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プロローグ

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この世界には魔書と呼ばれる本が無数に存在する。
これは手にした人間なら誰でも特別な力を持てるようになる。
そのせいで、人々は誰もが力を持てるようになる。
そのことに危機感を抱いた人間たちは本を管理しようと動き出す。
けれど、そのことに不満を持つ存在が現れ始める。
本を焼却し処分するのが世界平和の第一歩だと。
人々は魔書戦争と呼ばれる事件を起こしてしまった。
魔書管理主義と、魔書焼却主義に別れて。
戦争が進むうちに、人口は3分の1を失うこととなる。
そのことに危機感を抱いた人たちは戦争を終わらせるべく暗躍する。
結果、平和条約が結ばれることとなり勝者の居ない戦争は終結を迎える。
戦争で得たものは何も無く、本を作り出した作者は稀代の悪として後世に語り継がれるようになる。
やがて時は立ち、世界に魔書があることが当たり前になった世界。
そんな世界で1人の男がある事件に巻き込まれるようになる。
「ポケットに入ってるぜ」
顔にやけど傷のある男が客に向かって言う。
すると、客はポケットに手を突っ込み喜ぶ。
どうやら失くしものを見つけたらしい。
男はペンデュラムを持っていて、その力で探し物を見つけることが出来るようだった。
そんな彼に1人の客人が訪れる。
「本を探してほしいんです」
猫耳の魔人と呼ばれる可愛らしい少女だった。
そんな彼女は本を探してほしいと言う。
男は魔書のことだとすぐに閃く。
面倒ごとには関わりたくないと断ったが結局のところ関わる道を選ぶ。
猫耳の少女は男をある場所へと案内する。
それは巨大な図書館だった。
そこには頭にゼンマイが突き刺さった女性が受付をやっていた。
「本の返却期限が過ぎています」
そう言って、用紙を見せてくる。
そこには無数の名前が書いてある。
どうやら俺に本を探してきて欲しいってのはこういうことらしい。
本を見つけ出して、図書館に返す。
それが俺の仕事らしい。
探し物が得意だった俺はその誘いに乗った。
住むところと食事を提供してくれるのだ。
こんなにありがたい話は無いと思ってのことだった。
それに、困ってる人が自分の才能で助けられるのならば、
人間として正しい生き方が出来ると思えたからだった。
とはいえ、気まぐれな性格なので男がどこまで手伝うかは不明だが。
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