飯食べ終わってる時間だ…
ん?まてよだとしたら、もう、家には優希が帰っていて何も食べずに待っている…

「…………」

「おいおいおい!」

やばいやばい!あいつ時間にはうるさくて、怒りやすいから、絶対キレてるって!
とにかく、早く帰らないと!
とっさに俺は走り出した、無我夢中で走った
一緒にいた凛もなぜ、急に走り出したのか分からないが必死に走っていた…

「ねぇ!どうしたの!?」

「あっ!朝陽そこの曲がり角気おつけて!」

俺は無我夢中に走っていた為凛の言葉は一切聞こえていなかった。
そして、そのまま俺はレース場で走っているレーサーカーの様に曲がり角を曲がった…
曲がり角を曲がった先に待っていたのは、かなりスピードが出ている自転車が目の前を走ってきている。

「あっ…」

あぁ、これは絶対ぶつかったな。
病院送りかな?
絶対痛いぞ、我慢できるか?
どうせ、ぶつかるんだ、なら止めれるか試してみようかな?
まぁ、無理だけど…

とっさに思いついたバカみたいな考えで俺はぶつかるであろう、自転車に向かって両手を突き出し構えた…

「ちょっ!朝陽何してんの!?バカなの?」

「止めてやる…」

相手の自転車はブレーキを掛けたが、もうそれは手遅れだった…
だって、その時には自転車の籠は俺の手にあたっていたから…
若干、無理矢理感はあったが俺は自転車を止められることに成功した。
この、馬鹿げた行動のせいで右腕には激痛がはしっている。

「すみません!大丈夫ですか?」

そう言って謝ってきたのは自転車に乗っていた、女性だった。

え?待ってくれ。乗っていた方が衝撃は凄かったと思うが…まぁいい。
怪我を負ったのは俺だけの様だし、そもそも俺の方が悪いからな。

「うん。大丈夫だよ!」

「ごめんな!急に飛び出したの俺なのに。」

「じゃあ!」

怪我してないなら、良かった。
今はそんな事より早く家に帰らないと!
あいつは、怒ったらめちゃくちゃ怖いから。
あと家までどのくらいだ?
この距離だと大体…二分か!
全速力で走ってやる!

「おい、凛行くぞ!」

「やっと追いついたと思ったらまた走るの?」

そして俺は家まで一直線の道を全速力で走り、なんとか家にたどり着いた…

家に着いたはいいが、絶対怒ってるぞ…
さて、どんな言い訳をするか?
凛も追いついてこれたみたいだし…

「どうしたの?入らないの?」

ん?待てよ?凛を使って言い訳作れるかもしれない…
これだ!試してみるだけの価値はあるぞ!

「おい!凛今日は家で食べていけ」

「え!?いいの?」

「あぁ、好きなだけ食べていけ」

よし!これで準備はできた。
覚悟はできてる、よし入るぞ…

俺は玄関の扉に近づき、恐る恐るドアを開けた…

「お帰り…兄さん…」

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