11 / 48
【Ⅳ章】利家、まつと二人で創る夫婦像
【まつ利】2話 可愛すぎる嫁は家事が苦手ッピ
しおりを挟む
信長に直談判をする1週間前のことだ。
織田証券株式会社清州支店に勤務する新婚の前 利家は、公私ともに幸せな生活を送っていたが、とあることに頭を抱えていた。
ガチャン…
「キャー、お皿が飛んでいった~」
ゴトン…
「アー、利家くんが信長様からもらった茶器が床に~」
ギュイーン…
「ヒェー、利家くんが徹夜で作った原稿を掃除機が吸い込んでいく~」
「まぁつ~!もうええからじっとしておいてくれぇ~!!!」と言って、利家はまつをギュッと抱きしめた。
利家の妻、まつは可愛かった。160cmに満たない身長、愛くるしい目元。しかし、利家は結婚してから気付いてしまったのだ。彼女の料理と掃除スキルは`1`だったことに。
*
「のう、まつ。ちょっと座ってくれ」
いつもならイチャイチャTIMEに入るはずの週末の夜9時。利家は深刻な表情でテーブルに座っていた。
「なに?利家くん?」まつは、今日もにこにこしている。
利家は、`今日もかっわいいな~`と思いながらも、心を鬼にした。
「まつ、今日は大事な話があるんだ」と言って、大学ノートに六角形を描きはじめた。
「この絵はなに?凄いバランスの悪いチャートだけど?」
「君の家事スキルを可視化してみた!」
まつは嫌な予感がした。これは、面倒な時の利家くんだ、と。まつにとって利家は、優しい夫ではあったが、分析、PDCAを回せ、と科学的な行動を求めてくるときは厄介でもあった。
利家は、「厳しいことを書くがこれが客観的な分析結果だ」と、六角形に頂点にそれぞれ数字と文字を書いていった。
料理 1
買い出し 30
掃除・片付け 1
まつはそれを見ながら「え、私の家事スキル、低すぎない!?転生してやり直そうかしら?」
と、驚嘆の声をあげる。
利家は、「大丈夫。ここからは高得点ゾーンだ」と文字を書き続けた。
洗濯 70
ゴミ出し 90
一生懸命 100
「やったー!一生懸命が100だ!」と喜ぶまつをみて、利家はさらに言葉を続ける。
「まつはとにかく一生懸命だ!それにゴミ出しも上手い!」
「ゴミ出しに上手いとかあったっけ?」
「いや、ある。まつが出したゴミはきちんと分別されていて、回収に来てくれる職員さんも嬉しそうにしているはずだ!」
「やったー!」と喜ぶまつを二度見して、利家はにやりと笑った。まずは褒める、褒めて、褒めて、褒める。
しかし、耳が痛いことも言わなければならない。
「料理1、掃除1の理由はわかるね?」
「料理、7くらいはあると思う!」
「どんぐりのせいくらべやないかい!」
「わぁー!」
「たしかにまつの料理はおいしいんだ。けど、1回の料理に3時間かかるのは、超高級シェフの仕事だから。俺たちみたいな共働き世帯は、1回30分以内の時短料理でいいんだよ?」
「わかってるけど、だって、利家くんに美味しい料理を食べてもらいたいんだもん!」
「まつは優しいなあ」と言って利家はまつの頭を撫でた。
そして心の中で`だめだ!こうやってうやむやにしてきたから、今、夫婦生活がある意味破綻の危機なんじゃないか…!?`と叫ぶ。
「まつの気持ちは嬉しいんだけどね。俺はあの織田証券でもう数年近く働いているんだよ?働き方改革なんて言葉がなかったころは、深夜帰宅があたりまえ。晩御飯だってカップ麺だけ、なんて日が続いた。それでも問題なかったんだ。粗食に強いのが、武士の末裔だからね」
「そうなの…?かわいそう…」
「そうなの。でも大丈夫!だから料理はもっと手を抜いていいんだよ?その代わりもう少し早い時間に食べるようにしたいんだ…」
「うん、わかった!それで、この買い出し30っていうのは?」まつは首をかしげながら尋ねた。
「まつの買い物は、毎回が年末年始なんだ…」
「え?」
「買ってくる食材が、豪華で豪華で、さらに量が多い…」
「だって、たくさん食べた方が嬉しいよ!!」
「一応、予算を決めたじゃないか…一緒に暮らし始めて3か月。未だ食費が予算内に収まったことがない…」
うつむく利家をみて、まつもしょぼくれる。
「ごめん…」
「謝らなくていいんだよ!」と慌てる利家。
「だって、まつは正社員として働いてくれているんだし、仕事に家事に大変だと思う」
「うん!フルタイムワーカーだよ!でも、家事との両立ができなくて、あわあわしてる。利家くんも家事を手伝ってくれる」
「そう、そして疲弊してきたよね。」
「うん、疲れてきたよ…正社員で共働きはしんどいよ」
「俺もなるべく早く帰るようにしてるけど…」
「信長様は残業大好きなのに、利家くんは周りの冷たい目にも耐えて帰ってきてくれるよね。嬉しいよ!」
「危機感、もあるかもね。はじめは家事が苦手なまつをみて、おっちょこいちょいだけど可愛いなあと思っていたさ。けど、付き合うのと一緒に生活をするのは違う」
「だから家事に積極的に参加してくれてるんだよね?ありがとう」
「俺がより、家事に参加することで、まつの睡眠時間を確保したかったんだ」
まつの睡眠時間は異常に長かった。
「私も最近は10時間くらい寝たらなんとかなるよ!でも本当はもっと寝たいけど…」
「どれくらい寝たいの?」
「1日16時間、かな」
利家は天を仰いだ。
「コアラかな?」
「間違えた、1日20時間は寝たい」
「ナマケモノかな?」と、利家は天を仰いだ。
織田証券株式会社清州支店に勤務する新婚の前 利家は、公私ともに幸せな生活を送っていたが、とあることに頭を抱えていた。
ガチャン…
「キャー、お皿が飛んでいった~」
ゴトン…
「アー、利家くんが信長様からもらった茶器が床に~」
ギュイーン…
「ヒェー、利家くんが徹夜で作った原稿を掃除機が吸い込んでいく~」
「まぁつ~!もうええからじっとしておいてくれぇ~!!!」と言って、利家はまつをギュッと抱きしめた。
利家の妻、まつは可愛かった。160cmに満たない身長、愛くるしい目元。しかし、利家は結婚してから気付いてしまったのだ。彼女の料理と掃除スキルは`1`だったことに。
*
「のう、まつ。ちょっと座ってくれ」
いつもならイチャイチャTIMEに入るはずの週末の夜9時。利家は深刻な表情でテーブルに座っていた。
「なに?利家くん?」まつは、今日もにこにこしている。
利家は、`今日もかっわいいな~`と思いながらも、心を鬼にした。
「まつ、今日は大事な話があるんだ」と言って、大学ノートに六角形を描きはじめた。
「この絵はなに?凄いバランスの悪いチャートだけど?」
「君の家事スキルを可視化してみた!」
まつは嫌な予感がした。これは、面倒な時の利家くんだ、と。まつにとって利家は、優しい夫ではあったが、分析、PDCAを回せ、と科学的な行動を求めてくるときは厄介でもあった。
利家は、「厳しいことを書くがこれが客観的な分析結果だ」と、六角形に頂点にそれぞれ数字と文字を書いていった。
料理 1
買い出し 30
掃除・片付け 1
まつはそれを見ながら「え、私の家事スキル、低すぎない!?転生してやり直そうかしら?」
と、驚嘆の声をあげる。
利家は、「大丈夫。ここからは高得点ゾーンだ」と文字を書き続けた。
洗濯 70
ゴミ出し 90
一生懸命 100
「やったー!一生懸命が100だ!」と喜ぶまつをみて、利家はさらに言葉を続ける。
「まつはとにかく一生懸命だ!それにゴミ出しも上手い!」
「ゴミ出しに上手いとかあったっけ?」
「いや、ある。まつが出したゴミはきちんと分別されていて、回収に来てくれる職員さんも嬉しそうにしているはずだ!」
「やったー!」と喜ぶまつを二度見して、利家はにやりと笑った。まずは褒める、褒めて、褒めて、褒める。
しかし、耳が痛いことも言わなければならない。
「料理1、掃除1の理由はわかるね?」
「料理、7くらいはあると思う!」
「どんぐりのせいくらべやないかい!」
「わぁー!」
「たしかにまつの料理はおいしいんだ。けど、1回の料理に3時間かかるのは、超高級シェフの仕事だから。俺たちみたいな共働き世帯は、1回30分以内の時短料理でいいんだよ?」
「わかってるけど、だって、利家くんに美味しい料理を食べてもらいたいんだもん!」
「まつは優しいなあ」と言って利家はまつの頭を撫でた。
そして心の中で`だめだ!こうやってうやむやにしてきたから、今、夫婦生活がある意味破綻の危機なんじゃないか…!?`と叫ぶ。
「まつの気持ちは嬉しいんだけどね。俺はあの織田証券でもう数年近く働いているんだよ?働き方改革なんて言葉がなかったころは、深夜帰宅があたりまえ。晩御飯だってカップ麺だけ、なんて日が続いた。それでも問題なかったんだ。粗食に強いのが、武士の末裔だからね」
「そうなの…?かわいそう…」
「そうなの。でも大丈夫!だから料理はもっと手を抜いていいんだよ?その代わりもう少し早い時間に食べるようにしたいんだ…」
「うん、わかった!それで、この買い出し30っていうのは?」まつは首をかしげながら尋ねた。
「まつの買い物は、毎回が年末年始なんだ…」
「え?」
「買ってくる食材が、豪華で豪華で、さらに量が多い…」
「だって、たくさん食べた方が嬉しいよ!!」
「一応、予算を決めたじゃないか…一緒に暮らし始めて3か月。未だ食費が予算内に収まったことがない…」
うつむく利家をみて、まつもしょぼくれる。
「ごめん…」
「謝らなくていいんだよ!」と慌てる利家。
「だって、まつは正社員として働いてくれているんだし、仕事に家事に大変だと思う」
「うん!フルタイムワーカーだよ!でも、家事との両立ができなくて、あわあわしてる。利家くんも家事を手伝ってくれる」
「そう、そして疲弊してきたよね。」
「うん、疲れてきたよ…正社員で共働きはしんどいよ」
「俺もなるべく早く帰るようにしてるけど…」
「信長様は残業大好きなのに、利家くんは周りの冷たい目にも耐えて帰ってきてくれるよね。嬉しいよ!」
「危機感、もあるかもね。はじめは家事が苦手なまつをみて、おっちょこいちょいだけど可愛いなあと思っていたさ。けど、付き合うのと一緒に生活をするのは違う」
「だから家事に積極的に参加してくれてるんだよね?ありがとう」
「俺がより、家事に参加することで、まつの睡眠時間を確保したかったんだ」
まつの睡眠時間は異常に長かった。
「私も最近は10時間くらい寝たらなんとかなるよ!でも本当はもっと寝たいけど…」
「どれくらい寝たいの?」
「1日16時間、かな」
利家は天を仰いだ。
「コアラかな?」
「間違えた、1日20時間は寝たい」
「ナマケモノかな?」と、利家は天を仰いだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル
ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。
しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。
甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。
2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる